事業承継補助金について

事業承継補助金とは

事業承継補助金(事業承継・引継ぎ補助金)とは、国庫補助金を財源とする、事業承継をきっかけとした新たな取り組みや、経営資源の引継ぎを支援するための補助金制度です。
単に経営者を交代するだけでなく、積極的に経営革新等に取り組む企業を支援することで、国全体の経済を活性化させることが目的とされています。

なお、事業承継補助金には「経営革新」と「専門家活用」2タイプが用意されていますが、本項目では「経営革新」のタイプについて解説します。

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)によって、補助の対象となる経費の要件は、以下のとおりです。

  1. 使用目的が、補助対象事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
  2. 補助対象期間内に契約・発注を行い支払った経費
  3. 補助期間終了後の実績報告で提出する証拠書類等によって、金額・支払い等が確認できる経費

(例)

  • 人件費
  • 店舗等借入費
  • 設備費
  • 原材料費
  • 産業財産権等関連経費
  • 謝金
  • 旅費
  • マーケティング調査費
  • 広報費
  • 会場借料日
  • 外注費
  • 委託費
  • 廃業登記費
  • 在庫処分費
  • 解体費
  • 原状回復費
  • 移転・移設費用(Ⅱ型のみ)

事業承継補助金の種類

事業承継・引継ぎ補助金(経営革新)には、「【Ⅰ型】経営者交代型」と「【Ⅱ型】M&A型」の2種類があります。

【Ⅰ型】経営者交代型

事業承継を行う中小企業者であって、以下の要件をすべて満たすものにつき補助金が交付されます。

  1. 事業承継を契機として、経営革新等に取り組むこと
  2. 経営等に関して、一定の実績や知識等を有している者であること
  3. 地域経済全般をけん引する事業等の承継を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組むこと

I型の場合、補助率は補助対象経費の2分の1以内、補助額の範囲は100万円~250万円(廃業日が発生する場合には、上限450万円)です。

【Ⅱ型】M&A型

事業再編・事業統合を行う中小企業者であって、以下の要件をすべて満たすものにつき補助金が交付されます。

  1. 事業再編・事業統合等を契機として、経営革新等に取り組むこと
  2. 経営等に関して、一定の実績や知識等を有している者であること
  3. 地域経済全般をけん引する事業等の承継を契機として、引き継いだ経営資源を活用して経営革新等に取り組むこと

Ⅱ型の場合、補助率は補助対象経費の2分の1以内、補助額の範囲は100万円~500万円(廃業日が発生する場合には、上限700万円)です。

事業承継補助金を受けるための要件

事業承継補助金を受給するためには、以下の補助対象者の要件をすべて満たす必要があります。

  • 日本国内に拠点または居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること
  • 地域経済に貢献している中小企業者等であること
  • 補助対象者またはその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと、反社会的勢力との関係を有しないこと、反社会的勢力から出資等の資金提供を受けていないこと
  • 法令上の問題を抱えていないこと
  • 事務局から質問や追加資料等の依頼があった場合には、適切に対応すること
  • 事務局が必要と認めるときは、補助金の交付申請や承認・結果通知に係る事項につき、修正を加えて通知することに同意すること
  • 申請費用等につき、いかなる場合も事務局が負担しないことについて同意すること
  • 経済産業省から、補助金指定停止措置または指名停止措置が講じられていないこと
  • 補助対象事業に係るすべての情報につき、統計的な処理・匿名化後の公表について同意すること
  • 事務局が求める調査やアンケート等に協力できること

実質的な事業承継の要件

さらに、年度ごとに設定された事業承継対象期間中に、実質的な事業承継を完了しなければなりません。

なお、「【Ⅰ型】経営者交代型」の場合は、中小企業者等である限り、後継者が誰であるかを問いません。
これに対して「【Ⅱ型】M&A型」の場合は、親族内承継は不可です。

承継者の代表者に関する要件

事業承継以前に対象会社の代表権を有していない承継者(後継者)の代表者は、以下の要件を満たすことが必要です(「【Ⅱ型】M&A型」の場合には、補助金申請時点で事業承継が完了していない場合に限ります)。

  • 3年以上の経営経験を有していること
  • 6年以上の同業種での実務経験を有していること
  • 創業、承継に関する一定の研修を受講したこと

このように、事業承継補助金の申請要件は非常に複雑です。
求められる要件を漏れなく満たす形で申請を行うには、専門家にご相談のうえで事前準備を行うことをおすすめいたします。

事業承継補助金の申請手続き

事業承継補助金は、経済産業省が運営する補助金の電子システム「jGrants(Jグランツ)」を通じて、電子申請する必要があります。
アカウントの取得には1~2週間程度を要するため、締め切り間際ではなく、早めにアカウントを発行しておきましょう。

また電子申請の際には、税理士などの認定経営革新等支援機関が作成した確認書を提出する必要があります。

経済産業省の側で審査を行い、補助金交付の決定がされます。

補助金交付決定の通知後、申請者が実際に事業承継や経営革新等を行い、その実績報告を行います。
経済産業省は実績報告を踏まえて確定検査を行い、問題なければ補助金を交付します。
補助金交付後は、経済産業省に対して、事業化状況に関する一定の報告が求められます。

税理士などの認定経営革新等支援機関にご相談いただければ、事業承継補助金の申請に関する一連の手続きを、サポートすることが可能です。
補助金を有効活用して事業承継・経営革新等を図りたい経営者の方は、お早めに税理士などの専門家までご相談ください。

  • 本ページは、令和3年度の公募内容をもとに執筆しています。

事業承継について、詳しくはこちらのページもご覧ください。

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