澤田涼もがんばってます!

有益費償還請求権?

2018.6.8更新
最近、株価計算業務が非常に多いです。

事業承継業務は、まず初めに会社の株式の価値を正確に把握する必要があるため、
(価値が高いから困っているというケースがほぼほぼですが、、)、
株価の算定が起点となります。

株価計算は、財産(特に不動産)を多く保有していればしているほど、
税理士が10人計算すれば、10人とも違う評価額となるということもざらにあるほど、
その計算は複雑となっています。

株価の算定は、会社が保有している財産を
それぞれ時価評価する必要があるので、
会社次第ですが、税務上多くの論点があります。


その中で、最近議論となったのが、建物付属設備についてでした。

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Q 第三者から賃借している建物について支出した建物付属設備について、
  どのように評価をするべきか、又は評価をする必要があるのか。
  (構造上一体となっているもの)

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通常、自己が保有している建物の建物付属設備は、
それが建物の構造上一体となっているものについては、
建物の価額に含めて評価をするとなっています。(財産評価基本通達92)

ただ、第三者から賃借している建物にかかる付属設備については、
どのように評価をすればよいのか?

民法上、不動産の所有者は、
その不動産に従として付合した物の所有権を取得するとされている。(民法242条)

そのため、建物に付属した当該設備は、
建物所有者の財産となるため、賃借人の財産として評価をする必要がないこととなる。

ただ、賃借人が不動産について支出した有益費については、
賃貸借の終了の時に、それまでの費用を
償還をしなければならないと定められている。(民法608条2項)

すなわち、賃貸借契約書に特別な規定※がない限り、
この償還を請求できる権利(有益費償還請求権)という債権を、
評価する必要があるということとなる。

※原状回復して明け渡す等の規定がある場合⇒その場合は評価不要


つまり、賃貸借契約書でその契約の内容まで確認をして、
有益費償還請求権としての債権の評価をおこなうか、
評価無しかの2択となることが考えられます。

書籍によって異なる評価を謳っているものもあり、
今後も検討が必要ではありますが、

建物付属設備1つをとってみても、
これだけ深い内容があるというところに、
財産評価の複雑性を再認識しました。。


【参考】
2018年6月1日 東京税理士界 会員相談室 引地先生記事


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