経営セーフティ共済で支援を受けて倒産を回避しよう【中小企業必見!】
経営セーフティ共済とはどのようなものなのだろう……。
資金調達は、会社経営において最も重要と言っていい活動です。
しかし、資金調達は非常に困難であるということを、経営者であれば皆さん知っているでしょう。
だからこそ、経営者(特に中小企業の経営者)の皆さまは、「もっと簡単に資金調達したい!」と、心の底から思っているのではないでしょうか。
中小企業の経営者の方々の大きな助け船が、「経営セーフティ共済」です。
経営セーフティ共済であれば、月々掛金を支払うと、無保証・無保証人で借り入れが可能です。他にも、多くのメリットがあります。
今回は、経営セーフティ共済について、
- そもそも経営セーフティ共済とは
- 借り入れられる金額はいくらか
- 加入するにはどうすればいいのか
- その他いくつかの注意点
について、べリーベスト税理士事務所が解説していきます。
この記事を読めば、経営セーフティ共済の内容やメリット、加入方法を理解できます。
加えて、資金調達に関する悩みも少しは減るでしょう。ぜひ、最後までご覧ください。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
1、経営セーフティ共済とは?
(1)経営セーフティ共済の概要
中小事業者の取引先の倒産による、売上債権等の回収が困難になることによって、資金不足に陥ることがあります。
経営セーフティ共済とは、以上のような流れで、連鎖的な倒産が起こるのを防ぐための制度です。
経営セーフティ共済の加入者は、毎月掛金を支払うことで、もし取引先が倒産した場合、最高で掛金の10倍の借入をすることができます。
掛金は、月々5,000円~20万円(5,000円単位)まで自由に選べ、最大800万円まで積み立てられます。
また、途中で月々の支払額を変更することができます。
掛金総額が、月々の掛金支払額の40倍以上に到達した場合、掛金の払込を止めることがが可能です。
加えて、共済金の借入を行った場合も、6ヶ月間の払込を止められます。
(2)共済金の借入と一時貸付金
①共済金の借入
借入限度額
共済金の借入限度額は、取引先の倒産による被害額と掛金総額の10倍の金額のうち、少ないほうの金額です。
原則、最低50万円、最高8,000万円借り入れられます。
借入金の返済
借入金は、借り入れた金額に応じた期間内で、毎月均等額を返済をします。
借入金額 | 返済期間(6ヶ月の据置期間を含む) |
5,000万円未満 | 5年 |
5,000万円以上6,500万円未満 | 6年 |
6,500万円以上8,000万円以下 | 7年 |
借入金には、利子は付きません。
しかし、期限までに返済できなかった場合は、年14.6%の違約金が発生します。
②一時貸付金
一時貸付金とは、取引先の倒産した場合でなくても、加入者が資金を調達したいと思ったときに、借り入れができる制度です。
借入限度額
一時貸付金の借入限度額は、掛金の納付月数に応じて決められています。
最低30万円、最高760万円です。
掛金納付月数 | 一時貸付金の貸付限度額 |
1ヶ月~11ヶ月 | 0円 |
12ヶ月~23ヶ月 | 掛金総額×75%×95% |
24ヶ月~29ヶ月 | 掛金総額×80%×95% |
30ヶ月~35ヶ月 | 掛金総額×85%×95% |
36ヶ月~39ヶ月 | 掛金総額×90%×95% |
40ヶ月以上 | 掛金総額×95%×95% |
掛金総額が800万円の場合 | 800万円×100%×95%(760万円) |
(出典:一時貸付金について|経営セーフティ共済(中小機構))
借入金の返済
一時貸付金は、借り入れてから1年以内に一括で返済をします。
もし、期限内に返済できなかった場合は、年14.6%の違約金が発生します。
利子は、金融情勢によって変動しますが、現時点では年0.9%です。
2、経営セーフティ共済に加入するには
(1)加入要件
経営セーフティ共済に加入できるのは、事業を初めて一年以上経過している、以下の要件を満たす中小企業者です。
①会社または個人事業者
以下の表の各業種で、資本金または出資の総額と常時使用する従業員の数の要件のいずれかを満たす会社または個人事業者は、加入できます。
業種 | 資本金または 出資の総額 |
常時使用する 従業員の数 |
製造業、建設業、運輸業その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤおよびチューブ製造業ならびに工業用ベルト製造業を除く。) |
3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5,000万円以下 | 200人以下 |
(出典:加入資格|経営セーフティ共済(中小機構))
②組合
企業組合、協業組合なども加入できます。
(2)経営セーフティ共済への加入手続き
①必要書類の準備
まずは、必要書類の準備をします。
契約申込書
経営セーフティ共済の窓口となっている委託団体や代理店(商工会や銀行など)で、取得できます。
また、中小機構の経営セーフティ共済の資料請求ページからダウンロード、もしくは資料請求でも取得可能です。
掛金預金口座振替申出書
契約申込書に添付してあります。
重要事項確認書兼反社会的勢力の排除に関する同意書
契約申込書に付属しています。
上記の3つの書類の他に、いくつかの公的書類が必要です。
必要な公的書類は、法人企業と個人事業主で異なります。
法人企業(組合なども含む)の場合
- 商業登記簿謄本または登記事項証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
- 法人税の確定申告書(直近の決算書等の添付書類を含む)
- 法人税の納税証明書(その1)
商業登記簿謄本または登記事項証明書は、全国の法務局で取得できます。
会社の代表者でなくとも、誰でも取得可能です。
法人税の確定申告書については、所轄税務署の受付印があるものが必要です。
ない場合は、所轄税務署で確定申告書の控えを取得する必要があります。
法人税の納税証明書(その1)は、所轄税務署で取得できます。
中間納付税額と確定税額を納付したことを証明できる領収書で、代替可能です。
個人事業主の場合
- 所得税の確定申告書(直近の決算書・収支内訳書等の添付書類を含む)
- 所得税の納税証明書(その1)
- 確定申告書を作成するときに使用した帳簿等(白色申告書の場合)
所得税の確定申告書は、所轄税務署の受付印があるものが必要です。
ない場合は、所轄税務署で確定申告書の控えを取得する必要があります。
所得税の納税証明書(その1)は、所轄税務署で取得できます。
予定納付税額と確定税額を納付したことを証明できる領収書で、代替可能です。
②書類を窓口に提出
必要書類の準備ができたら、書類を窓口に提出します。
実印が必要になりますので、忘れないようにしましょう。
窓口は、中小機構と業務委託契約を結んでいる委託団体または代理店です。
委託団体には、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会などがあります。
代理店には、銀行、信託銀行、信用金庫などがあります。
③中小機構からの書類の受け取り
申し込みが完了すれば契約成立です。
契約成立から2ヶ月以内に、中小機構からいくつか書類が届きます。
共済金の借り入れや解約の際に必要になるため、大切に保管しておきましょう。
3、経営セーフティ共済の良いところ
(1)無保証・保証人なしで借入れできる
経営セーフティ共済は、担保・保証人なしで借り入れができます。
銀行などからの借り入れが厳しくても、経営セーフティ共済に加入していれば、早急に資金が必要な場合でも安心です。
(2)掛金は損金(必要経費)になる
経営セーフティ共済の掛金は税法上、損金(個人事業主の場合は必要経費)になります。
(3)早期完済時には、早期償還手当金がもらえる
借り入れた共済金を早期に完済した場合は、早期償還手当金がもらえます。
早く返済すれば、その分手当が増えます。
早期償還手当金をもらうための条件は、以下の通りです。
- 当初の共済金の返済期限よりも12ヶ月以上早く完済している
- 完済日に共済契約を解約していない
- 一度も滞納せずに、共済金を完済している
以上の条件を満たした場合にのみ、早期償還手当金がもらえますので、注意してください。
早期償還をしたい場合は、中小機構に直接申し出をすることで、早期償還に関する手続きをすることができます。
(4)解約時に解約手当金がもらえる
経営セーフティ共済を解約する場合、解約手当金がもらえます。
解約手当金がもらえるのは、解約時点で共済の掛金の納付月数が12ヶ月以上の場合です。
もらえる解約手当金の金額は、最低でも掛金総額の75%、最高で100%です。
解約手当金をもらうための手続きは、解約の事由によって異なります。
詳しくは、解約時に中小機構に問い合わせてみてください。
4、経営セーフティ共済の注意点
(1)共済金の借入についての注意点
①倒産の範囲
共済金は取引先が倒産した際に借り入れることができますが、ここでいう倒産は、以下のことを指します。
倒産の事態 | 説明 |
法的整理 | 破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始などの申し立てがなされること。 |
取引停止処分 | 手形交換所またはでんさいネットに参加する金融機関により取引停止処分を受けること。 |
私的整理 | 債務整理の依頼を受けた弁護士等から、共済加入者に対し支払いができないと通知されること |
災害による不渡り | 甚大な災害により、手形等が不渡りもしくは支払い不能になること。 |
特定非常災害による支払不能 | 特定非常災害により代表者が死亡等した場合に、弁護士等から、共済加入者に対し支払いができないと通知されること。 |
夜逃げなどは、倒産に含まれないので注意してください。
②被害額の範囲
共済金の借入限度額は、取引先の倒産による被害額と掛金総額の10倍の金額のうち、少ないほうの金額となると前述しました。
ここでいう取引先の倒産による被害額は、取引先に対する売掛金債権と前受金返還請求権の合計額のうち、回収が困難なものの額ことです。
貸付金や営業外の取引手形などは含まれないので、注意が必要です。
(2)加入資格についての注意点
たとえ加入資格を満たしていたとしても、加入できない場合があります。
主な場合は、以下のようなものです。
- 住所または主たる事業の変更を繰り返しているため、継続的な取引ができない
- 事業にかかわる経理内容が不明
- すでに借り入れた共済金または一時貸付金の返済を怠っている
- 納付すべき法人税または所得税を滞納している
この他にもいくつかありますので、気になった方は中小機構のホームページでご確認ください。
(3)加入手続きについての注意点
加入手続きに必要な書類は、原本である必要があります。
コピーでは手続きが行えませんのでご注意ください。
また、公的書類の準備にかかる費用は加入者自身が負担しなければなりません。
5、経営セーフティ共済についての相談なら税理士へ!
(1)経営セーフティ共済への加入の支援
経営セーフティ共済の加入手続き、掛金の設定など、はじめてこういったものに加入する場合は、不安がつきものです。
そのような場合は、税理士に相談してみてください。
加入手続きに必要な書類の準備や加入までの流れ、自分の会社に合った掛金の設定など全面的サポートしてくれます。
(2)中小企業が利用できるその他制度の紹介など
経営セーフティ共済のような中小企業の役に立つ制度は、他にもたくさんあります。
もし興味があれば、税理士に相談してみましょう。
おすすめの制度などを紹介してくれるでしょう。
まとめ
以上、経営セーフティ共済について解説してきました。
経営セーフティ共済とはなにか、借り入れ金額、加入手続き、注意点など、経営セーフティ共済の概要をつかめたのではないでしょうか。
資金調達は、いつでもどこでも経営者の悩みの種です。
その悩みを少しでも減らすために、経営セーフティ共済を1つの手段として考えてみてはどうでしょうか。
検討の際には、税理士が力になるでしょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。