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TAX&ACCOUNTING MALL会社経営顧客分析とは?売上アップに有効な分析手法と活用方法を解説
2022.12.14 / 更新日:2022.12.13

顧客分析とは?売上アップに有効な分析手法と活用方法を解説

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顧客分析はどのように行えばよいのだろう……?

自社の売上を上げるためには、さまざまな施策を立てて実行する必要がありますが、その施策の効果を最大限に上げるためには何が効果的なのでしょうか。
施策効果を最大限に発揮するためには、何よりも自社に利益をもたらす顧客について「知る」ことが一番の近道です。

本記事では、顧客分析方法とその活用法について、税理士法人ベリーベストがシンプルに分かりやすく解説します。

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1、顧客分析とは

顧客分析とは、自社の商品・サービスに関心を持っている顧客、または購入している顧客の購買行動を分析することをいいます。
顧客分析をすることにより顧客ニーズを理解して、顧客満足度を上げたり購買率アップなどに役立てたり、最終的には自社の売上・利益アップにつなげることが可能です。

(1)顧客分析の効果

顧客分析をすると、以下の効果が見込めます。

①現状が把握できる

まず、顧客の行動・購入データから、自社の顧客像と顧客ニーズが見えてきます。

顧客の購買行動を具体的な数値として確認することで、「売れている」「売れていない」などの現状が把握できます。
売れていない場合はその原因がどこにあるのか掘り下げたり、売れている場合はさらに売れるためのヒントを見つけたりすることも可能です。

②施策に活用できる

顧客ニーズが分かれば、そのニーズに応えるべく開発・生産・営業・広告販促活動ができるため、顧客にとって魅力ある商品・サービスを提供できるようになります。 

③売上・利益が上がる

顧客属性や購買動向を数値化することができれば、需要予測が可能になります。
需要予測ができると、生産・在庫量のコントロールや、広告販促活動に費やす費用などのコントロールも可能になり、効率的に売上を伸ばし、利益を確保することも可能となるでしょう。

(2)顧客分析でおさえるべきポイント

次に、顧客分析を行ううえで重要なポイントは、以下の①~④です。蓄積された顧客の行動・購入データを分析することで、顧客ニーズを掘り下げることができます。

①顧客の定義→②顧客ニーズ→③市場規模→④購買決定プロセス

具体的には、以下の点について確認していきましょう。

  • 当初の仮説とデータ分析から見えてきた実態にずれはないか?
  • 想定したターゲットが、自社の商品・サービスを購買しているか?
  • なぜ自社商品・サービスを購入しているのか?選ばれている理由は何か?
  • 市場規模の成長性はどの程度あるか?その市場の中のさらに細分化されたどの辺りにポテンシャルがあるのか?
  • 顧客はどのような意思決定のプロセスを経て、自社商品・サービスを購入するに至ったのか?

これらを分析し、開発・生産・営業・広告活動に活かすことで、顧客にとって魅力ある商品・サービスを提供することができるようになり、売上拡大が可能になります。

2、顧客データの取得方法

顧客分析には「顧客データ」が必要ですが、具体的にはどのように取得すればよいのでしょうか。
顧客データの「定量データ」と「定性データ」の2種類について、ぞれぞれ簡単にご説明していきます。

(1)定量データの取得方法

「定量データ」とは、数値として表せるデータを指します。例えば、性別や年齢、住所、家族構成、購入した商品・サービス内容、購入頻度などです。

定量データは、顧客アンケートや、自社サイトへの顧客登録情報、自社の会員カードなどから取得可能です。さらに、提携先のポイントカード会社などからも、契約内容によりますが、会員情報と購入データを紐づけたデータを提供してもらうこともできます。

(2)定性データの取得方法

「定性データ」とは、数値化することが難しいデータで「顧客の声」とも言うべきものです。

例えば、アンケートやインタビュー、顧客からの問い合わせ、SNSの口コミやクレームなども貴重な定性データとして活用することができます。
オンラインで商品・サービスを販売している場合は、レビューなどからも取得可能です。顧客が法人である場合は、商談内容やヒアリング事項も定性データとして活用できます。

3、顧客分析の手法と活用法

では、具体的に顧客分析にはどのような手法があるのでしょうか。本章では、よく利用されている6つの分析方法と、その特徴と活用法をご紹介していきます。

(1)セグメンテーション分析

セグメンテーションとは、市場や顧客を性質ごとにグループ分けすることをいいます。グループごとにどのようなニーズを持った顧客が多いのかという部分を分析するのが、セグメンテーション分析です。

セグメンテーションとして多く使われているのは、顧客の年代・性別・居住地・家族構成・職業などです。そのうえで、購入商品・サービスや利用店舗、購入頻度、一定期間の累計購入金額などのセグメンテーションを行います。その他は、自社で知りたい内容によってセグメンテーションする指標を変えて分析します。

(2)RFM分析

RFM分析は、以下の3つの指標から顧客をグルーピングする分析手法です。

  • Recency (直近購入日)
  • Frequency(購入頻度・回数)
  • Monetary (購入金額)

これらの指標ごとに顧客をグルーピングし、グループの特性を把握して分析していきます。
セグメンテーション分析と組み合わせることで、グループごとの特性など現状把握もできるようになります。

さらに、その他の分析と組み合わせることで、顧客が離反する要因を分析して離反を食い止める施策を打つことも可能となるでしょう。

イメージしていただきやすいように、グルーピングの一例をご紹介します。

  • 優良顧客(直近1年間に●回以上、あるいは●円以上購入している顧客を優良客とする、など自社で定義をします)
  • 既存顧客(優良顧客ではないが、直近●年間に、一度でも購入履歴がある)
  • 離反顧客(過去の購入履歴があるが、直近●年間は一度も購入履歴がなく、離反したと予測される客)
  • 新規顧客(過去購入履歴がなく、直近1年間で初めて購入履歴があった客)

(3)デシル分析

デシル分析は、購入履歴などをもとに、全顧客の購入金額を上位から順に10等分して、各ランクの分析を行うものです。(「デシル」とは、ラテン語で10分の1という意味があります)

各ランクの購入金額や購入比率、売上構成比、1人当たりの購入金額などを分析することで、売上への貢献度が高い顧客グループに対し、より多くのマーケティング・販促施策を打つことができます。
その他、売上貢献度に応じた戦略を立案できるようになるため、全体的な費用対効果を改善することが可能になります。
 

ただし、デシル分析では上位グループが必ずしも優良顧客とは言えません。
「購入金額は非常に高いが1回しか購入していない」「最近の購入履歴はないが過去購入金額上位の優良顧客」といった場合、売上累計をする期間によっては、デシル分析では上位のグループに含まれてしまうことがあるため、分析には注意が必要です。
売上抽出する期間や頻度などは、RFM分析と組み合わせることで解決可能です。

(4)CTB分析

CTB分析は、顧客属性を以下でグルーピングすることで、今後の購買を予測する手法です。

  • Category(カテゴリー)
  • Taste(テイスト)
  • Brand(ブランド)

これらの要素から顧客の趣味嗜好を探り、傾向が似ている顧客同士をグループ化することで、各顧客の好みに応じたマーケティング・販売戦略を実施することができるようになります。

グルーピングの具体例を挙げると、以下のとおりとなります。

【ファッション】

  • Category(カテゴリー):レディースやメンズなど(あるいはアウターやボトムスなどのアイテムごと)
  • Taste(テイスト):カジュアルやフォーマルなど
  • Brand(ブランド):ファッションブランド名など

【家具・インテリア】

  • Category(カテゴリー):机や椅子、ソファ、ベッドなど
  • Taste(テイスト):素材や形、色味など
  • Brand(ブランド):インテリアブランドなど

 (5)行動トレンド分析

行動トレンド分析とは、特定の季節や時期、曜日、時間帯などに購買行動をしている顧客をグルーピングし、共通点や特徴を分析する手法です。

例えば、「春によく売れるのは4歳未満の子供がいる女性の顧客」「9月にコートを購入しているのは北海道に住む20代の顧客である」といった具合に、共通点を見出します。
この分析結果から、同じ属性の顧客に向けてある時期にメールを送って商品訴求をしたり、ある地域に絞ってキャンペーンを打ったりすることができ、漠然と日本全国にキャンペーンを打つよりも費用対効果が高くなります。

この行動トレンド分析は、業界によっては活用が難しいかもしれませんが、小売業など季節性の高い商品を扱う業界との親和性は高いといえるでしょう。 

(6)LTV分析

LTVとは「Life Time Value」の略称で「顧客生涯価値」と訳されます。
このLTV分析は、会社が一人の顧客を新たに獲得するためにかけたコスト+維持するためにかけたコストと、その顧客がある一定期間内に会社にもたらした利益を基に計算されます。

具体的な計算方法は、以下のとおりです。

(購入単価×粗利率×購入頻度×取引期間)-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

取引期間は、販売する商品・サービスによって異なります。
例えば、日用品のような買い替え頻度が高いものと自動車のように買い替え頻度が低いものとでは、設定する期間の長さが変わります。

一般的に、会社や商品・サービスに対するロイヤリティが高ければ高いほど、繰り返し商品を購入してくれたりサービスを利用してくれたりするため、LTVが高いと言えます。

LTV分析は、ある顧客グループに対してマーケティングコストをどれだけかけるべきか、またはどれくらいのコストであれば、顧客から回収できるのかなどの予測をするために使われることが多い手法です。

まとめ

今回は、顧客分析の重要性やポイントを踏まえ、顧客データの収集さえできれば、すぐに実践できる顧客分析手法とその活用法についてご紹介しました。

顧客分析の方法はいろいろありますが、大切なのは分析結果を上手に集客につなげていくことです。顧客分析を通してより顧客理解を深め、効果的に集客して是非自社の売上アップに役立ててください。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

税理士法人ベリーベスト 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。