追徴課税において知らないと危険な4つのこと
追徴課税という言葉をご存知でしょうか?
事業の経営者であれば、一度は聞いたことがあるかもしれません。
「追加で税金を取られる罰金」のようなイメージがある追徴課税ですが、追徴課税がどのようなものか詳しくわかっていないという方も多いと思います。
また、この記事を読んでいる方の中には、実際に追徴課税の対象となったという方もいらっしゃるかもしれません。
追徴課税の対象になった際、どのように対処すれば良いのでしょうか。
追徴課税は、経営において重大な影響を及ぼす可能性があるため、最低限の知識を身につけておかなければなりません。
本記事では、以下の「追徴課税において知らないと危険な4つのこと」を紹介します。
- 追徴課税とは
- 追徴課税の注意点
- 追徴課税の税率と計算
- 追徴課税にならないための対策
この記事を読めば、追徴課税の対象になってしまった場合にどうすれば良いのか、そもそも追徴課税の対象にならないためにはどうすれば良いのかがわかるでしょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
1、追徴課税とは
「追徴課税ってなに?」
「追徴課税という言葉は聞いたことがあるけど、詳しくわからない」
本章では、上記のような方に向けてもわかりやすく「追徴課税」について解説します。
具体的には、
- 追徴課税の概要
- 追徴課税の種類
について解説します。
(1)追徴課税の概要
追徴課税とは、本来納める税金よりも少なかった場合や、納税が遅れた場合に本来の納税額に加えて、徴収されることとなる加算税や延滞税といった附帯税をいいます。
追徴課税の対象は、法人や個人事業主の他に、確定申告が必要になった場合の個人も対象になります。
副業や相続税、贈与税などで確定申告が必要になった個人でも、追徴課税が行われないように注意が必要です。
また、追徴課税は税務上の損金として扱えません。
会社の経費として計算することができないことにも、注意が必要です。
追徴課税が課される流れとしては、以下のとおりです。
- ①「確定申告が正しくない可能性がある」と税務署が判断した場合、税務調査が行われる
- ②税務調査の結果、過少申告や申告漏れが発見された場合に「修正申告」をする
- ③「修正申告」が正しく行われなかった場合に、更正処分を行い合わせて追徴課税も行われる
(2)追徴課税の種類
追徴課税には、4種類の附帯税が存在します。4種類の附帯税は、以下のとおりです。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
さらに、納付する際に附帯税とは別に、「延滞税」が加わります。
以上の5種類について解説します。
①過少申告加算税
過少申告加算税は、期限内に申告・納税をしたが、本来の納めるべき税額より少なかった場合に課される税金です。
ただし、税務調査前に納税額の誤りを発見し、自ら修正申告を行なった場合には、過少申告加算税は課されません。(No.2026 確定申告を間違えたとき (2)納める税金が少な過ぎた場合や還付される税金が多過ぎた場合|国税庁)。
②無申告加算税
無申告加算税は、期限内に申告・納税を行わなかった場合に課される税金です。
法人税の申告は、原則として「事業年度の終了日、決算日の翌日から2ヶ月以内」とされています。
無申告加算税は一定の要件を満たせば、課されない場合があります。
一定の要件は、以下の通りです。
- 期限内に申告書を提出できない正当な理由があった
- 法定申告期限から1ヶ月以内に手続きをしている
- 過去5年に無申告加算税または重加算税が課されたことがない
- 期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていない
- 税額の全額が法定納付期限内に納付されている
以上の全てを満たす場合には、無申告加算税は課されません。
③不納付加算税
不納付加算税は、源泉徴収して税金を納付しなければいけない法人や個人事業主が、期限内に納付しなかった場合に課される税金です。
法人の場合で従業員を雇って給料を支払っているときには、給与から所得税が源泉徴収され、法人が従業員の源泉所得税を一括して納付します。
一般的に、給与を支払った月の翌月の10日までに納付することになっていますが、一定の要件を満たした法人でその届出をしている場合は、毎年1月と7月の年2回にまとめて納付することも可能です。
しかし、不納付加算税も無申告加算税と同様に、正当な理由がある場合など一定条件を満たしている場合は課されません。
④重加算税
重加算税は、確定申告の際に、意図的な隠ぺいや仮装などの不正事実がある場合に課される税金です。
二重帳簿や書類の改ざんなどがあると認められた場合、重加算税の対象となることがあります。
重加算税はペナルティとして税率が高い傾向があるので注意が必要です。
⑤延滞税
①~④で解説したそれぞれの追徴課税の納付には、あわせて納期限の翌日から実際に納付した日までの延滞税が課されます。
そのため、実際に納付すべき税金は、本来の納税額に加えて追徴課税と延滞税が加算された金額となります。
2、追徴課税の注意点
追徴課税の対象となってしまった場合には、いくつか注意点があります。
注意点を理解しておくことで、追徴課税の対象となってしまった場合も焦らずに対処できます。
今回紹介する注意点は、以下のとおりです。
- 早急に納付
- 一括払いの原則
- 自力で申告書を作成
(1)早急に納付
税務署からの事前通知によって追徴課税の対象と分かった場合には、早急に対処しなければなりません。
納付せずに放置すると滞納処分の対象となります。
税務署は滞納処分の対象となった滞納者の財産調査を行います。税務署からの督促状を無視していると財産の差押えをされる場合もあります。
追徴課税の対象となってしまった場合、一番やってはいけないことは「放置・無視」です。
追徴課税は、本来納付しなければならない税金を納付していないために課されている税金なので、支払いは早急に済ませましょう。
しかし、追徴課税に早急に対応したことによって、支出が大きくなってしまい、資金繰りが苦しくなる場合があります。
早急に納付できないのであれば、税務署に相談しましょう。
なお、税務署の処分に納得がいかない場合は、不服を申し立てることが可能です。
不服申し立ての種類は、「再調査の請求」と「審査請求」があります。
不服申し立てをすることによって、処分の見直しを求めることができます。
不服申し立てをしている場合でも、日を追うごとに延滞税は増えていきます。また、不服申し立ての裁決が出るまでには時間がかかります。不服申し立てが認められた場合は、納付した附帯税の還付を受けられるので、とりあえず延滞税を納付しておくのもひとつの方法です。
(2)一括支払いの原則
追徴課税は、原則として一括納付しなければなりません。
分割納付が認められていないのは、本来なら期日までに支払うべき税金であるためです。
しかし、納付額が多額となり一括で納付することが厳しい場合には、税務署に相談することで、分割納付や納税の猶予をしてもらえることがあります。
分割納付や納税の猶予を受けられるのは特例なので、原則一括納付ということを念頭においておきましょう。
(3)自力で申告書を作成
申告書の作成を自力で行うと、悪意がなくても不備が発生してしまう可能性が高まります。
そこで、申告書の作成は税理士に依頼することがおすすめです。
税務のプロである税理士に依頼することで、正確に申告書を作成することが可能になります。
申告書の作成だけでなく、税務調査になった場合でも、税理士が代理で交渉してくれたり、税務調査の対策としてのアドバイスを受けたりすることができます。
個人で作成した申告書の方が、税理士の下で作成するよりも税務調査が増えているのも事実です。
申告書は税務署の無料相談等でアドバイスを受けながら作成することも可能です。
しかし、税務署の指導で申告書を作成したものの、不備があり追徴課税が行われたといったケースもあります。
申告書に不備があったとしても、税務署は一切の責任を取ってくれないので注意が必要です。
3、追徴課税の税率
「1、追徴課税とは」で追徴課税の種類を紹介しましたが、それぞれに税率があります。
本章では、追徴課税の税率と計算例を紹介します。
(1)過少申告加算税
過少申告加算税の税率には、修正申告をした3つの納付時期で税率が異なります。
3つの納付時期としては、以下の時期が挙げられます。
- 税務調査の事前通知前
- 事前通知後から税務調査までの期間
- 税務調査後
修正申告の時期 | 追加税額50万円未満 | 追加税額50万円以上 |
税務調査の事前通知前 | 課税なし | 課税なし |
事前通知後から税務調査までの期間 | 5% | 10% |
税務調査後 | 10% | 15% |
(2)無申告加算税
無申告加算税の税率も過少申告加算税と同様に、3つの納付時期によって税率が異なります。
修正申告の時期 | 追加税額50万円未満 | 追加税額50万円以上 |
税務調査の事前通知前 | 5% | 5% |
事前通知後から税務調査までの期間 | 10% | 15% |
税務調査後 | 15% | 20% |
なお、過去5年以内に無申告加算税または重加算税の対象となった方は、追加税額50万円以内は25%、追加税額50万円以上は30%の税率が課されます。
(3)不納付加算税
不納付加算税の税率も、2つの納付時期によって税率が異なります。
修正申告の時期 | 税率 |
税務署の事前通知前 | 5% |
事前通知以降 | 10% |
(4)重加算税
重加算税は、不正事実がある場合に課される税金であり、最も税率が高くなっています。
重加算税には時期によって納付税率が変わることはありませんが、税目によって税率が異なります。
税目 | 追加税額50万円未満 | 追加税額50万円以上 |
過少申告加算税・不納付加算税 | 35% | 45% |
無申告加算税 | 40% | 50% |
(5)延滞税
追徴課税とは別に徴収される延滞税は、納付時期によって税率が異なります。
納付時期 | 税率 |
納期限から2ヶ月以内 | 年率7.3% |
納期限から2ヶ月以降 | 年率14.6% |
納期限から2か月以内 特例:令和3年1月1日~12月31日 |
年率2.5% |
納期限から2か月以降 特例:令和3年1月1日~12月31日 |
年率8.8% |
納付税の算出方法は、以下のとおりです。
(本来の税額×延滞税の割合×日数)÷365 |
4、追徴課税にならないための対策
追徴課税が行われてしまった場合、税務調査を始めとした多くの手間が増えます。
手間を増やさないためには、そもそも追徴課税の対象にならないことが重要です。
本章では、追徴課税にならないための対策を紹介します。
(1)違法行為は厳禁
二重帳簿や書類の改ざんなど悪質な不正行為が発見された場合には、税率が高い重加算税が課され、多額の税金を納めることになります。
また、脱税は刑事告発されることもあり、懲役刑や罰金刑が科されます。
税金面の違法行為は重大な犯罪になり、取り返しのつかないことになるので絶対にやめましょう。
(2)収入申告
給与所得者でも給与以外の収入が20万円を超える場合、は、確定申告が必要です。
個人での確定申告が必要となる代表的なものとして、副業があります。近年、個人でも副業している方は増加している傾向にあります。
副業所得が20万円を超えている場合、確定申告しないと追徴課税が行われる危険性があります。
(3)税理士に依頼することで得られるメリット
確定申告を税理士に依頼することで、追徴課税が行われるリスクを大幅に減少させることが可能になります。
税理士に依頼することで得られるメリットとしては、以下の通りです。
- 確定申告を依頼することで、本業に専念できる
- 圧倒的な経験によって、正確な申告をしてもらえる
- 結果として、追徴課税を回避することにつながる
- 節税対策ができる
- 税務調査になった場合、アドバイスや対応までサポートしてもらえる
追徴課税を回避したい場合、税理士に確定申告を依頼しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
追徴課税は、税法上の用語ではないため正確な定義がないですが、確定申告により申告した税額が少なかった場合、追加で課される税金のことです。
追徴課税が行われないことが最も良いことですが、手違いなどで追徴課税されてしまった場合には、すぐに対処することが重要です。
「そもそも追徴課税の対象となりたくない」と思っている方は、税理士に確定申告を依頼することをおすすめします。
確定申告の依頼の他にも、追徴課税についての悩みや不安がある方は、一度税理士に相談してみると良いでしょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
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