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TAX&ACCOUNTING MALL会社経営マイナンバーの管理とシステム導入を企業で行うためのポイントを解説
2022.12.15 / 更新日:2022.12.13

マイナンバーの管理とシステム導入を企業で行うためのポイントを解説

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マイナンバーは2016年から運用が始まりました。
企業でも「従業員のマイナンバー管理」を行う必要があり、マイナンバーの取り扱いに苦労している担当部署の方も多いのではないでしょうか。

本記事では、

  • マイナンバー制度の概要
  • 企業が行うマイナンバー管理
  • マイナンバー管理システムの選び方
  • マイナンバー管理システム導入のメリット

などについて、税理士法人ベリーベストが幅広く解説していきます。

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1、マイナンバー制度とは

まずはマイナンバー制度の概要とマイナンバー制度が導入された目的についてご紹介します。

(1)マイナンバー制度の概要

マイナンバー制度とは、「社会保障・税番号制度」のことで、国民1人1人に個人番号(=マイナンバー)を付番する制度のことです。

 2013年5月に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)という法律が国会で採択され、2015年10月に施行されました。

(2)マイナンバー制度導入の目的

マイナンバー制度が導入された目的は、大きく以下の2つです。

  • 行政業務での本人確認作業を容易にするため
  • 税金や福祉など複数の制度間で情報を連携しやすくするため

主に、社会保障(健康保険、厚生年金、雇用保険など)や税制、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、行政手続きの利便性の向上を目的としています。

企業においても、このような手続きのために従業員からマイナンバーを取得し、保管する必要があります。
具体的には、従業員の健康保険や厚生年金の加入手続き、従業員の給料から源泉徴収して税金を納入する手続きなどの際にマイナンバーを使用することになるのです。

2、企業が行うマイナンバー管理の流れ

マイナンバーは「特定個人情報」と呼ばれ、個人番号から個人情報が特定されるものです。
マイナンバー法には、マイナンバーの取得や収集・保管、廃棄を正しく行い、特定個人情報保護に関しての記載があります。
マイナンバーを取り扱う際には以下のような義務が発生し、法律に反して不適切な扱いをした場合は罰則を受けることもあるため、正しい対応が求められるのです。

  • 本人確認
  • 安全管理措置
  • 監督責任
  • 説明責任

本章では、企業が行うマイナンバー管理の流れについて解説します。

(1)従業員のマイナンバー取得

①取得の範囲

すべての企業は、全従業員(パート・アルバイトを含む)のマイナンバーを取得しなければなりません。従業員の扶養親族についてもマイナンバーを取得する必要があります。

②利用目的の開示

マイナンバーを取得する際は、個人情報保護法第18条により利用目的を本人に通知または公表しなければなりません。

取得したマイナンバーは、社会保険関係や税の手続きに使用します。

③本人確認

必ず本人確認を行ったうえで、マイナンバーを収集します。本人確認では、身元確認と番号確認の2つが必要です。
例えば、住民票でマイナンバーを提出した従業員の場合、運転免許証やパスポートなど、顔写真と住所・氏名が記載された書類の提出を求めることになります。

(2)取得したマイナンバーの利用

マイナンバーが必要となる書類は、主には年金事務所や税務署に提出する書類です。

具体的には、以下の書類です。

  • 扶養控除等申告書
  • 源泉徴収票
  • 支払調書
  • 雇用保険被保険者資格取得届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 など

(3)取得したマイナンバーの管理・保管

マイナンバーとマイナンバーが記載された書類は、基本的に社会保障や税関係の処理をする場合に限り保管が認められています。それ以外の目的で保管することは認められていません。

(4)不要なマイナンバーの削除・破棄

従業員が退職した場合や、保管義務期間が終了した場合には、企業はその従業員のマイナンバーやマイナンバーの記載された書類・データを全て削除または破棄する必要があります。データは復元ができないように完璧に削除しなければなりません。
ただし、法律などにより一定期間の保管が義務付けられている書類にマイナンバーが記載されている場合は、法律で定める保存期間が優先されます。

3、企業が行うマイナンバー管理の6つの安全管理措置

マイナンバーを管理する企業には、マイナンバーの漏えいや毀損、滅失などの事故を防ぐために安全対策に万全を期すことが求められています(特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン)。

企業が対応すべき安全管理措置は、以下の6つです。

(1)基本方針の策定

企業がマイナンバーを適切に取り扱うための基本方針の策定です。

(2)取扱規程等の策定

取得から廃棄までのマイナンバーの適切な取り扱い方法と、担当者・責任者を明確化させます。

(3)組織的安全管理措置

マイナンバーを安全に取り扱う組織体制整備です。

(4)人的安全管理措置

マイナンバーを取り扱う担当者への教育と監督方法の策定です。

(5)物理的安全管理措置

マイナンバーを取り扱う書類・パソコン等の端末や電子媒体での保管や廃棄方法を明確化させます。

(6)技術的安全管理措置

マイナンバーを取り扱うシステムでのセキュリティ対策です。

4、マイナンバー管理システムとは

以上のように、企業でのマイナンバーの管理には、安全管理措置を講じながら取得から廃棄まで厳重な管理・保管が求められるため、担当者の業務負担が大きくなります。
そこで「マイナンバー管理システム」を導入することによって、担当者の負担の軽減とともに安全性の向上も期待できます。

マイナンバー管理システムとは、マイナンバーに関する全ての業務をクラウド上で管理できるマイナンバー専用のシステムのことです。
紙の書類での管理ではなくシステムを使用することで、マイナンバーに関する全ての作業をシステム上で行うことができます。
さらに、「マイナンバー管理システム」は法律に準拠したシステムのため、法律に沿った管理ができ安心です。

(1)マイナンバー管理システムのメリット

マイナンバー管理システム利用による具体的なメリットを見ていきましょう。

①厳重なセキュリティ

マイナンバーを紙の書類で管理していると、情報漏洩や紛失などのリスクが高まります。
「マイナンバー管理システム」を導入すれば、厳重なセキュリティで物理的・技術的安全管理措置を講じやすくなるため、安全性に配慮しながら事務処理が効率化できます。

②マイナンバー管理の効率化

マイナンバーの取得、収集・保管、廃棄までを一括管理でき、紙の書類での保管が不要になります。
ペーパーレス化により社内で物理的な書類保管スペースは必要なくなり、紛失リスク等の各工程で発生しうる人為的なミスも減らすことが可能です。

マイナンバー管理システムを利用しない場合は、本人確認にあたって書類の郵送でのやりとりなどが発生し、お互いに手間と時間をとられます。

しかし、マイナンバー管理システムを利用すれば、マイナンバーの情報入力依頼や利用目的の連絡をメールやシステム内から通知できるため、スムーズに手続きを完了させられます。

結果として、マイナンバーの収集を行う担当者とマイナンバーを提出する側の従業員双方の手間と時間の削減も可能です。

③マイナンバー入力が必要な書類作成の効率化

源泉徴収票や扶養控除申告書など、マイナンバーが必要となる書類の作成が効率化できます。
通常であればマイナンバーが必要となる書類には、マイナンバーの転記や入力を行わなければなりません。

しかし、マイナンバー管理システムを利用するとマイナンバーは自動的に書類へ反映されるようになっているため、転記や入力を行う手間が軽減されます。転記ミス・入力ミスなどの人為的ミスも防ぐことができます。

④法改正に対応可能

マイナンバー関連で法改定があった場合、作成する書類やマイナンバーの管理方法など大幅に変更されることも考えられます。もし手作業で管理していた場合、その対応に膨大な手間と時間がかかる恐れがあります。

しかし、マイナンバー管理システムは法改定を基にシステムが更新されていくため、対応漏れを防げるでしょう。

(2)マイナンバー管理システムのデメリット

次に、マイナンバー管理システム利用による具体的なデメリットを解説します。

①コストがかかる

マイナンバー管理システム導入により得られるメリットは大きいですが、一方で当然コストがかかります。マイナンバー管理システム導入により軽減される人件費と、導入した場合のコストを比較検討することが重要です。

②セキュリティ面

情報漏洩や書類紛失といったセキュリティ面においては、紙の書類での管理よりもマイナンバー管理システムを利用した方が安全といえるでしょう。

しかしながら、マイナンバー管理システムも完璧ではありません。厳重なセキュリティでも、外部からの不正アクセスやウイルス感染のリスクも皆無とはいえないためです。

(3)マイナンバー管理システムを選ぶポイント

マイナンバー管理システムは複数の会社から販売されているので、セキュリティ対策やシステム利用コストに関しては、十分に比較検討されることをおすすめします。

ここでは、自社に合うマイナンバー管理システムを選ぶための重要なポイントを3つご紹介します。

①自社システムとの連携

マイナンバー管理システムは、単体で導入するより労務管理や勤怠管理、経費精算システムなどとセットで導入するのが基本です。単体の良し悪しよりも、自社で使用している他のシステムとの連携のしやすさから検討しましょう。

マイナンバー管理システムを他のシステムと連携して使うことで、さらなる業務の効率化を期待できます。

②セキュリティ

マイナンバー管理で最も重要なのがセキュリティ対策です。マイナンバーを含む特定個人情報を取り扱っている場合、情報漏洩は重大な罰則が課せられる可能性があります。

下記の視点からセキュリティ面をチェックしましょう。

ログ管理 いつ誰がどのデータにアクセスし作業を行ったか把握できるか
暗号化 万が一データが流出した場合の被害を最小限にするため、データは暗号化できるか
権限設定 不正な操作を防ぐため、管理者アクセス権限は細かく設定できるか
サイバー攻撃対策 ウイルス対策やファイアウォールなどにより、外部からの攻撃を防ぐことはできるか

③企業規模、社員数

マイナンバー管理システムについて、中小企業向けのものと大企業向けのものとでは機能やサービスの違いも大きく、導入する企業の従業員数によっても価格が異なります。
自社の現状を踏まえて、自社に最適な「マイナンバー管理システム」を選ぶようにしましょう。

5、おすすめのマイナンバー管理システム4選

本章では、数多くあるマイナンバー管理システムの中から、おすすめの4選をご紹介します。

それぞれのシステムの特徴をまとめましたので、ぜひ自社に合うシステムをご検討ください。

(1)マイナンバー管理に特化した単独システム

現在利用している給与や労務システムなどはそのままで必要な機能だけを追加したいという企業におすすめのシステムを2つご紹介します。

①マネーフォワード クラウドマイナンバー

https://biz.moneyforward.com/mynumber/

【特徴】

  • セキュリティ性能が高い(収集時に、システムで本人確認書類の依頼と利用目的の通知が可能)
  • 二段階認証に対応(収集方式をID・パスワード方式とワンタイムURL方式から選べる)
  • 給与システムであるマネーフォワードクラウド給与とAPI連携して管理できる

【料金】(50名以下の法人の場合)

年額プラン 2,980円/月〜、年額 35,760円〜

月額プラン 3,980円/月〜

②奉行Edge マイナンバークラウド

https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/mynumber

【特徴】

  • 1万3千社の導入実績
  • 3段階認証に対応(電子証明書認証、利用者ID+パスワード認証、ワンタイムパスワード認証の3段階)
  • 奉行シリーズと自動連携可能
  • その他、一部API連携にも対応しているため基幹システムとの連携もスムーズ

【料金】(20名以下の法人の場合)

年額プランのみ

月額(初年度):2,500円(年間利用料(初年度):30,000円、次年度18,000円)

(2)マイナンバー管理の機能が人事労務管理システムに組み込まれているシステム

従業員の個人情報を一元管理して、人事労務管理や手続き全般を効率化するのに適しているシステムをご紹介します。

①SmartHR

https://smarthr.jp/function/my-number/

【特徴】

  • 人事労務業務手続きをWeb上で完結(人事労務関連書類も自動作成可)
  • 従業員に直接マイナンバー登録を依頼することが可能
  • マイナンバーなど機密情報の暗号化や二段階認証

【料金】

要お問い合わせ

②freee人事労務

https://www.freee.co.jp/my-number/

【特徴】

  • マイナンバー管理を無料から始めることが可能
  • マイナンバーの取得、収集・保管、廃棄までをクラウド上で完結
  • 暗号化やファイアウォールによる隔離でセキュリティ性を確保

【料金】

初期費用:0円

月額費用1,980円(税抜)~

ビジネスプランは都度お問い合わせ

まとめ

今回は、企業がすべきマイナンバー管理から、マイナンバー管理システム導入のメリット・デメリットや選び方などを解説してきました。

マイナンバーは、重要な個人情報であるため厳重な管理が求められます。
万が一、マイナンバーが流出した場合は法的な処罰だけではなく、企業の社会的信用の低下にも繋がりかねません。

マイナンバーの管理業務は非常に手間がかかり、担当者の業務の負担が大きくなります。そこで、自社のマイナンバー管理を効率化したい場合は、自社に合ったマイナンバー管理システムの導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

税理士法人ベリーベスト 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。