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TAX&ACCOUNTING MALL税金使用人兼務役員ってなに?給与の計算方法や節税対策について詳しく解説!
2022.1.28 / 更新日:2022.01.26

使用人兼務役員ってなに?給与の計算方法や節税対策について詳しく解説!

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使用人兼務役員という言葉を初めて聞いたけれど、具体的にどのような人のことだろう……。
役員と何が違うのかよく分からない……。

以上のように、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、使用人兼務役員の概要について説明したうえで、

  • 使用人兼務役員のメリット
  • 使用人兼務役員における報酬の計算方法と賞与

などについて、解説します。

あわせて、使用人兼務役員になれない場合についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

使用人兼務役員について詳しく知ることで、自社の節税対策ならびに従業員のモチベーションアップに取り組みましょう。

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1、そもそも使用人兼務役員とは

使用人兼務役員とは、一体どのようなものなのでしょうか。
本章では、使用人兼務役員の概要部分の解説をしていきます。

(1)使用人兼務役員の定義とは

使用人兼務役員の定義は、以下の2つの条件に当てはまる者のことです。

  • 役員のうち部長や課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有する者
  • 常時使用人としての職務に従事する者

簡単にいえば、使用人兼務役員とは、企業における「役員と従業員の業務を兼務している社員」のことです。

職制上の地位には、支店長や工場長、営業部長などの立場で業務を遂行する者が含まれています。

(2)使用人兼務役員の範囲

使用人兼務役員に該当しない人たちの範囲は、法人税法において定められています。
基本的な要件は、以下のとおりです。

  • 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人
  • 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員
  • 合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員
  • 取締役(委員会設置会社の取締役に限ります。)、会計参与及び監査役並びに監事

その他、詳細については、No.5205 役員のうち使用人兼務役員になれない人|国税庁をご覧ください。

(3)使用人兼務役員と役員の違い

使用人兼務役員と役員は、以下の3点において違いがあります。

  • 給与
  • 賞与
  • 雇用保険

本項では、それぞれ具体的にどのような点が違うのか、解説します。

①給与

役員の場合:役員報酬は一年を通じて、同一の金額で支給する必要がある
使用人兼務役員の場合:役員報酬は同一であるが、使用人部分の給与は毎月変動させることが可能

②賞与

役員の場合:事前確定届出給与に関する届出書により事前に届出をする必要がある
使用人兼務役員の場合:使用人部分の賞与については事前確定届出給与に関する届出書を提出する必要がない

③雇用保険

役員の場合:雇用保険に加入することができない
使用人兼務役員の場合:ハローワークで認定が受けられれば、雇用保険への加入が可能

2、使用人兼務役員のメリットとは?節税対策にもつながる?

前章では、使用人兼務役員の定義や範囲、役員との違いについて説明してきました。

本章では、使用人兼務役員のメリットについて解説していきます。
具体的には、以下の3つです。

  • 賞与の支給が可能
  • 使用人部分の給与部分は、定期同額給与の適用がない
  • 雇用保険への加入が可能

(1)賞与の支給が可能

使用人兼務役員になると、賞与(ボーナス)の支給が可能になります。
本来、役員の立場では、賞与を受け取ることができません。
従業員にとって、賞与は仕事におけるモチベーション向上につながります。

賞与は経費として計上すること(損金算入)が可能であるため、企業の節税対策も同時に行うことができます。
使用人兼務役員をおくことは、従業員だけでなく企業にとっても大きなメリットです。

(2)使用人の給料分は、定期同額給与の適用がない

使用人兼務役員の使用人部分の給与については、毎月の定期同額給与の適用がありません。
本来、役員報酬に関しては1年間、同じ金額で支給し続けなければ、損金算入することができませんでした。

ただ、使用人兼務役員の場合、使用人分と役員分の給与が組み合わされたものになります。
役員報酬の場合は1年間、支給額を増減させることはできませんが、使用人部分の給与額に関しては、毎月増減させることが可能です。

使用人兼務役員の給与は、税務調査時には、使用人分と役員分の給与が、それぞれどのように決められているのかを見られるため、株主総会議事録に明記しておくようにしましょう。

(3)雇用保険への加入が可能

本来、役員は雇用保険の加入が認められていません。
しかし、使用人兼務役員になると、雇用保険への加入が可能です。

使用人兼務役人は他の従業員に比べ、申請の手続きに少し手間がかかります。
ハローワークには、以下の書類を提出しましょう。

  • 取締役等の雇用保険被保険者資格要件証明書
  • 労働者名簿
  • 賃金台帳
  • 定款
  • 登記簿謄本
  • 株主総会議事録・取締役会議事録
  • 総勘定元帳や法人税確定申告書等

使用人兼務役員は、役員の立場でありながら、使用人部分の範疇において有給休暇を取得することもできます。

3、使用人兼務役員における報酬の計算方法と賞与について

前章では、使用人兼務役員のメリットについて説明してきました。

本章では、使用人兼務役員における報酬の計算方法と賞与について解説していきます。
計算方法については、使用人分と役員分の給与に分けて考えていきます。

(1)使用人分の給与

使用人分の給与は、以下の計算式で算出できます。

適正使用人分給与=支給金額ー役員報酬

 

適正使用人分給与とは、「類似する職務に従事する使用人に支給している給与」を参考に定められます。

例えば、役員と経理部長を兼務している場合の給与は、総務部長の給与体系を基に適正使用人分給与が算出されます。

(2)役員分の給与

役員分の給与は、以下の計算式で算出できます。

役員報酬=支給金額ー適正使用人分給与

 

適正使用人分給与の金額が算出できれば、支給金額から差し引いた金額が役員報酬になります。

(3)賞与の時期

使用人兼務役員の賞与の時期は、他の従業員と同じタイミングで支給しなければなりません。
賞与を異なる時期に支給した場合、損金不算入となるからです。
使用人兼務役員だけ別のタイミングで支給していれば、従業員の賞与とは言えないでしょう。

賞与の支給時期に未払金として処理し、他の役員への給与の支給時期に支払った場合も、損金不算入となります。

使用人分の賞与に関しても、毎月の給与と同じように、客観的にみて適正な金額を支給しましょう。

4、使用人兼務役員になれない場合とは

使用人兼務役員になれない役員も存在するため、確認しておく必要があります。

法人税法の「使用人兼務役員とされない役員」の規定によると、「職制上の地位を有する役員」と明記されています(No.5205 役員のうち使用人兼務役員になれない人|国税庁)。

定款や株主総会等の決議で、役員として役職が任命された者に該当し、使用人としての職制上の地位を有していない場合は、使用人兼務役員になることができません。

その他にも、たとえば代表取締役の配偶者は、使用人兼務役員になれない可能性が高いでしょう。

まとめ

今回は、使用人兼務役員の概要やメリットに加え、報酬の計算方法などについて解説してきました。
使用人兼務役員と役員の違いについて、理解している方はあまり多くありません。

この記事を参考に、使用人兼務役員について詳しく理解することで、自社の節税対策ならびに従業員のモチベーションアップに取り組みましょう。

なお、使用人兼務役員に限らず、会社経営について不安や疑問がある場合には、税理士への相談がおすすめです。

  • 使用人兼務役員を含む会社経営に関することについて、税理士へ相談・依頼することで、
  • 使用人兼務役員における報酬の計算方法のアドバイス
  • 決算や確定申告の代理等
  • 節税対策のための施策等

などのサポートが可能です。

他にも、経理・会計や税金の面でのサポートも可能となります。
不安があったら、気軽に税理士へ相談しましょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。