シンジケートローンとは?利用時のメリット・注意点について簡単解説
資金を集めるために、シンジケートローンという方法を検討しているものの、「具体的にどのような特徴があるのか分からない……」という方もいらっしゃるかもしれません。
複数の金融機関からまとめて融資を受けられる「シンジケートローン」の利用は、年々増加傾向にあります。
今回の記事では、
- シンジケートローンとは
- シンジケートローンの6つのメリット
- シンジケートローンの3つの注意点、デメリット
- シンジケートローンの適切な活用方法
について解説いたします。
この記事で、シンジケートローンについての理解が深まり、自社への適切な活用へとつなげていただければ幸いです。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
1、シンジケートローンとは
シンジケートローンとは、複数の金融機関(シンジケート団)から、同一条件で融資(ローン)を受ける資金調達の方法です。「協調融資」とも呼ばれます。
借りる側としては、複数の金融機関から融資を受けられるため、多額の資金調達が可能です。
一方、貸す側としては、シンジケート団を組織することで、融資に伴う負担やリスクの分散につながります。
この章では、シンジケートローンにおける
- 仕組み
- 種類
- 利用状況
について、解説していきます。
(1)シンジケートローンの仕組み
シンジケートローンの仕組みとして、
- シンジケートローンに関する用語
- シンジケートローンの流れ
について解説します。
①シンジケートローンに関する用語
まずは、シンジケートローンに関して、一般的に利用される、以下の用語について押さえましょう。
用語 | 意味 |
シンジケート団 | 融資を行う、複数の金融機関からなる団体。 |
アレンジャー | シンジケート団をまとめる幹事役。 |
エージェント | 複数機関との契約や金銭の管理をまとめて行う、事務代行者。 |
②シンジケートローンの流れ
シンジケートローンによる資金調達は、以下の流れで行われます。
- 1.融資を受けたい顧客が、アレンジャーを指名
- 2.指名されたアレンジャーが、シンジケート団を組織
- 3.エージェントを介して、契約書の作成、調印
- 4.借入を申請し、融資実行
形式上は、複数の金融機関から融資を受ける形ですが、顧客が実際にやり取りするのは、アレンジャーとエージェントのみです。
場合によっては、同一機関がアレンジャーとエージェントを務めることもあります。
(2)シンジケートローンの種類
シンジケートローンには、以下の3種類の方式があります。
- コミットメントライン方式
- タームローン方式
- コミット型タームローン方式
それぞれについて、解説していきます。
①コミットメントライン方式
コミットメントライン方式とは、事前に設定した金額と期限内であれば、いつでも短期的な融資を受けられる方式です。
一般的には、
- 運転資金
- 緊急時の保険的な資金
として、短期的な資金調達に利用されます。
②タームローン方式
タームローン方式とは、証書借入により、長期的な融資を受ける方式です。
一般的には、
- 継続的な運転資金
- 設備資金
- リファイナンス資金
として、長期的な資金調達に利用されます。
③コミット型タームローン方式
コミット型タームローン方式とは、事前に設定した金額と期限内であれば、いつでも長期的な融資を受けられる方式です。
一般的には、資金調達時期が未確定な、
- 運転資金
- 設備資金
- リファイナンス資金
として、長期的な資金調達に利用されます。
(3)シンジケートローンの利用状況
「一般社団法人 全国銀行協会」では、シンジケートローンの利用状況に関するデータが公開されています。
下の図から、シンジケートローンの組成件数は、2010年を境に大きく増加しています。
シンジケートローンの組成金額についても、増加傾向にあることがわかるでしょう。
2、シンジケートローンを利用する6つのメリット
シンジケートローンによる資金調達には、主に以下6つのメリットが挙げられます。
- 巨額の資金を調達できる
- 複数の金融機関から同一条件で融資を受けられる
- 取引に関する業務を任せられる
- 柔軟な借入条件・返済スケジュールが設定できる
- 多くの金融機関と関係を築ける
- 財務面における信用力の高さをアピールできる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
(1)大規模な資金を調達できる
シンジケートローンでは、複数の金融機関から融資を受けられるため、多額の資金調達が可能性です。
貸し手側としても、融資に伴う負担やリスクを分散できる、というメリットがあります。
(2)複数の金融機関から同一条件で融資を受けられる
シンジケートローンでは、複数の金融機関と同一条件で融資契約を結びます。
そのため、融資に伴い発生する、金利や手数料を一本化できるのです。
金融コストを一本化することで、バランスシートなどの会計的な処理も楽になります。
新しく契約を結びたい金融機関をシンジケート団に入れることで、新たな取引先とも同一条件での契約が可能です。
(3)取引に関する業務を任せられる
基本的に、取引に関する業務は、アレンジャーとエージェントが行います。
そのため、融資の際に発生する
- 契約の交渉
- 金利や手数料などの金銭管理
など、事務的な負担を減らすことが可能です。
(4)柔軟な借入条件・返済スケジュールが設定できる
シンジケートローンでは、キャッシュフロー計画等に応じた柔軟な条件を設定できます。
自社の経営状態に応じて、
- 金利
- 返済期間
- 担保
などを柔軟に組めるため、財務体質の改善にも繋げられるのです。
(5)多くの金融機関と関係を築ける
シンジケートローンでは、複数の金融機関と契約を結ぶため、多数の金融機関と関係を築けます。
返済計画を滞りなく実行できれば、信用を得ることができ、多くの実績を積むことが可能です。
金融機関と良好な関係を築くことで、別の金融機関を紹介してもらえる可能性もあり、さらなる資金調達先の確保につながります。
(6)財務面における信用力の高さをアピールできる
シンジケートローンによる契約を結ぶには、それなりの信用力の高さが求められます。
一方で、シンジケートローンの契約が締結できれば、株主や投資家に向けて、
- 先進的な企業イメージ
- 十分な資金調達能力
などの、対外的なアピールも可能となります。
3、シンジケートローンの3つの注意点、デメリット
シンジケートローンの利用を検討する場合には、主に以下3つの点に注意しましょう。
- 高い信用力が必要
- 利息以外の手数料がかる
- 一般的な融資より、契約までに時間がかかる
本章では、各注意点の具体的な内容について、解説していきます。
(1)高い信用力が必要
シンジケートローンは、複数の金融機関と契約を結ぶという性質上、審査に通るために高い信用力が必要です。
具体的には、「詳細な事業計画書」や、「事業の収益性」が非常に重視されます。
以上のことから、シンジケートローンは、業績が軌道に乗っており、さらなる事業拡大などを検討している企業に向いている資金調達方法といえるでしょう。
(2)利息以外の手数料がかる
シンジケートローンでは、複数機関と円滑に取引するために、アレンジャーやエージェントが存在します。
そのため、一般的な融資では発生しない、
- アレンジメントフィー
- エージェントフィー
といった、利息以外の手数料を、追加で負担する必要があるのです。
①アレンジメントフィー
アレンジメントフィーとは、アレンジャーに支払う手数料です。
アレンジャーの主な業務としては、顧客から受けった融資条件に従い、
- 各金融機関との契約の交渉、締結
- 契約書(タームシート)の作成
- シンジケート団の組成
を行います。
上記のような業務への報酬として、アレンジメントフィーが発生するのです。
②エージェントフィー
エージェントフィーとは、エージェントに支払う手数料です。
エージェントの主な業務は、債権の回収と金融機関への分配です。
契約内容によっては、
- 貸付の実行
- 関係者間の連絡
- 担保管理
などの業務を行います。
上記のような業務への報酬として、エージェントフィーが発生するのです。
(3)一般的な融資より、契約までに時間がかかる
シンジケートローンは、一般的な融資より、手続き事項が多いため、契約までに時間がかかります。
複数の金融機関と契約するということもあり、
- アレンジャーの指名
- 詳細な事業計画書
- 数十ページに及ぶ契約書
などが必要です。
早急に資金を調達したい場合には、シンジケートローンの利用は、あまり向いていないと言えるでしょう。
4、シンジケートローンなど資金調達のお悩みは税理士に相談!
シンジケートローンなどの資金調達を検討したいが、「手続きが複雑そう……」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
もし、効率的で効果的な資金調達を実現したい場合には、税理士へ相談することをおすすめします。
特にシンジケートローンを利用する際には、税理士に依頼することで、以下のようなメリットが得られます。
- 信頼できるアレンジャー指名のサポート
- 標準契約書などの複雑な必要書類の作成
- 資金調達に関するアドバイスをもらえる
(1)信頼できるアレンジャー指名のサポート
税理士へ相談することで、信頼のおけるアレンジャーを指名できます。
シンジケートローンにおいて幹事役ともいえる「アレンジャー」は、契約の中核担う、重要な存在です。
さまざまな金融機関とコネクトを持っている税理士へ相談することで、重要な契約を任せられるアレンジャーを紹介してもらえるでしょう。
(2)事業計画書などの必要書類の作成
シンジケートローンでは、複数の金融機関の審査にあたり、詳細な事業計画書などの書類作成が必要になります。
融資額が高額になる分、通常の融資より、高い収益性を上げられる計画書が求められるのです。
書類作成の経験が豊富である税理士へ相談することで、高品質な書類作成が実現できます。
(3)資金調達に関するアドバイスをもらえる
資金を調達する上では、経営状況や事業内容などを考慮した、資金計画を立てる必要があります。
会社の経営は、「適切なタイミングで、過不足ない資金調達を行えるかどうか」によって左右されます。
しかし、資金調達に関する法律や法令は複雑であり、誤った手続きをしてしまうことによって、無駄なコストが掛かってしまった……なんてこともあるかもしれません。
自社にとって無駄なく、最適な資金管理を検討されているなら、会計と税金のプロである税理士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、「シンジケートローン」について解説しました。
シンジケートローンは、複数の金融機関から同一条件で融資を受けられるため、大規模な資金調達が可能です。
一方で、利息以外の手数料や、契約までの手続きの複雑さが伴います。
シンジケートローンでの資金調達を検討している方は、気軽に税理士へ相談してみましょう。
シンジケートローン以外にも、資金調達に関する不安や悩みは、税理士への相談がおすすめです。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。