べリーベスト税理士事務所がお届けする企業経理・税務に関する情報メディア

TAX&ACCOUNTING MALL会社経営ディスクロージャーの実務とは?【IPO担当者必見!】
2022.4.19 / 更新日:2022.04.18

ディスクロージャーの実務とは?【IPO担当者必見!】

LINE
Facebook
Twitter
このエントリーをはてなブックマークに追加

ディスクロージャ―という言葉を耳にすることが増えていますが、具体的には何のことなのでしょうか?

もともとの英語の語源は、dis-(反対・否定などの意)と close(閉じる)が一緒になった disclose のことで、ディスクロージャ―とは、「閉じないこと」=「情報を隠さないこと」=「情報を開示すること」を意味します。
本記事では、特に上場(IPO)を目指している企業が実施すべき「ディスクロージャ―」について、べリーベスト税理士事務所が解説します。
具体的に、誰に・何を・どこで・いつ、ディスクロージャ―(情報開示)すればよいのかが、わかるでしょう。ぜひ、最後までご覧いただけると幸いです。

税理士の相談随時受付中
当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。

お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
営業時間:平日10:00〜17:00 / メール受付24時間
実績豊富なべリーベスト税理士事務所が監修!法人税ガイド無料配布

1、 ディスクロージャーとは何か?

ディスクロージャーとは、企業や政府、地方自治体などが自らの「情報開示」をすることです。
本章では、企業のディスクロージャーについて解説します。

(1)ディスクロージャーの目的

ディスクロージャー(情報開示)には、以下の2種類があります。

  • 法律や規制によるもの
  • 企業がIR活動(企業が株主や投資家に投資判断に必要な情報提供)の一環で行っているもの

目的は、それぞれ以下のとおりです。

  • ①投資家保護
  • ②企業の透明性を高め、信頼性を追求

①投資家保護

法律・規則(金融商品取引法、会社法、証券取引所規則など)が、投資家保護を目的として、投資家や株主・取引先などに企業の経営状況を広く一般に公開させることを規定しています。
具体的には、有価証券報告書の開示、決算短信の発表などがあります。こういった企業のデータを公開することで、投資家・株主は、その企業が投資対象として適切かどうかの判断できるようになります。

②企業の透明性を高め、信頼性を追求

特に法的な規定はなく、主に企業が株主・投資家などの利害関係者に対してIR活動の一環で行うものです。情報公開方法や内容は企業が自由に決めて発信できる任意の取り組みです。
有価証券報告書などからは読み取れない今後のビジョンや将来への投資などの戦略や、最近ではCSR報告書、SDGsに対する取り組みなど、企業の魅力度などをアピールできます。

(2)ディスクロージャー(情報開示)の相手

企業のディスクロージャーの場合、情報開示する相手は
・ 既存株主
・ 投資家
・ 債権者
・ 取引先
・ 顧客
・ 従業員
などの利害関係者です。

(3)ディスクロージャー(情報開示)のメリット

企業の経営状況などを情報公開することで、企業の透明性を高めることができ、株主や投資家などから信頼を得られやすくなります。
経営状況次第ですが、結果として安心して投資していただくことが可能です。

さらに、取引先や顧客、自社従業員に対しても、社会的に存在意義のある信頼できる会社としてアピールすることで、継続取引につながりやすくなります。

(4)ディスクロージャー(情報開示)のデメリット

①コストがかかる

情報開示するためには、コストがかかります。
具体的には、正確な情報管理のために関わる人員確保です。

②不利益リスク

情報開示したことによって、不利益リスクがあります。
具体的には、開示内容によって、訴訟などのリスクが生じます。
さらに、情報開示はマイナスの情報も開示することになるため、株主・投資家・取引先・顧客・従業員などの利害関係者が離れていくリスクも考えられるでしょう。

2、何をディスクロージャー(情報開示)するのか

では、ディスクロージャー(情報開示)の開示対象は何でしょうか?
大きく、以下の3種類に分けられます。

  • 法定開示(有価証券発行者の義務)
  • 適時開示(上場企業の義務)
  • 任意開示

(1)法定開示(有価証券発行者の義務)

法定開示(有価証券発行者の義務)とは、法律で義務付けられている情報開示で、「金融商品取引法」と「会社法」で規定されています。

①金融商品取引法による規定

金融商品取引法では、有価証券届出書を始めとする各種開示書類の提出を義務づけています。
有価証券を発行する企業には「有価証券届出書」の提出義務が、上場企業には「有価証券報告書」及び「半期報告書」の提出が義務付けられています。

②会社法による規定

会社法では、株主・債権者に対する報告および一般公衆への公告を義務付けており、定時株主総会の招集通知に、計算書類(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書)と事業報告の必要があります。
ただし、自社ホームページでの開示を行っている会社と、上場企業で既に有価証券報告書の提出をしている会社については、会社法による公告は免除されます。

(2)適時開示(上場企業の義務)

証券取引所規則により、投資家の意思決定に重要な影響を与える決定事項については、適時情報開示が要求されます。
適時に開示するということで、タイムリー・ディスクロージャーとも言われています。
開示が義務付けられている情報は、具体的には、以下のとおりです。

  • 年次報告での決算短信(通年決算短信)・四半期報告での決算短信(四半期決算短信)など決算に関する情報
  • 株式の発行や売り出し・自己株式の取得・合併などの決定事項
  • 災害や訴訟等の発生事実

(3) 任意開示

IR活動など企業が、任意で行う情報開示です。
具体的な開示内容としては、以下のような企業活動に関わることを広く開示します。

  • 法定開示・適時開示義務のある有価証券報告書
  • 決算短信
  • 事業状況
  • 今後の見通しなど

3、どこでディスクロージャー(情報開示)するのか?

(1)法定開示

有価証券を発行する企業は、「有価証券届出書」を内閣総理大臣に提出します。
上場企業は、有価証券報告書を、金融庁のEDINET(有価証券報告書等の開示書類を閲覧するサイト)に開示します。

法定開示については、投資家保護が目的のため、情報に間違いがあると投資家は正しい判断ができません。
適切な情報を開示できるように、有価証券報告書の提出義務に加え、監査法人や公認会計士による監査も義務付けられます。

会社法に基づく開示方法は、以下のとおりです。

  • 株主に直接送付
  • 貸借対照表および損益計算書を官報または日刊紙の全国版での公告

(2)適時開示

決算短信は、東京証券取引所のTDnet(適時開示情報伝達システム)に開示します。

(3)任意開示

一般的には、企業のホームページなどに「IR情報」ページを作成し、その中に法定開示・適時開示義務のある有価証券報告書、決算短信のほか、事業状況、今後の見通しなどを掲載します。
プレスリリース、テレビや新聞などでのメディア公告や、決算発表会を行うこともあります。

4、いつディスクロージャー(情報開示)するのか?

法的開示について、金融庁への各提出期限は決まっています。
・有価証券報告書及び内部統制報告書:事業年度終了後3ヶ月以内
・有価証券報告書及び四半期報告書 :四半期会計期間経過後45日以内
・有価証券報告書及び半期報告書:中間会計期間経過後3ヶ月以内

適時開示については、以下のとおりです。
・決算短信・四半期決算短信:決算期末後45日以内

ただし、企業が決定あるいは発生した重要事実に関する情報や、大幅な決算予想修正があった場合は、判明した時点で直ちに開示する義務があります。

5、どの企業にディスクロージャー(情報開示)義務があるか?

法的開示については、有価証券を発行している企業すべてに情報開示義務があります。
「上場企業だけが対象?」と思われがちですが、非上場企業でも、大規模な募集や売り出しを行っていたり、所有者が増えれば有価証券報告書の提出義務が発生したりするので注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
企業の経営内容や財務状況を適切にディスクロージャー(情報公開)することで、透明性を高め、企業を支える多くの利害関係者からの信頼の維持・向上を目指しましょう。

LINE
Facebook
Twitter
このエントリーをはてなブックマークに追加
ホワイトペーパー各種無料プレゼント!
税理士の相談随時受付中
当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
営業時間:平日10:00〜17:00 / メール受付24時間

最近の投稿

この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。