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TAX&ACCOUNTING MALL税金納税管理人とは?適切な納税管理人選任のために知りたい5つのこと
2022.4.27 / 更新日:2022.05.02

納税管理人とは?適切な納税管理人選任のために知りたい5つのこと

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「納税管理人ってどういう制度なの?」
「これから海外に居住予定だけれど、納税管理人は誰に任せればいいの?」

以上のような悩みを持っている方々は、少なくないのではないでしょうか。

納税管理人は、海外に居住している方など、日本に住所がない方に代わって納税する人のことです。

あまり聞きなれない言葉だと思いますが、納税管理人を必要とする場合に正しい知識を持っていないと、間違った選任をしてしまうかもしれません。

「納税管理人」についての疑問を持っている方のために、今回は、

  • 納税管理人とは
  • 納税管理人の対象
  • 納税管理人の仕組み
  • 納税管理人の注意点
  • 税理士に納税管理を依頼するメリット

について、解説します。

本記事を参考に納税管理人についての正しい知識をつけることに繋がり、適切な納税管理人を選任する手助けとなれば幸いです。

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1、納税管理人とは

納税管理人とは、どういうものなのでしょうか。

本章では、納税管理人がどういう人のことを指し、どのような業務を行うかについて紹介をします。

(1)納税管理人の概要

納税者が海外に居住し、日本に住所を有していない場合でも、申告書の提出やその他国税に関する事項を処理する必要があります。

納税者が海外にいる場合、上記のような納税事務処理を行うことができません。

海外にいる納税者に代わって、納税事務処理を行う者のことを「納税管理人」といいます。

納税管理人の対象については、後ほど「2、納税管理人の対象」で詳しく紹介しますが、例えば、その年に一定の所得がある場合、出国までに確定申告をすべき必要があります。
確定申告をせずに出国すると、無申告加算税や延滞税などの罰則の対象となってしまうので、注意が必要です。
万が一、確定申告が出国までに済まない時には、納税管理人に依頼します。

(2)納税管理人の業務

納税管理人の主な業務は、次の3つになります。

  • 非居住者の確定申告書を提出し、各種税金を納付すること
  • 国税の還付金を受け取ること
  • 税務署から送付される書類を受け取ること

なお、納税者が滞納等により財産を差し押さえられても、納税管理人が連帯して責任を問われることはありません。

2、納税管理人の対象

納税管理人を「依頼する人」と、「依頼される人」がいますよね。

本章では、納税管理人が必要になるケースはどんな時なのか、納税管理人になれる人
は何が必要なのかについて紹介します。

(1)納税管理人が必要なケース

例えば、海外に居住していても、国内に不動産を所有していて申告が必要な所得が生じたり、日本の相続税や贈与税を納付しなければならない場合があります。

本項目では、納税管理人が必要になる次のケースについて、紹介したいと思います。

  • 日本にある不動産に係る収入がある場合
  • 住民税・固定資産税等の地方税の納税義務がある場合
  • 相続税や贈与税が発生した場合
  • 海外に出発するまでに一定の所得がある場合
  • 株式を売却した場合
  • 日本の企業から配当や利子、ロイヤリティを受け取った場合

①日本にある不動産に係る収入がある場合

日本で不動産を所有しており、賃貸や売却などによって収入がある場合は、国内源泉所得とされるので、日本で確定申告をする必要があります。

②住民税・固定資産税等の地方税の納税義務がある場合

不動産の所有者は、1月1日時点で個人か法人かを問わず、固定資産税等の納税義務があります。
また、1月1日時点で日本国内に居住していた場合は、住民税の納税義務が発生します。

③相続税や贈与税が発生した場合

親が亡くなって相続によって財産を取得したときに発生する相続税や、個人から財産を譲り受ける際に発生する贈与税は、海外に居住していても日本での納税が必要です。

④海外に出発するまでに一定の所得がある場合

海外に居住することになる年の1月1日から出発までの間に、日本国内で一定の所得を得ている場合は、所得税が発生することがあります。原則として、出国の日までに確定申告を済ませて所定の税金を納付する必要があります。確定申告書を提出し、納付できない場合、納税管理人を選任しなければなりません。

⑤株式を売却した場合

日本国内で株式を売却した際には、課税対象となります。
特定口座であれば原則、申告不要になります。

⑥日本の企業から配当や利子、ロイヤリティを受け取った場合

租税条約によって、免税になる場合もあります。

(2)納税管理人になれる人

納税管理人を任される側には、資格等が必要ありません。

納税管理人になるための唯一の条件は、「居住地が日本にある」ことです。
日本に住所があれば、個人でも法人でも、納税管理人として納税を一任することができます。

日本に居住していれば誰でもなることができる納税管理人ですが、

  • 「依頼できる人がいない」
  • 「税務相談をしたい」
  • 「確定申告書の作成が難しい」

以上のような悩みをお持ちの場合、税理士に納税管理人を任せるのがおすすめです。

確定申告の提出や税務署からの書類受け取り程度の事務処理だけなら、日本に住所があれば納税管理人は誰に任せても構いません。

しかし、税務相談や確定申告書の作成を依頼する場合は注意が必要です。

上記のような業務は「税理士の独占業務」であるため、依頼する納税管理人は税理士資格を有する者である必要があります。

基本的には、確定申告書の作成・提出、納税や税金に関する事項を処理する必要があるため、税金のプロである税理士に納税管理人を依頼することが一般的です。

3、納税管理人の手続き

納税管理人を選任する場合には、手続きが必要になります。
税金の種類によって手続きが異なるので注意が必要です。

(1)手続き方法

納税管理人を選出する場合は、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を納税地を管轄する所轄税務署に提出しなければなりません。

ただし注意点として、納税管理人の依頼者が国内不動産を所有していて賃貸収入がある場合、その不動産のある管轄税務署に提出する必要があります。

納税管理人の届出書には、納税管理人を定めた理由などを記載しなければいけません。

納税管理人を定めた時、もしくは出国の日までに、納税者の納税地の所轄税務署に届出書を提出します。

また、前章「2、納税管理人の手続き」で納税管理人が必要なケースを紹介したように、どの場合も日本で確定申告する必要がありますが、確定申告をすれば納税管理人を選任する必要がありません。

確定申告を日本で行えない場合に、納税管理人を選任する必要があります。

(2)各種税金によって納税管理人選出手続きが異なる

所得税や住民税、固定資産税によって、納税管理人の選出手続きの方法が異なります。

本項では、それぞれの税金における納税管理人の選出手続き方法について解説します。

①所得税

所得税の手続き方法は、基本的に「(1)手続き方法」で説明したとおりです。
納税管理人の届出書の提出先は、以下の表のとおり、状況によって異なります。

状況 提出先
出国者の納税地とされていた日本国内の住所に親族が居住している場合 その住所地の所轄税務署
出国者に国内不動産の賃貸収入がある場合 その不動産のある所轄税務署
いずれも該当なし 依頼人が今まで利用していた税務署

②住民税

住民税の手続きは、1月1日の住所地の市区町村に「納税管理人申告書」を提出します。
所得税の手続きの際に提出する「納税管理人の届出書」とは書類が異なるので、注意が必要です。

③固定資産税

固定資産税の手続きは、不動産の所在地の市区町村に「納税管理人申告書」を提出します。
固定資産税の場合も、「納税管理人の届出書」とは異なる書類が必要なので注意が必要です。

4、納税管理人を依頼する際の注意点

納税管理人を依頼する場合には、以下のような点に注意しましょう。

  • 税制改正
  • 不動産の源泉所得税
  • 解任する場合
  • 確定申告書の提出期限

(1)税制改正

令和3年度の税制改正大綱では、納税管理人制度の拡充が財務省から発表されました。

①税制改正の背景

非居住者に税務申告及び納税義務があるものの、支払者に源泉徴収等の義務が存在しない場合(例:非居住者が事業譲渡類似株式課税を受ける場合)もあります。

上記のような場合、国税当局が非居住者に対して納税申告や更正処分を行う以外に、課税を完結させる手段はありませんでした。

上記のような状況において、国税当局が、

  • 非居住者の所在を把握し、連絡を取ることは簡単ではない
  • 国税当局において、更正処分を行うにしても税務調査が困難
  • 居住所がわからなければ送達できない

などを背景に、「納税者間の公平が担保できない」と問題視されていました。

②税制が改正される

令和3年度の税制改正において、税務申告及び納税義務があるものの、支払者に源泉徴収等の義務が存在しない非居住者に対し、所轄税務署長等は納税管理人を求めることができるようになりました。

さらに、納税管理人を定めることに応じない場合は、納税管理人を一方的に指定できる枠組みも導入されています。

(2)不動産の源泉所得税

不動産を賃貸・売却した場合には、次の税率により計算した所得税及び復興所得別所得税が源泉徴収されます。

①不動産を賃貸した場合の所得税及び復興特別所得税

国内の不動産を賃貸として貸し出す場合は、原則として「20・42%」の源泉徴収が必要になります。

②不動産を売却した場合の所得税及び復興特別所得税

国内の不動産を売却することになったら、「売却代金×10・21%」の源泉徴収が必要になります。

(3)解任する場合

一度納税管理人を任された後に、納税者が帰国をするなどして、納税管理人が不要になる場合があります。
納税管理人が不要になったら、納税管理人を解任する手続きが必要です。

「納税管理人の解任届出書」を提出することで、いつでも解任することができます。

(4)納税管理人にやってもらうべきこと

納税管理人を依頼する人は、納税管理人を出国するまでに選任しなければなりません。
納税管理人を選出したら、納税管理人には注意してやってもらうべきことがあります。
注意してやってもらうべきことは、確定申告書の提出です。確定申告書には提出期限があり、遅れてしまうと延滞税が課されます。

確定申告書は、翌年の3月15日までに納税管理人を通して、必ず提出してもらいましょう。

5、税理士に納税管理人を依頼するメリット

「2、納税管理人の対象」でも説明しましたが、納税管理人は税務に詳しい税理士に依頼するのがおすすめです。

税理士に依頼するメリットは、次のようなものが挙げられます。

  • 納税に関する負担を軽減できる
  • 税理士でないとできない業務がある
  • 税務のプロだから安心して任せられる

(1)納税に関する負担を軽減できる

納税に関する手続きは、個人でやると思った以上に煩雑で時間がかかるものです。

例えば、出国前に確定申告を済ませなければなりませんが、出国の準備や手続きも忙しく確定申告の手続きまで手が回らないという方もいらっしゃると思います。

税理士に依頼すれば、納税に関するあらゆる手続きを任せられるので、税務に使う時間を大幅に削減できます。

さらに、精神的な負担までも軽減できることが、税理士に依頼するメリットの1つといえるでしょう。

(2)税理士でないとできない業務がある

単なる書類の受け取りであれば、税理士に依頼する必要はありません。

しかし、「確定申告書の作成」や「税務相談」を依頼したいというケースもあるでしょう。「2、(2)納税管理人になれる人」でも説明したとおり、上記のような業務は「税理士の独占業務」になります。

海外から確定申告書を作成して提出するのは、非常に手間のかかる作業です。

確定申告書の作成や税務調査の対応などは、資格を所持していない人に依頼すると税理士法違反になるので、慣れない確定申告で不安が多いという場合には、税理士に納税管理人を依頼しましょう。

(3)税務のプロだから安心して任せられる

税務のプロである税理士は、税務に関する業務を確実に行ってくれるという点で、安心感があるでしょう。

海外から納税について依頼するわけですから、安心して任せられる税理士に納税管理人を依頼することがおすすめです。

まとめ

今回は、納税管理人について詳しく解説してきました。

海外に居住している方や、海外居住する予定の方は、一定の要件を満たすと納税管理人を選任する必要があります。

本記事を参考に、正しく納税管理人を選任してください。

納税手続きが心配な方は、一度税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
税務のプロである税理士なら、きっとあなたの悩みや不安を解決に導いてくれるでしょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

税理士法人ベリーベスト 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。