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TAX&ACCOUNTING MALL資金調達株式公開とは?上場は経営者のロマン!経営者が知りたい7つのこと
2022.4.28 / 更新日:2022.05.02

株式公開とは?上場は経営者のロマン!経営者が知りたい7つのこと

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株式公開に向けて取り組みたいけど、何をしたらいいのかわからない……。
そもそも、株式公開はしたほうがいいのだろうか。

など、株式公開についてお悩みの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

2020年はコロナウィルスの影響もありましたが、新規上場(IPO)社数は、103社となりました。

今回は、株式公開の概要について説明したうえで、

  • 株式公開のメリット・デメリット
  • 株式公開までの流れと期間
  • 株式公開を効率よく進めるためのポイント

について解説していきます。

あわせて、株式公開に取り組むうえでの注意点についても紹介するので、ぜひご参考ください。

株式公開で頭を悩ませている方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

株式公開をすることで会社を大きくし、誰もが聞いたことがある名前の会社にしましょう。

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1、そもそも株式公開とは

株式公開とは、自社が保有している株式を、誰でも自由に売買できる状態にすることです。
本章では、株式公開の目的を解説したうえで、以下の項目について詳しく説明します。

  • 上場とIPOの違い
  • 株式市場の種類
  • 公開買い付け

(1)株式公開の目的

株式公開の目的を簡単に言えば、「企業の更なる発展への期待」といえるでしょう。
なぜなら、投資家から多額の資金調達を行うことで、自社の拡大に取り組めるからです。

日本の非上場企業は400万社以上ある一方で、日本の上場企業の数は3,823社(2022年1月時点)しか存在していません(参照:JPX日本取引所グループ_上場会社数)。

上場企業と非上場企業の数を比べると、上場企業になることは、極めて困難なことといえます。
株式公開の一定基準を満たすためには、時間と労力が必要となります。

(2)上場とIPOの違い

上場とよく似ている表現として、IPOがあります。
上場とは、証券取引所にて自社の株式を誰でも売買できることをいいます。

一方、IPOとは、初めて上場した場合の呼び名です。
日本語では、「新規公開株」や「新規上場株式」として表されます。

また、IPO前に株を買う権利を抽選で獲得し、上場日に付く初値で売ることで利益を出す「IPO株投資」とういう投資方法があります。

(3)株式市場の種類

株式市場には、「流通市場」と「発行市場」の2種類があります。

「流通市場」とは、すでに企業によって発行され、流通している株式を売買するための市場のことです。
一般的に株式市場とは、流通市場のことを指しています。

例えば、以下のような流通市場があります。

  • 東京証券取引所プライム市場
  • 東京証券取引所スタンダード市場
  • 東京証券取引所グロース市場

「発行市場」とは、新規に発行された株式や債券などの有価証券を、発行者から直接投資家が取得する市場のことです。
発行市場には、具体的な市場がなく、「資本調達市場」とも呼ばれています。

(4)公開買い付け

株式公開買い付けとは、あらかじめ以下の3つを公開し、

  • 買付期間
  • 買付株数
  • 買付価格

取引所外において、対象の株式を保有する株主に売却を促して、株式を買い付けることをいいます。
英語では、TOB(Take Over Bid)と呼ばれています。

取引所外で公開買い付けをする理由としては、市場で株式を買い進めると株価が一気に上昇する可能性があるからです。

その結果、TOBだと市場よりも高い株価での購入に至る可能性が高まるため、取引所外にて一定の価格で買い付けるのです。

2、企業が株式公開を行うメリット

前章では、株式公開の概要や市場の種類について解説してきました。
ここでは、株式公開を行うメリットについて紹介していきます。

(1)資金調達による事業拡大

株式公開を行うと、投資家などから多額の資金を調達できるため、更なる事業拡大に充てることができます。
既存事業に投資することで、一気に拡大・成長を図れます。

また、企業の資金が潤うことで、新規事業を創出することも1つの案でしょう。

(2)企業の認知度向上ならびに社会的信用の担保

株式公開を行うことで、企業の認知度が飛躍的に向上し、営業活動が活発になります。
社会的信用が増すことで、銀行などの金融機関から融資を受けやすくなります。

約400万社以上企業が存在するなかで、上場企業約3,800社の1社に入ることの偉大さを感じ取れるでしょう。

(3)管理部門の充実による経営基盤の安定

株式公開を成功させるためにも、内部管理体制の構築ならびに強化は不可欠です。
準備段階で審査基準をクリアするためには、代表が会社のすべてを経営していくのでなく、組織的に運営していく必要があります。

資金調達により、自己資本が充実することで、財務体質の強化にもつながります。
株式公開後に組織体制や経営基盤が不安定なままでは、急激な企業拡大に耐え切れません。

(4)従業員のモチベーションならびに採用力の向上

株式公開を行うことで、従業員の仕事に対するモチベーションが上がります。

会社創設時あるいは株式公開前に入社していた人は、上場まで導いた誇りと自覚が芽生え、更なる士気向上につながるでしょう。ストックオプションもその要因の1つといえます。

上場企業という信頼と知名度が担保されることで、入社希望者が増えることが予想されます。
採用力が向上することで、優秀な人材を確保できることが期待できます。

3、企業が株式公開を行うデメリット

前章では、株式公開を行うメリットについて解説してきましたが、本章ではデメリットについて解説していきます。

(1)公開準備にかかるコスト増大

株式公開を行うには、数年単位で計画を策定していく必要があるため、資金と人材の確保が不可欠になります。
企業の管理人材の確保ならびに採用を実施して、労務管理を含む内部状況を整えていかなければなりません。

不正防止や法令遵守を徹底し、あらゆるリスクに備えましょう。

(2)経営成績へのプレッシャーならび社会的責任

株式公開を行うと、不特定多数の株主が存在することになり、経営成績へのプレッシャーが増えます。

今までは経営者の決定権で事業が進みましたが、上場後は資金援助をした投資家や金融機関などに対して、現状の経営成績と今後の取り組みについて、株主総会で納得してもらう必要があります。

上場企業の評判は良くも悪くも世間に広まりやすいため、経営成績が悪化すると企業の印象が下がることになりかねません。

(3)企業オーナーによる決定権の低下

上記で紹介した通り、株式公開を行うと株主への責任が重くなるため、オーナーの発言権は低下します。

スピード感のある経営戦略を描きづらくなり、経営の自由度が無くなることは間違いないでしょう。
事業承継がオーナーの想定通りにいかないことも危惧されます。

(4)買収されるリスクへの対応

株式公開を行うと、自社が保有している株式の売買が、だれでも自由に行えるようになります。
結果、競合相手や買収ファンドからTOB(公開買い付け)が実行されるリスクがあります。

望んでいた買収なら問題ありませんが、敵対的買収はできるだけ避けたいため、しっかりと対応していきましょう。

5、株式公開を効率よく進めるためのポイント

 

前章では、株式公開までの流れと期間について解説してきました。
本章では、株式公開を効率よく進めるためのポイントについて紹介していきます。
以下の通りです。

  • 市場を定める
  • 条件を把握する
  • 費用を把握する
  • 書類を準備する

それぞれの項目について、詳しくみていきましょう。

(1)市場を定める

上場を目指すうえで、どこの市場で公開するのか決定する必要があります。
わが国における、主な証券取引所は以下の通りです。

  • 東京証券取引所プライム市場
  • 東京証券取引所スタンダード市場
  • 東京証券取引所グロース市場

その他にも、名古屋や福岡、札幌にも取引所が存在しています。

スタートアップや中小企業は、まずは「グロース市場」を狙うことが一般的です。

グロース市場は、「高い成長可能性を有する企業向けの市場」とされ、株式市場のなかでも比較的審査基準が緩いため、赤字企業や設立から時間が経ってない企業でも、基準を満たせば上場申請できます。
グロース市場で上場して、ゆくゆくはプライム市場やスタンダード市場への昇格を目指すパターンが主流といえるでしょう。

(2)条件を把握する

上場の条件は、証券取引所毎に異なります。
今回は、東京証券取引所グロース市場を例にとってみてみましょう。

グロース市場に新規上場する主な条件は、以下の通りです。

  • 株主数 :150人以上
  • 流通株式数:1,000単位以上
  • 流通株式時価総額:5億円以上
  • 流通株式数比率:25%以上
  • 時価総額:−

その他にも企業の信用の度合を見る項目もありますので、注意しましょう。

(3)費用を把握する

株式公開に向けて取り組むにあたり、多額の費用がかかります。
どのような業務に、どのくらいの費用が発生するのか把握しておきましょう。
上場にかかる主な費用は、以下の通りです。

  • 上場審査費用
  • 登録免許税
  • 新規上場料
  • 年間上場料
  • 新株の発行に係る料金
  • コンサルティング会社への支払い
  • 顧問弁護士・税理士の顧問料
  • 証券会社や監査法人への支払い
  • 証券代行機関への支払い

株式公開のためには、上記に挙げたもののほか、5,000万円前後の費用が生じる場合が多いと考えられています。

(4)書類を準備する

株式公開に取り組むためには、大量の書類を準備しなければなりません。

今回は、東京証券取引所グロース市場を例にとってみてみましょう。
グロース市場に上場するに当たって、必要となる主な書類は、以下の通りです。

  • 有価証券新規上場申請書
  • 上場申請者に係る各種説明資料
  • 申請事業年度に係る年度予算計画書、中期経営計画書
  • コーポレート・ガバナンスに関する報告書

その他にも、準備する書類は数多くあるため、早急に必要な書類を把握し、書類作成を行うようにしましょう。

6、株式公開における注意点

これまで、株式公開のメリット・デメリットや進め方、ポイントなどについて解説してきました。
本章では、株式公開に向けて注意すべきポイントについて紹介していきます。

(1)株式公開の目的を再確認する(長期的な経営計画)

株式公開を行うと企業に多額の資金が手に入ります。
今後、資金をどのような事業や施策にどのくらいの費用を使い、企業を発展させていくのかなどを明確にする必要があります。

「5、(4)書類を準備する」で述べたように、上場準備には、以下のような「経営計画」に関する書類が必要です。

  • 申請事業年度に係る年度予算計画書
  • 中期経営計画書

証券取引所や証券会社の基準を満たすためにも、経営戦略の細部まで目を配って作成するようにしましょう。

(2)アドバイザーや監査法人の選び方

上場を目指している企業は、アドバイザーや監査法人からのサポートやチェックを受ける必要があります。

アドバイザーを選ぶ際は、費用と支援内容の整合性だけでなく、口コミや周りの評判などあらゆる側面から判断することをおすすめします。
企業の上場をサポートしたことのあるアドバイザーなら、実績があり信頼もおけるため、安心といえるでしょう。

また、大手企業の監査法人は、支払費用が高くなる可能性が高いため、監査法人の選択は慎重に行いましょう。

(3)主幹事証券会社や株式事務代行機関の選び方

主幹事証券会社は、上場会社としての適正やスケジュール作成、申請書類の作成支援などのサポートをしてくれます。
主幹事証券会社は上場だけでなく、上場後の時価総額にも影響するため、慎重に選びましょう。
選出ポイントは、以下の通りです。

  • 過去3年間の実績
  • 証券会社ごとの特徴を把握
  • 時価総額から逆算した証券会社の選出
  • 相見積もりの作成依頼

また、株式事務代行機関は、株式名簿作成事務や受託、議決権、配当株主への権利処理業務を実行してくれます。

主幹事証券会社を選ぶのにあたり、実績などだけで判断するのは難しいでしょう。
また、証券会社だけでなく信託銀行も証券代行業務も行っています。
公開時の新株における払込みの取扱いの場所としても指定できるため、おすすめです。

7、株式公開後に撤退しないためにも税理士への相談が不可欠

株式公開はもちろん、会社経営について不安や疑問がある場合には、税理士への相談がおすすめです。

会社経営に関して、税理士へ相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。

株式公開やビジネスに関するアドバイスをくれる
税務調査の対応等の事務作業を減らし、経営に専念できる

(1)株式公開やビジネスに関するアドバイスをくれる

税理士のなかには、企業の株式公開を支援したことがある者もいるため、財務状況から成功に導くルートを示してくれます。

各業界のビジネスに詳しい税理士から、業績向上のためのアドバイスを期待できるでしょう。

(2)税務調査の対応等の事務作業を減らし、経営に専念できる

企業の月次決算の集計・監査など経理業務を一括して担ってくれるため、経理担当の負担が減ります。
結果として、自社の経営に専念できるだけでなく、長期的な戦略を構築する手助けとなるでしょう。

その他にも、経理・会計や税金の面でのサポートも可能となります。
不安があったら、気軽に税理士へ相談しましょう。

まとめ

今回は、株式公開のメリット・デメリットや流れ、ポイントについて解説してきました。
株式公開は、企業の更なる発展を考えるうえで、重要な要素の1つです。

しかし、株式公開は簡単そうに見えて、非常に困難な道のりが待っています。

この記事が、株式公開を順調に進めるための道しるべとなり、株式公開を成功させる手助けとなれば幸いです。自社を今以上に発展させていきましょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。