IR活動を効果的に行うために知っておきたいこと4つを具体的に解説
IR情報とは、どのようなものなのだろう……。
IR情報として、どのような情報を株主や投資家に向けて発信すればよいかわからないという上場(IPO)企業や上場したての企業、上場を目指す企業は、少なくないのではないでしょうか。
本記事では、IR情報についての基本情報を説明したうえで、
- IR活動の具体的な内容
- IRの注意点
- 注目されるIRの特徴
について、べリーベスト税理士事務所が紹介していきます。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
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1、IRとは?
まずは、IRについて解説します。
(1)IRとは
IRとは、「Investor Relations(インベスター・リレーションズ)」の略です。
IR活動とは、企業が株主や投資家に対して、投資判断に必要な情報を提供する活動全般のことを指します。
(2)IR活動の目的
IR活動で大切なことは、企業の経営状態、財務状況、業績動向などの株主・投資家に必要な情報を発信し続けることです。
ポジティブな情報でもネガティブな情報であっても、タイムリーかつ公平に透明性をもって発信することで、信頼関係を構築し、資金調達に結び付けたいなどの目的があります。
(3)広報活動との違い
では、IR活動と広報活動との違いはどこにあるのでしょうか?主に届けたい相手と内容が異なります。
IRは株主・投資家などに、投資判断に必要な企業情報を発信していくものですが、広報はPR「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」とも言われるものです。
広報活動は、広く社会の人々に、主にメディアを通じて企業の商品・サービス・活動などの情報発信をすることでイメージアップを図ります。
最終的に、ファンになってもらうためのコミュニケーション活動です。
2、IR活動の具体的な内容
IR活動の方法は、対面で直接対話する方法と、書面やホームページ掲載などで発信する方法の2通りあります。
(1)株主・投資家とのスモールミーティングの実施
IR活動では、株主・投資家との“対話”“コミュニケーション”を大事にしています。
特に、スモールミーティングは少人数で質疑応答によって進められるもので、お互いの理解を深めやすい手法です。
(2)株主・投資家への説明会の実施
資金調達、追加投資などを呼びかける場合は、企業理念・ビジョン、経営方針、業績、今後の成長見通しなどをプレゼンする説明会などを実施します。
企業が、投資家あてに個別訪問することもあります。
(3)決算説明会・事業説明会の実施
決算説明会・事業説明会は、スモールミーティングに対して、ラージミーティングと呼ばれるものです。
本決算時などは一堂に会して実施されますが、昨今ではライブ配信によるWEB上での説明会も増加傾向にあります。この場合も、質疑応答は行われます。
(4)コーポレートサイト内での「IR情報」掲載
IRサイトでは、一般的には以下のIR情報を掲載します。
- 社長メッセージ/ご挨拶
- 企業理念・経営理念
- 組織体制
- 会社の沿革
- 経営戦略
- 研究開発
- 製品・サービス情報/技術情報
- 将来ビジョン
- 事業リスク
- ディスクロージャーポリシー
- コンプライアンス関連
- 決算情報
- 業績ハイライト
- 業績推移
- 株主還元
- IRイベント情報
- 株式情報
- 株主総会関連
- IRブログ
- 株主通信/アニュアルレポートなどの定期刊行物
- 説明会のQ&A
- ニュースリリース/プレスリリース
その他、中期経営計画と解説、ビジネスモデルの解説、業界動向(マーケット環境の変化やトピックなど)なども掲載すると、株主・投資家の理解が深まるでしょう。
昨今では、ESGへの取り組みを課題として掲げ、積極的に対応・開示している企業は、長期的な収益力向上、ブランド力・企業価値向上にもつながると評価される傾向にあります。
財務状況だけではなく、ESG活動も投資判断に重要な要素になってきているため、ESG活動への取り組みがあれば、IRサイトに積極的に掲載することをおすすめします。
(5)商品・サービス説明会や関連施設(工場など)見学実施
販売している商品、提供しているサービス、商品を生み出している工場などは、将来における売上の源となります。
株主・投資家(特に個人投資家)への新たな商品・サービスの説明会や、サービスを体感してもらうことなどは、企業をより身近に感じてもらえるチャンスです。
内容次第では、将来の成長性に期待感を高めてもらうことができます。
3、IRの注意点
(1)未公開企業でもIR活動は必要か
IR活動というと、株式を公開している上場企業がすべき活動のように思えるのではないでしょうか。
ですが、投資家(特に個人投資家)は、未公開企業であっても、将来の成長見込みのある企業への投資機会を常にうかがっています。
昨今では、未公開企業に投資するプライベート・エクイティ・ファンドも存在しています。
広く投資家に自社のことを知ってもらう意味で、未公開企業であっても積極的にIR活動をし、発信し続けることが大切です。
(2)IRを広報部門が担当する場合
広報部門がIRを兼任するケースはよく見受けられますが、広報とIRでは発信する相手・内容・情報が異なります。
広報部門でIR活動もすることになった場合は、社内の経理や財務、経営企画部門などと連携し、広報部門としても財務・会計・法律などの専門知識を身に着けていきましょう。
4、注目されるIRの特徴
(1)経営トップがIR活動に継続的かつ積極的に取り組んでいる
経営トップ自らがIR活動に関与することで、株主・投資家への説明責任を自覚し、情報開示や対話が積極的になると、より早く経営改善につなげることができます。
(2)社内へのフィードバックの仕組みがある
株主・投資家等の意見を社内(特に経営陣)に報告・共有する仕組みがあることで、経営陣もIR担当者と同じ温度感で株主・投資家の意見を聞き、改善すべきポイントを明確にできます。
(3)株主・投資家との対話・コミュニケーションを大事にしている
説明会やスモールミーティングなどを積極的に行い、継続的にコミュニケーションをとることは、株主・投資家の意見が直接経営陣に届くことになります。
それは経営へのモニタリングになり、最適な意思決定を促すことにつながります。
(4)IRサイトや説明資料などが充実していて、わかりやすい
・見たい情報がすぐに探せるサイト構成
・資料が文章だけでなく、視覚的にも分かりやすい
・数字の解釈や、専門用語・業界用語の注釈が記載されている
・音声・動画ファイルもサイト内に置かれている
ホームページ内のIRサイトには、文字のみで情報を掲載している企業がまだ多く見受けられます。
より理解を深めてもらえるように、特に音声配信や動画配信などを積極的に取り入れることが望まれるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
企業が実施すべき「IR活動」について解説しました。
株主・投資家との対話を大切にし、正しく投資判断できる情報を、的確かつ迅速に発信し続けることで、自社への投資や、協賛を得られるように企業価値を向上させていきましょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
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