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TAX&ACCOUNTING MALL会社経営目論見書には何を書けば良い?IPO担当者が知っておきたいこと6つ
2022.5.20 / 更新日:2022.05.20

目論見書には何を書けば良い?IPO担当者が知っておきたいこと6つ

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目論見書(もくろみしょ)とは、どのようなものなのだろう……。
目論見書はあまり聞き馴染みがない言葉かもしれませんが、企業にとって、投資家に投資してもらうために必要な書類となります。

今回は、投資される側=資金調達する企業側の視点で、

  • 目論見書の概要
  • 目論見書に記載する内容・交付方法
  • 投資家が「目論見書」のどこを確認するか

などについて、税理士法人ベリーベストが解説していきます。

本記事が、目論見書の作成で悩んでいる企業の参考になれば幸いです。

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1、目論見書とは?

(1)目論見書の概要・目的

目論見書とは、株主・投資家に向けて、投資判断に必要な重要事項を説明した書類のことです。
有価証券の募集・売出しの際に、目論見書の交付が法律によって義務付けられています(金融商品取引法15条2項)。
具体的には、新規株式公開(IPO)するとき、新株発行で増資したいとき、社債を発行するときなどです。

簡単にいえば、株式を販売するための営業ツールのようなものです。
事業内容や業績のダイジェストを、グラフなどを多用してわかりやすく記載した、パンフレットのような役割を果たします。

(2)目論見書は誰が発行するのか?

では、誰が目論見書を作成し発行するのでしょうか?
発行は株式会社が行い、上場または上場準備をしている企業は、主幹事証券会社を通して一般投資家向けに株式を販売してもらいます。

(3)目論見書の種類

目論見書には、「交付目論見書」と「請求目論見書」の2種類あります。

  • 交付目論見書
  • 請求目論見書

①交付目論見書

基本情報を記載する目論見書です。投資家が投資を検討する際に必ず確認する書類なので、作成は必須となります。

②請求目論見書

詳細情報を記載する目論見書です。投資家の請求があったときに、交付する目論見書となります。

(4)目論見書と有価証券届出書との違い

目論見書とよく似た書類に、「有価証券届出書」というものがあります。
有価証券届出書は、上場承認後の株式の募集または売出しのために、金融庁へ提出されるものです。
有価証券を発行する者は、当該募集または売出しに際して、目論見書を作成する必要があります。

目論見書は、有価証券届出書をもとに作成される書類ですが、双方の書類の内容に大きな違いはありません。

2、目論見書の内容と交付について

前章で、目論見書の概要について解説しました。
では、目論見書に実際に記載する内容や、目論見書の交付方法とは、どのようなものなのでしょうか。

(1)目論見書の記載項目

一般的に、目論見書には、以下の項目などを記載します。

  • 経営理念
  • 事業内容
  • 発行者名
  • 事業内容
  • 資本構成
  • 財務諸表
  • 手取金の使途などの発行者に関する情報
  • 発行総額
  • 発行価格
  • 利率
  • 払込日
  • 満期日などの発行する有価証券に関する情報
  • 引受人名、引受額、手数料などの引受に関する情報

(2)目論見書の訂正について

目論見書に重要な事実が記載されていなかったり、変更を訂正しなかったりした場合には、発行会社や販売会社が、有価証券を取得した株主や投資家に対して損害賠償責任を負います。

仮条件で発行価格を記載し募集することも多いため、金額が確定次第、目論見書の訂正をする義務がありますが、それを怠った場合なども同様です。

発行数又は券面総額の変更の他にも、以下のような投資判断に重要な影響を及ぼすような変更があった場合には、「訂正前と訂正後の内容」と「具体的な訂正理由」を記載します。

  • 新規発行による手取金の使途
  • 事業等のリスク
  • 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
  • 重要な設備の新設、拡充、改修、除却又は売却等の計画

など

(3)目論見書の交付方法

目論見書は、紙に印刷して冊子状態にして発行するのが基本です。

しかし、事前に以下の要件を満たしていれば、電子交付も可能となります。
あらかじめ電子交付の方法を用いる旨投資家に承諾を得ておくこと
データを出力して書面を作成できること

目論見書を電子交付する場合には、4種類の方法があります。

  • メール(電子メールで送信する方法)
  • ダウンロード(投資家がインターネットからダウンロードする方法)
  • 電子私書箱(発行者等が管理する投資家専用フォルダに目論見書データを置き、それを投資家が閲覧する方法)
  • ホームページ(発行者等のホームページに閲覧用ファイルを置き、それを投資家が閲覧する方法)

3、投資家の「目論見書」確認ポイント

投資家は、新規投資・追加投資をする前に目論見書に目を通し、その企業が投資先として有望かどうか、リスクはどの程度かなどを確認します。
本章では、目論見書で具体的に確認すべきポイントについて説明します。

(1)経営理念・事業内容

まず、会社の概要と将来性などを確認するために、経営理念や事業内容に必ず目を通しましょう。
多くの投資家が有望だと感じれば、初値が高くなりやすくなります。
一方で、あまり魅力的でないと感じれば投資家は集まらず、初値が公募価格を下回ることもありえるでしょう。

(2)財務諸表(業績・財務データ)

目論見書には、必ず財務諸表が入ります。
特に重要な指標は、数値表記だけではなく、過去5期ほどの推移について、棒グラフ・折れ線グラフなどで視覚的にも分かりやすく表現されているかどうかを確認しましょう。
一番重要なのは、「売上額が順調に伸びているか」や「利益率が向上しているか」を確認することです。
投資に対する効果の程度や、いつ黒字になる見込みなのかなど、現段階で赤字であっても、黒字化に向けた根拠の記載があるかどうかを確認するとよいでしょう。

(3)調達した資金(手取金)の使い道

目論見書では、新規・追加の株式発行で調達した資金の使い道も記載されています。
具体的には、

  • 製品開発
  • 研究開発費用
  • 新規サービスローンチ
  • 工場建設
  • 人材拡充
  • 借入金返済

など、企業によってさまざまです。
投資家が出資検討する上で、使途が具体的に決まっていることが重要となります。

(4)発行株数

投資家は、発行株数から当選確率を予測します。
新規発行株数や売出株数などが少なければ、当選確率が低く、高ければ当選確率が高いと考えます。

まとめ

今回は、目論見書(もくろみしょ)を作成する側の視点から、目論見書の概要とポイントを解説しました。
目論見書の内容は、有価証券届出書とほぼ同じですが、使用目的は投資家へ出資を募るための営業ツールです。
分かりやすく、正確に作成することを心がけましょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

税理士法人ベリーベスト 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。