セールアンドリースバックとは?注目の資金調達法のポイント5選

「セールアンドリースバックってどんな仕組みの資金調達法なの……?」
「なぜセールアンドリースバックが注目されているの……?」
セールアンドリースバックについて、言葉は聞いたことがあるけど、詳しい仕組みや特徴がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
セールアンドリースバックは、最近注目されている資金調達の1つの手段です。
「なぜセールアンドリースバックが注目されているのか?」
昨今、新型コロナウイルスが蔓延している状況で、多くの企業が経営に打撃を受けています。その影響で、銀行からの借り入れが困難など資金調達が難しい状況です。
セールアンドリースバックは、新型コロナウイルス蔓延による資金繰りの悪化や、リモートワークの普及によってオフィスを縮小したいといった悩みを解消してくれます。
上記の理由から、セールアンドリースバックは注目されているのです。
今回は、
- そもそもセールアンドリースバックとは?
- セールアンドリースバックのメリット
- セールアンドリースバックのデメリット
- セールアンドリースバックをおすすめする企業
- セールアンドリースバックを利用するポイント
などについて、紹介します。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
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1、セールアンドリースバックとは?
(1)そもそも、セールアンドリースバックとは?
セールアンドリースバックとは、自社で所有している資産を売却し、所有権を移転した状態で買主から借り受け、同様の資産を利用し続けることを言います。
資産は、不動産などの固定資産をはじめ、車や飛行機、事業用機械などの設備が挙げられます。
つまり、セールアンドリースバックは、自社で所有する資産を売却して、資金を内部で調達する方法です。
一般的な資産の売却とは、「売却後も使い続けることができる」という点で異なります。
(2)セールアンドリースバックの仕組み・流れ
セールアンドリースバックの仕組みは、不動産を事例として紹介します。
①売買契約の締結
リースバック業者に依頼をし、対象の不動産の査定を行ってもらいます。
査定金額が妥当なものであると判断することができたら、リースバック業者と売買契約を結び、資産の売却を行います。
売買契約締結後は、リースバック業者が買主となり、所有権が移転します。
②賃貸契約の締結
売買契約を結ぶと同時に、リースバック業者を貸主とした賃貸借契約を結びます。
上記の一連の流れを経て、リースバック契約が成立します。
(3)セールアンドリースバックの目的
セールアンドリースバックの主な目的は、資金調達です。
最近では、リモートワークも普及してきて、オフィス利用の効率化などを目的として利用されることもあります。
2、セールアンドリースバックのメリット
セールアンドリースバックについて、概要をご理解いただけましたでしょうか?
本章では、セールアンドリースバックについてどんなメリットがあるのか紹介します。
今回取り上げるセールアンドリースバックのメリットは、以下の通りです。
- 自社の資産で資金調達が可能
- 環境の変化がない
- 毎月一定のコスト
(1)自社の資産で資金調達が可能
セールアンドリースバックは、自社の資産を売却することによって、即座に現金化することができ、企業のキャッシュフローを安定させることができます。
自社の資産を売却し、その資産を使い続けることを可能にしながら、資金調達ができることこそが、セールアンドリースバックのメリットです。
通常の融資であれば、会社の返済能力や実績に伴う信用力なども考慮されますが、セールアンドリースバックは資産の価値で資金調達ができます。
また、金融機関等の融資では、資金の使い道がある程度決められていますが、セールアンドリースバックを利用することで得られた売却資金は、使用用途の定めがありません。
多くの企業が資金繰りに頭を悩ませる中、初期費用や厳しい審査なしに手元に現金が入ることは、セールアンドリースバックの一番の特徴と言えるでしょう。
(2)環境の変化がない
セールアンドリースバックは、資産を売却した後も、同様の資産を使い続けることも特徴の1つです。
そのため、就業場所などの環境の変化が起こらないこともメリットに挙げられます。
環境の変化による、手間やコストを削減することができます。
(3)毎月一定のコスト
例えば、不動産を保有していた場合、以下のような費用が発生します。
- 固定資産税
- 各種保険料
- 維持管理・修繕費用
セールアンドリースバックであれば、所有権が買主に移転されるので、資産を保有することによってかかる費用が発生しません。
固定資産税や維持管理費用などは毎年変動があるため、税務申告等の経理作業という手間が発生します。
セールアンドリースバックで毎月一定のリース料にすることによって、将来的な経営の見通しが立てやすくなります。
加えて、経理作業の手間を削減できるというメリットがあるでしょう。
3、セールアンドリースバックのデメリット
続いて、本章ではセールアンドリースバックのデメリットを紹介します。
紹介するデメリットは、以下の通りです。
- 資産売却額が割安
- リース料が割高
(1)資産売却額が割安
セールアンドリースバックによって不動産をはじめとした資産を売却する場合、通常の売却額よりもおおよそ1〜3割ほど割安になる傾向があります。
不動産などの資産は、年数が経てば経つほど、資産価値が下落していきます。
買主としては、セールアンドリースバックで資産を購入しても、対象の資産を自由に使うことはできず、一定期間売主に貸し続けなければなりません。
通常の売却額よりも割安になるのは、リースバック期間が終了してからの資産価値を考慮するためです。
(2)リース料が割高
セールアンドリースバックの契約後、毎月リース料を支払う必要があります。
セールアンドリースバックにかかるリース料は、一般的な相場よりも割高になる傾向があります。
一般的な相場よりも割高になる理由は、一般的な相場をもとに設定するのではなく、買主の買取価格に対する利回りが考慮されるためです。
(3)長期間のリースは損?
セールアンドリースバックは、一時的な資金調達には有効な手段と言えます。
しかし、リース契約は売却額も割安な上にリース料も割高なことが多いので、リース期間が長期間になればなるほど負担が大きくなってしまうかもしれません。
また、売却した資産を買い戻したいと考えた時、買い戻し額が売却額よりも高くなることがあります。
買い戻したいと思った場合も、買主の意向によっては再購入できないこともあるので注意が必要です。
4、セールアンドリースバックが向いてる企業
ここまでで、セールアンドリースバックのメリット・デメリットについて解説しました。
本章では、そんなセールアンドリースバックについて、どんな企業がおすすめできる企業なのか、その特徴を解説します。
(1)向いてる企業
セールアンドリースバックは、手元にまとまった現金がなく、返済等に追われて会社を存続していくうえで、資金調達の必要性が高い企業に向いていると言えます。
会社経営をしていく上で、現金は最も重要です。企業によっては、金融機関からの融資が難しいということも十分あります。
セールアンドリースバックであれば、融資に頼ることなく自社の資産で資金調達が可能です。
自社で保有中の資産を売却して手元に現金を残しつつ、その資産を利用し続けたい企業には、セールアンドリースバックが向いています。
(2)向かない企業
一方、セールアンドリースバック以外の方法で資金調達ができるのであれば、セールアンドリースバックは向いていないと言えます。
セールアンドリースバックは、「3、セールアンドリースバックのデメリット」で解説した通り、金銭面でのメリットがありません。
セールアンドリースバックで一時的な資金調達ができても、長期的な視点でいうと金銭的な負担が大きくなってしまうリスクがあります。
自社の資産があって、その他の方法で資金調達が可能であれば、セールアンドリースバックの必要性は低いと言えます。
セールアンドリースバックは、資金調達の最終手段とも言えるでしょう。
5、セールアンドリースバックを利用するポイント
セールアンドリースバックのメリットやデメリットを考慮した上で、セールアンドリースバックを検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
セールアンドリースバックは、トラブルなども発生しており、利用するためには注意が必要です。本章では、セールアンドリースバックを利用するためのポイントを紹介します。
(1)複数者の会社で比較検討する
セールアンドリースバックを利用する前に、複数のリースバック業者を検討するようにしましょう。会社によって、買取価格やリース料、リース期間などさまざまです。
また、与信に問題があったり、料金が適切ではなかったりするリスクも考えられます。
セールアンドリースバックを利用するにあたって、複数の会社を比較した上で、企業のプランに最もあう会社を選ぶようにしましょう。
(2)契約内容の確認をする
セールアンドリースバックに関するトラブルは、
- 買い戻したいのにできない
- リース料が引き上げられた
- リースの更新を拒否された
などさまざまです。
上記のようなトラブルを引き起こさないためにも、契約内容の確認は怠らないようにしましょう。契約内容に、自身の認識とズレがないか確認することが重要です。
(3)専門家に相談する
「セールアンドリースバックに悩みや不安がある」
「そもそもセールアンドリースバックを利用するか悩んでいる」
上記のような方は、第三者である専門家に相談することが重要です。
特に、あらゆる業界の企業で資金繰りのサポートを経験している「税理士」に相談すれば、客観的な視点でその企業にあった適切なアドバイスがもらえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、セールアンドリースバックについて解説しました。
セールアンドリースバックは、自社で保有中の資産を売却して手元に現金を残しつつ、その資産を利用し続けることができます。
ただし、セールアンドリースバックは、デメリットや注意点が多いのも事実です。
セールアンドリースバックの特徴を把握した上で、利用するかどうか検討をしましょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
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