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TAX&ACCOUNTING MALL経理/会計源泉徴収とは?請求書を信じて罰則?個人への仕事依頼で気を付けたい点を解説
2022.7.22 / 更新日:2022.07.22

源泉徴収とは?請求書を信じて罰則?個人への仕事依頼で気を付けたい点を解説

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源泉徴収とは、具体的にどのような時に必要なのだろう……。

請求書の請求額が問題なければ、そのまま支払ってよいと思っていませんか?
個人へ仕事を依頼する場合、報酬の支払側は報酬の一部を源泉徴収が必要な場合があります。

仮に「請求書に記載がない」「源泉徴収しないでほしいと言われた」等の理由があるとしても、源泉徴収が必要なケースに該当した場合は支払側に罰則がついてしまいます。

今回は、

  • 源泉徴収の要否
  • 源泉所得税納付の手続き

などについて、ベリーベスト税理士事務所がわかりやすく解説します。

支払側が請求書や取引先の言い分を聞くだけにならないよう、源泉徴収に対する正しい知識を身につけましょう。

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1、源泉徴収とは

まずは、源泉徴収についてみていきましょう。

(1)源泉徴収の概要

①会社に与えられた責務の1つ

税金を納める納税者には「納税義務者」と「源泉徴収義務者」の2通りがあります。

会社にお勤めのサラリーマンの方は、所得に対して、所得税や住民税が課税され、税金を納税する義務があります。このような方を「納税義務者」といいます。

しかし、サラリーマンの方の多くは、基本的に住民税や所得税を本人が納税することはありません。
お勤めの会社が毎月の給与から天引きして、会社が納税義務者の税金を税務署や市役所に納税します。

税金の給与天引きは、例え本人が「自分で納税したい」と主張しても、会社側はその主張を鵜吞みにして天引きを辞めることはできません。
正当な理由以外では、天引きすることを法律で義務付けられているのです。

給与に限らず、報酬や配当、使用料など受取側の所得になるものを支払側が支払うもの(源泉)からあらかじめ税金を天引きすることを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収の義務をもつ者は「源泉徴収義務者」と呼ばれます。

②義務違反によるペナルティ

源泉徴収義務者による源泉徴収は法律で定められた必須業務のため、無申告はもちろん、申告期日の遅れや税額の間違いに対してはペナルティがあります。

具体的なペナルティは以下の通りです。

  • 不納付加算税・・・無申告に対して係るもの
  • 延滞税・・・納付が遅れた場合に係るもの
  • 重加算税・・・悪質な行為に対して課せられるもの

延滞税などは、納付期日から比例して増すものですので、金額は事例により異なりますが、100万円の税金を納めずに重加算税が課された場合、最低でも35万円は罰金となります。
そのため、社員が多くいる会社や個人外注の多い業種であれば資金繰りに甚大な影響を与えかねません。

意図的な未納付はもちろんペナルティとなりますが、前述のように請求書や取引先の主張を鵜呑みにして源泉徴収しなかった場合でも税務調査等で指摘を受けてペナルティを課せられます。

(2)源泉徴収で最も多い間違いは「報酬・料金等の支払」

源泉徴収の対象となるものは、大きく分類すると6つあります。

  • 利子所得及び配当所得に係る源泉徴収
  • 給与所得に係る源泉徴収
  • 退職所得に係る源泉徴収
  • 公的年金等に係る源泉徴収
  • 報酬、料金等に係る源泉徴収
  • 非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収

多くの方に馴染みのあるものは、給与所得に係る源泉徴収(給与から天引きされる所得税)かと思います。
これらは、給与ソフトを使用されていれば、初期項目としてあらかじめ設定されています。
自動計算されるものもありますから、意図的に義務を怠らない限りは間違うことは少ないでしょう。

最も間違いが起きやすいのは、「報酬・料金等の支払」です。
給与等自社で計算するものとは違い、取引先からの請求に基づいて支払うことが一般的であるため、取引先の言い分をそのまま鵜呑みにしかねません。

取引先から「源泉徴収しないで!」と言われるからしていない
請求書の通り支払っているんだから問題はない

以上のような意見や数字を提示されると、鵜呑みにしてしまう話をよく聞きますが、源泉徴収義務の違反は支払側の罰則となります。
取引先が誤っていることも十分あり得ますので、必ず自社で判断するようにしましょう。

今回は、「報酬・料金等の源泉徴収」に関してさらに深堀りして説明します。

(3)源泉徴収対象になる支払いケース

税金に関する判断は難しいのでは?と思われるかもしれませんが、そのようなことはありません。
源泉徴収が必要となるものは所得税法にて限定列挙されており、規定されていないものは源泉徴収不要となります。
これから支払う予定の報酬が源泉徴収対象として列挙されているかの確認だけで問題ありません。

すでに納付書と呼ばれる所得税徴収高計算書が、お手元にある場合でも油断は禁物です。
納付書には区分名として略した文章が記載されているだけで納付書だけでは判断のつきづらい報酬もございますのでご注意ください。

また、例え源泉徴収が必要な報酬の支払いでも、一定の要件を満たす場合は源泉徴収が不要なケースもあります。
次章では、源泉徴収の判定に必要なことを、いくつかのステップに分けて整理していきましょう。

2、源泉徴収の要否がわかる簡単3ステップ

源泉徴収は、どのような場合で必要になるのでしょうか。
本章では、源泉徴収の要否がわかるように簡単3ステップに分けて解説していきます。

(1)ステップ1:源泉徴収義務者か

まず、はじめに源泉徴収義務者かどうかが最初の判定になります。
以下の点に該当しない場合は源泉徴収義務者になります。

①給与を支払う使用人を雇用していない個人
②給与を支払っている使用人が常時2人以下の個人

つまり、支払側が個人ではなく会社の場合は、例外なく、源泉徴収義務者となります。

(2)ステップ2:支払相手は個人か

源泉徴収義務者であることを理解した上で、次に確認することは支払相手が法人か個人かです。

支払相手が法人の場合は、それが「馬主である法人に支払う競馬の賞金」を除き、全て源泉徴収対象外となります。
競馬の賞金を支払うことがない限りは、「法人への支払い=源泉徴収はしなくてもよい」という認識で問題ありません。

(3)ステップ3:依頼した業務は源泉徴収の対象か

次に、個人に対する支払で源泉徴収対象となるかどうかを判定していきます。

①源泉徴収の必要な業務(原則範囲8つ)

所得税法には徴収対象として以下の通り規定されています。

  • 原稿等の報酬又は料金(第1号関係)
  • 弁護士等の報酬又は料金(第2号関係)
  • 診療報酬(第3号関係)
  • 職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金(第4号関係)
  • 映画、演劇等の出演等の報酬又は料金(第5号関係)
  • 契約金(第7号関係)
  • 広告宣伝のための賞金(第8号関係)

これらは大きな枠組みですので、個別の事柄に関しては基本通達等をさらに読み解いていく必要があります。

②徴収漏れが起きやすい業務

所得税基本通達や個別通達から、徴収漏れの起きやすい支払をいくつか紹介します。

  • 原稿等の報酬又は料金(第1号関係)
  • デザイン料
  • 講演料
  • 翻訳料
  • 著作権譲渡契約のないプログラミング依頼料(著作権使用料)
  • 弁護士等の報酬又は料金(第2号関係)
  • 社会保険労務士や司法書士への報酬
  • 経営コンサルタントへの報酬(経営コンサルティング料)
  • 損害保険登録鑑定人への報酬(保険事故又は共済事故の損害額算定等の調査料)

コンサルティングのように独占業務でないものは、中小企業診断士等の資格に関係なく、業務内容を基に判定します。

  • 職業野球の選手等の業務に関する報酬又は料金(第4号関係)
  • 使用人ではないデパート等で働くマネキンへの報酬
  • 使用人ではない保険等の外回り営業への報酬
  • 広告その他の印刷物にその容姿を掲載するモデルへの報酬

このほかに外注費が給与認定されて源泉徴収漏れの指摘をされる恐れもあります。

外注費と給与の違いについては以下の記事をご確認ください。
外注費の源泉徴収で失敗しないための税務調査対策など4つのポイント

③規定されていない業務は源泉徴収不要(限定列挙)

ここまでの3ステップを通して、源泉徴収をする必要がないとなれば、それが正しい判断となります。

3、報酬や料金にかかる源泉所得税の納付の手続きとは

実際に報酬等の支払の際に源泉徴収を行った場合、「納付」も大切な手続きです。

この章では、報酬や料金などに係る源泉所得税の具体的な納付の方法について、解説していきます。

(1)納付手続きと注意点

①用意する納付書の種類

報酬や料金などにかかる源泉所得税の納付書は、以下の3種類です。

  • 給与所得等の所得税徴収高計算書
  • 報酬・料金等の所得税徴収高計算書

「給与所得等の所得税徴収高計算書」

給与所得や退職所得、弁護士や税理士などの個人の士業への報酬にかかる源泉所得税の納付に使用する納付書です。

正式名称が徴収高計算書となっていて、一見納付書とは思えませんが、れっきとしの納付書なので注意が必要です。

この納付書を使用する必要がある報酬や料金の例としては、以下のようなものがあります。

  • 個人の税理士への税理士報酬
  • 個人の経営コンサルタントへのコンサルタント報酬

上記のような報酬や料金から源泉徴収した源泉所得税は、給与所得等の所得税徴収高計算書を使用します。

「報酬・料金等の所得税徴収高計算書」

弁護士、税理士等の報酬以外の報酬や料金にかかる源泉所得税の納付に使用する納付書です。

この納付書を使用する必要がある報酬や料金の例としては、以下のようなものがあります。

  • 個人のデザイナーへのデザイン報酬
  • 個人の作曲家への作曲報酬

上記のような報酬や料金から源泉徴収した源泉所得税は、報酬・料金等の所得税徴収高計算書を使用します。

②納付期限・納付先

納付期限は、原則支払い月の翌月10日となります。

納付先は、納税地の所轄税務署です。金融機関や税務署の窓口に納付書を持参するか、e-Taxを利用することで納付できます。

③納期の特例とは

源泉所得税の納期の特例とは、一定の要件を満たした場合に、数ヶ月分の源泉所得税をまとめて納付できる制度です。

納期特例を受けるための要件は、以下の2つです。

  • 従業員が常時10人未満
  • 「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、その承認を受けること

納期の特例の承認を受けた場合の、原則からの変更点は、以下の通りとなります。

納付書
原則:給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用)

特例:給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納期の特例用)

納付期限
原則:支払い月の翌月10日

特例:1~6月分の源泉所得税は7月10日、7~12月分の源泉所得税は翌年1月20日

納期の特例に関して、1つ注意していただきたいことがあります。

納期の特例の対象となるのは、給与や退職金、弁護士や税理士などの個人の士業に対する報酬のみに限られているということです。

個人のデザイナーや作曲家などへの報酬は、納期の特例の承認を受けていたとしても、報酬・料金等の所得税徴収高計算書を使用します。

加えて、納付期限も原則通り、支払い月の翌月10日となります。

④納付書に記入する際の注意点

納付書を記入する際には、以下の3つの点に注意をしてください。

納付書を間違えないように(特に一般用と納期の特例用)
報酬や料金の種類によって、使用する納付書の種類も異なります。

また、納期の特例の承認を受けている場合には、使用する納付書の種類も変わります。
(納付書の左下に、小さく「納期の特例分」と記載されています。)

支払った報酬や料金の種類の把握を忘れずに行い、対応する納付書を間違えずに用意してください。

納期の特例用の納付書の場合は、「延べ人数」に気を付ける
納付書には、給与や報酬などを支払った人員の数を記入する欄があります。

原則であれば、その月に支払った相手の人数を記入すれば問題ありませんが、納期の特例用の納付書の場合は、少々記入方法が変わるため、注意が必要です。

納期の特例用の納付書の人員の数には、一定期間に支払った相手の延べ人数を記入します。

例えば、1~6月までの間に、3人の個人デザイナーに対して報酬を支払っている場合、延べ人数は、3人×6ヵ月で18人と記入します。

納期の特例の承認を受けている場合は、この点に注意してください。

国税庁の納付書の記載の手引きをよく読む
日本では、給与が源泉徴収の対象となっていることから、源泉所得税の納付は一般的な業務となっています。

適正な源泉徴収がなされるようにと、国税庁の以下ページでも、納付書の記載の仕方を比較的丁寧に説明しています。
所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた

納付書の作成の際は、この記載の仕方を見て記入すれば、大きな間違いを防げるでしょう。

⑤e-taxを利用した納付方法

源泉所得税の納付は、納付書を記入して金融機関や税務署の窓口から納付する方法の他に、e-Taxを利用して納付する方法があります。

e-Taxとは、インターネット等を利用して、国税に関する各種の手続きを行えるシステムのことです。

ペーパーレス化や金融機関等に足を運ぶ手間の削減を考えている場合には、おすすめの納付方法です。

(2)納付書と併せて作成が必要な支払調書

①法定調書(支払調書)とは

法定調書(支払調書)とは、税務署が納税者の正確な源泉所得税の支払を把握するための書類です。
給与や一定の報酬・料金などを支払い、所得税を源泉徴収した事業者は必ず作成し、提出をしなければなりません。

提出先は、給与の場合は所轄税務署と関係市区町村、報酬や料金の場合は所轄税務署です。

②作成時・提出時の注意点

報酬や料金を支払う場合、法定調書の作成、提出と対象となるのは、以下の一定額以上の報酬や料金に限られています。

報酬や料金の種類 金額
・外交員、集金人の報酬・料金
・電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬・料金
・バー、キャバレー等のホステス等の料金
・広告宣伝のための賞金
同じ人に支払う金額が年50万円超
・馬主に支払う競馬の賞金 その年に、1回で受け取った賞金額が75万円超
・プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金 同じ人に支払う金額年5万円超
・弁護士や税理士等に対する報酬
・作家や画家に対する原稿料や画料
・講演料等
同じ人に支払う金額年5万円超
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬 同じ人に支払う金額が年50万円超

 

報酬や料金を1円でも支払った場合に、必ず作成しなければならないというわけではないため、注意してください。

※ここでは、報酬や料金についての法定調書についてのみ解説しますが、給与や退職金などを支払った場合にも法定調書は提出しなければなりません。

4、源泉所得税の範囲に悩んだら、税理士に相談しよう!

(1)源泉所得税の徴収対象かどうかの相談ができる!

業務を外注することが多くなると、「この報酬や料金は源泉徴収が必要なのか?」といった悩みが増えてくると思います。

分かりやすいものであれば、ネットで検索することで解決することができますが、実務ではネットの力では判断できないものもあります。

その際は、税理士に相談することでサクッと解決してしまいましょう。

(2)経理代行を依頼すれば、源泉所得税の悩みもなくなる!

そもそも経理代行をすれば、源泉徴収をすべきかどうかの判断とは無縁になります。

生産性向上が叫ばれている昨今、経理代行を依頼して、源泉徴収が必要かどうかを悩む時間をより生産的な活動に使ってみませんか?

経理代行であれば、税理士に依頼してみてください。

(3)未徴収に気づいたらすぐに税理士に相談!

万が一、源泉所得税を徴収し忘れていると気づいた場合は、税理士に相談してみましょう。
今後、どのように対応すれば良いかを丁寧に教えてくれるはずです。

まとめ

ここまで、源泉所得税、特に報酬や料金にかかる源泉所得税の概要や源泉徴収の判断方法、源泉所得税の納付手続きについて解説してきました。

個人事業者への外注を始めた際には、必ず源泉所得税の源泉徴収も始めることになります。
個人事業者への外注を始めようとする場合には、源泉所得税の徴収や納付手続きといった業務のための準備も必要です。

その準備の際には、本記事が参考になれば幸いです。

もし、源泉徴収の対応が難しいと判断された場合には、税理士への相談も検討してみてください。

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