財務分析は経営状態の把握に重要!分析手法と役割について解説
財務分析とは、どのように行われるものなのだろう?
企業で働いていると、「財務分析」という言葉を耳にすることがあると思います。
「財務分析」とは、簡単に言うと人間の健康診断のようなもので、会社の経営状態をチェックする定期健診という言い方もできます。
では、具体的に財務分析はどういったもので、どのように分析するのでしょうか。分析すると、何が見えてくるのでしょうか。
今回は、
- 財務分析の概要と目的
- 財務分析を行うためのデータ
- 財務分析手法
について、べリーベスト税理士事務所がシンプルに分かりやすく解説していきます。
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1、財務分析とは
まずは、財務分析の概要と目的について解説します。
(1) 財務分析の概要
財務分析とは、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の財務三表(決算書)を使って、その会社の「収益性」「安全性」「生産性」「効率性」「成長性」の5つを総合的に分析することです。
(2) 財務分析の目的
財務分析の目的は、どのようなものでしょうか。
まず、財務分析をすることで、経営者や投資家、取引先などが、会社の現在の経営状況や問題点を把握できるようになります。
その経営状況や問題点を把握することで、改善すべきポイントが分かり、ビジネス上の意思決定や今後の経営戦略立案に役立てることができるようになります。
さらに、上場会社であれば、財務諸表を公表し、企業投資家にも個人投資家にも、その説明責任を果たさなければなりませんので、より精緻な「財務分析」が求められるのです。
2、財務分析を行うためのデータ
次に、「財務分析」を行うための基礎データである、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の財務三表(決算書)について解説していきます。
財務三表による財務分析を行うことで、会社の財政状態・経営成績・キャッシュフローの状況が分かるようになるのです。
これを活かして、事業計画や短中期計画の策定をすることもできるようになります。さらに、自社の状況を競合他社と比較することも可能です。
(1) 貸借対照表(BS)
貸借対照表とは、決算日時点の財政状態を表す書類です。英語では「Balance Sheet」といい、略して「BS」とも呼ばれます。
貸借対照表は、「資産」「負債」「自己資本(純資産)」の3つの項目で構成されており、
- 決算日時点で会社がどれだけ資産を持っていたか
- 決算日時点でどれだけ負債があったか
について記載され、その差額が自己資本(純資産)となります。
これらを分析することで、会社の財政状態が健全かどうかが分かるのです。
また、決算期ごとの「貸借対照表」を時系列で見ることで、資産や負債がどれだけ増減しているかという推移が分かります。
会社がどのように資金調達し運用しているかについても、確認することができます。
(2) 損益計算書(PL)
損益計算書は、一定の期間における経営成績を表す書類です。英語では「Profit and Loss statement」のいい、略して「PL」とも呼ばれます。
「損益計算書」は、各事業年度において、どの程度の利益・損失が出たかをまとめた決算書です。
以下の5つの項目で構成されています。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
収益が費用を上回れば利益、費用が収益を上回れば損失とされます。
その会社が利益を上げているのかいないのかといった業績がひと目でわかるため、財務三表のなかでもとくに重視される決算書です。
なお、貸借対照表(BS)が決算日時点での財政状態を表すのに対し、損益計算書(PL)では事業年度を通じた経営成績を表します。
(3) キャッシュフロー計算書(CF)
キャッシュフロー計算書は、各事業年度における実際の現金及び現金同等物の動きをまとめた決算書で、会社の家計簿のようなものです。英語で「Cash Flow statement」というので、略して「CF」と呼ばれます。
キャッシュフロー計算書は、
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー
の3つの活動別に表示されます。
①営業活動によるキャッシュフロー
営業上の現金の出入り(営業活動でどれだけの利益を得たか)が記載されています。
②投資活動によるキャッシュフロー
資産運用上の現金の出入り(将来の利益のためにどれだけ投資したか)が記載されています。
具体的には、固定資産や有価証券の、購入や売却による現金の出入りです。
③財務活動によるキャッシュフロー
資金調達に関する現金の出入り(資金の借入・返済)が記載されています。
具体的には、銀行からの借り入れなどによる現金の増加、返済による現金の減少などです。
3、財務分析手法
ここまで、財務分析をする基礎データである財務三表を簡単に解説してきました。
- 貸借対照表(BS):決算日時点における企業の財政状態
- 損益計算書(PL):一定期間の企業の経営成績
- キャッシュフロー計算書(CF):一定期間の現金の流れ
本章では、財務三表を使って、会社の「収益性」「安全性」「生産性」「効率性」「成長性」をどのように算出するのか、そこから何が分かり、どのようにビジネスの意思決定に使われるのかについて、具体的に見ていきましょう。
(1) 収益性分析
収益性分析は、会社の収益力を見るもので、稼ぐ力が分かります。代表的な指標は次の2つです。
- 売上高総利益率(=粗利率)
- 売上高営業利益率
①売上高総利益率(=粗利率)
売上高総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100 |
売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益であり、粗利ともいわれています。
売上総利益率は、売上高に対する売上総利益(粗利)の比率を出したものです。会社の大まかな利益率を表す指標で、比率が高いほど良くなります。
②売上高営業利益率
売上高営業利益率(%)=営業利益÷売上高×100 |
売上総利益から販売管理費を引いたものが営業利益であり、売上高営業利益率は、売上高に対する営業利益の割合を示した指標です。
売上高のうちにどれくらい営業利益が残るかを表しています。会社の営業活動の効率性を判断することができ、利益率が高いほど効率的な経営をしているといえます。
一方、売上が高くてもこの指標が低い場合は、利益が少ないことを意味します。
(2) 安全性分析
安全性分析とは、会社の支払能力を示す指標で、短期的・長期的な支払能力を分析することで、会社の倒産リスクを図ることができます。
①短期的な安全性の分析指標
流動比率
流動比率(%) =流動資産÷流動負債×100% |
会社が1年以内に現金回収される予定の流動資産と、1年以内に支払義務が発生する予定の流動負債を比較したものが流動比率です。
流動比率が高いほど出金よりも入金の方が多く、安全性が高いということになります。
一方、流動比率が低いということは、短期的な支払いが多いということとなり、安全性が低いと判断されます。
当座比率
当座比率(%) =当座資産÷流動負債×100% |
当座資産とは、流動資産の中でも換金性の高い資産をいいます。換金性の高い当座資産とは、現金、受取手形、売掛金などを指します。
②長期的な安全性の分析指標
負債比率
負債比率(%) = 他人資本(負債)÷自己資本×100% |
負債比率は、自己資本に対する負債の割合を見るための指標で、負債比率が低いほど安全性が高いと判断します。
固定比率
固定比率(%) = 固定資産÷自己資本×100% |
固定比率は、 自己資本に対する固定資産の割合を示す指標で、100%を下回れば固定資産がすべて自己資本でまかなえており、安全だと判断できます。
③その他
自己資本比率
自己資本比率(%)=自己資本÷(自己資本+他人資本)×100 |
自己資本とは会社が安定した経営をするために必要な資金のうち、返済する必要がない資金の調達源泉をいいます。
具体的には、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」などです。
自己資本比率は、総資本(自己資本+他人資本)に対する自己資本の比率を表す指標で、会社の資金の調達先が自己資本であるか、他人資本(銀行からの融資など)であるかを確認できます。
自己資本比率が高い場合は安全とみなされますが、低い場合は他人資本の影響が大きいということになり、経営が不安定だと判断されます。
(3)生産性分析
生産性分析とは、会社が投入した経営資源(従業員や設備など)を効率よく活用し、そこからどれだけの売上や付加価値を生んでいるかをみるものです。代表的な指標は以下です。
①労働生産性
労働生産性(額)=付加価値額÷従業員数 |
労働生産性とは、従業員1人あたりがどれほどの付加価値を生み出しているかが分かる指標です。
付加価値額とは、「経常利益」「労務費」「人件費」「金融費用」「賃借料」「租税公課」「減価償却費」の合計によって算出されますが、売上総利益を付加価値額として使用することもあります。
労働生産性が高いということは、少ない従業員数でより多くの付加価値(利益)を生み出しているということになります。
②労働分配率
労働分配率(%)=売上総利益÷人件費×100% |
労働分配率とは、労働生産性を比率で表したものに近く、会社の付加価値に対する人件費の割合を表した指標です。労働分配率が高い方が、少ない人件費で多くの付加価値を生み出している会社と判断できます。
(4)効率性分析
効率性分析とは、会社が投下した資本などが、いかに効率よく売上や利益を生み出しているのかをみるものです。指標は多数ありますが、代表的な2つを紹介します。
①売上債権回転率
売上債権回転率=売上高÷平均売上債権 |
売上債権回転率とは、売掛金や受取手形などのまだ現金化されていない売上債権が、現金化されるまでの期間を示す指標です。
売上債権回転率が高ければ高いほど、債権の回収時間が短いことを示します。
売上が発生してから現金化するまでの期間が短ければ、資金的に効率が良いと言えます。
②総資本回転率
総資本回転率=売上高÷総資本 |
総資本回転率とは、売上を得るために資本が回転数を示す指標で、「投資→販売→回収」を1回転とします。
回転率が大きいほど、少ない資本で売上を得ていることになり、効率の良い会社と言えます。
(5) 成長性分析
成長性分析とは、会社における一定期間の成長度合いを示す指標で、1年間でどれだけ成長したのかを分析するもので、代表的な指標は次の3つです。
①売上高成長率
売上高成長率(%)=(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100 |
1年間で増加した売上高を示す指標です。プラスであれば、この1年間で売上高が増加したことを意味します。
単年度だけでなく、過去数年分の伸び率も含めて売上推移で見ていくことが重要です。
②経常利益成長率
経常利益成長率(%)=(当期経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100 |
1年間で増加した経常利益を示す指標です。プラスであれば、この1年間で経常利益が増加したことを意味します。
③総資本成長率
総資本成長率 =(当期の総資本の金額-前期の総資本の金額)÷前期の総資本の金額×100 |
前期と比べて1年間で増加した総資本を示す指標です。プラスであれば、この1年間で総資本が増加したことを意味します。
ただし、総資本は資本と負債の合計金額なので、例えば前期より負債だけが増加したとしても、総資本成長率はプラスになってしまうため注意が必要です。
まとめ
今回は、財務分析の分析手法とその役割について解説してきました。
分析にあたり、指標の種類は多数あり、業界・業種によっても平均値などは異なります。
まずは自社の財務三表を分析し、導き出された数値が同業他社の財務三表と比較して、高いのか低いのかを判断できる物差しを作っていきましょう。
ただし、分析の元データとなる財務三表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)の作成時の経理処理が間違っていたり、改ざんなどされていれば、その後の分析は意味がなくなってしまいますので注意が必要です。
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