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TAX&ACCOUNTING MALL会社経営売上予測とは?売上予測の重要性と予測の立て方について解説
2022.8.22 / 更新日:2022.08.22

売上予測とは?売上予測の重要性と予測の立て方について解説

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売上予測とは、どのようにすれば企業の経営に効率の良いものになるのでしょうか。
企業や個人事業主にとって、今後のさらなる成長のために売上予測は非常に大切です。

今回は、売上予測に焦点を当て、

  • 売上予測に必要なデータ
  • 売上予測の方法
  • 売上予測を利益最大化につなげるプロセス

について、税理士法人ベリーベストがシンプルに分かりやすく解説していきます。

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1、 売上予測とは

まずは、売上予測の概要についてみていきましょう。

(1) 売上予測の概要

売上予測とは、自社の過去のデータから今後の売上動向を予測することで、企業が経営戦略や営業戦略を考える際に、重要視すべきデータの1つです。
売上予測の根拠として使用されるのは、自社の過去の実績に加え、

  • 業界・市場の動向
  • 競合他社の売上動向や今後の戦略
  • 自社の売上動向や成長率・新商品開発動向

など多岐に渡ります。

(2)売上予測の重要性

売上予測は、なぜ重要なのでしょうか。売上予測を正確に立てられないと、あらゆる計画に狂いが生じ、企業の健全な成長を阻害することにもなります。
特に、売上予測が影響を与えるものは以下の4つです。

  • 生産・在庫の適正化
  • 経費の適正化
  • 人員配置の適正化
  • 資金繰り計画の正確性

①生産・在庫の適正化

企業は、売上計画(販売計画)や生産計画に基づいて、生産する量と保有する在庫量を決めていきます。これらを決める基になるのが、売上予測のデータです。
特に製造業の場合は、売上予測に基づいた生産量を製造するために、あらかじめ必要な原材料などを仕入れます。

売上予測の精度が低く、需要よりも売れる予測をしてしまった場合には、在庫が過剰になり経営を圧迫することになります。
逆に、売れないという予測をしてしまった場合は、在庫が足りずに欠品状態が続き、需要はあるのに売ることができないという機会損失を招くことになるのです。

②経費の適正化

商品・サービスを販売する際には、より売れるようにするために、広告やプロモーションをかけることが一般的です。
広告・プロモーション費用をいくらかけるかの根拠となるのが、売上予測です。予測した売上を達成させるために、どれくらい経費をかけるのかを決めて予算配分します。

売上予測の精度が低く、売れると見込んで多額の広告費をかけたにも関わらず売れなかった場合は、赤字になる可能性があります。
売れないかもしれないのに、広告予算欲しさに営業部門で売上予測を高く見積り、経営に提出するなどということも起こりうるので、経理部門などの客観的な精査が必要です。

③人員配置の適正化

売上予測は、人事採用や配置にも関わってきます。売上予測の内容によっては、各部門の必要人員数が変動します。
例えば、売上予測が高い場合は、売上を上げるための営業の人員を補強する必要があるかもしれませんし、「売上予測」が低い場合は、それが高く予測される部門に異動させるなどの配置換えも必要となってくるでしょう。

④資金繰り計画の正確性

企業の資金繰りの際にも、売上予測は非常に重要です。
売れると見込んで設備投資計画を立てて銀行から借り入れなどをしたのに、実際の売上が予測を大幅に下回った場合は、返済が計画通りに進まずに資金繰りが厳しくなり、経営の悪化を招くことになるでしょう。
一般的に、銀行などに資金繰りの相談をする際には、きちんとした事業計画の提出が必要とされており、返済計画は売上予測に基づいた将来のキャッシュフローを元に算出することになります。

2、 売上予測に必要なデータ

売上予測には、具体的にどのようなデータが必要なのでしょうか。
企業が属する業界や規模感、どの成長段階にあるか、どのエリアで商売しているのかによっても、必要なデータはさまざまです。
一般的によく使われるデータは、以下のとおりです。

(1) 自社の売上高と売上に直結するデータ

自社の売上高と売上に直結するデータは、次のとおりです。

  • カテゴリーごとの売上(商品・サービスごと、部門ごと、エリアごと など)
  • 時間軸ごとの売上(月ごと、四半期ごと、年度ごと、および過去数年分)
  • 平均成長率(四半期、年度)
  • 売上分解の指数(客数、客単価、購買率 など)
  • 顧客分解の指数(新規客数、既存客数、新規客獲得率、既存客離反率、新規客単価、既存客単価 など)
  • その他(新規契約率、サービス継続率、解約率 など)

(2) 外部環境データ

自社を取り巻く業界や市場動向、競合他社状況、気象条件、消費者の価値観の変化なども考慮します。

なお、企業内にはデータが山ほど蓄積されていますが、その数値を並べて眺めるだけでは何も生まれません。
これらのデータから何を読み解くのか、どのように解釈していくのかが最も重要な作業となります。
視覚的に分かりやすくするためにも、グラフ化をするなどで推移や動向を直感的につかめるようにしましょう。

3、売上予測の方法

売上予測の立て方は、自社の業界や置かれている状況などによって異なりますが、基本的には大きくは以下2つです。

(1)過去の売上実績から予測する方法

過去の自社の売上実績を基に算出するもので、過去の売上と年平均成長率を組み合わせて、将来の売上を予測していきます。
ただし、そこから導き出された売上予測に、自社や業界の成長率をかけ合わせたり、季節指数(シーズンによって生じる売上の変化)を反映させたりするなどして、より精度を高める必要があります。

将来も、過去と同じ商品やサービスを販売していれば、「過去の売上実績から予測する方法」は有効です。
しかし、新たな事業(商品・サービス)を展開する場合や、業界を取り巻く環境が大きく変動した場合などでは、過去実績から導き出した予測値は参考程度にしかなりませんので注意が必要です。

(2)過去の営業アプローチから予測する方法

過去の営業アプローチ(見込み数→アプローチ数→商談数→後追い営業数→成約数など)実績を基に、将来の獲得客数を割り出し、そこから得られるであろう売上を予測する方法もあります。

例えば、以下のような計算から予測していきます。
ある営業チームの過去の成績について、以下のように仮定します。

見込み数100名→アプローチ数50名→商談数20名→後追い営業数10名→成約数5名

見込み数からのそれぞれの確率を、

  • アプローチに至るのは50%
  • アプロ―チから商談に至るのは40%
  • 商談から後追い営業まで至るのは50%
  • 後追い営業から成立するのは50%

とした場合、見込み数からの成約率は5%です。
平均客単価が50万円の場合、50万円×5名=250万円となります。

もし同じ営業チームが人員を倍増させて、今までと同じ活動を行った場合は、上記と同じ指数を当てはめて計算することができるので、仮に今までの倍の見込み客200名にアプローチできれば、売上も2倍の500万円になる計算です。

以上のように、営業アプロ―チからの売上予測は、売上と年成長率から予測するのではなく、売上に至るまでのプロセスごとの指数から割り出します。
過去の実績がない商品・サービスを販売する場合や、取り巻く環境が大きく変化した場合でも、前項で紹介した「過去の売上実績から予測する方法」と比較して、精度の高い予測をすることが可能となります。

いずれの方法も、自社の実績を基に売上予測を割り出すものなので、外部環境データ(業界・市場動向、競合状況、気象条件、消費者の価値観の変化など)に関するデータも合わせて、予測値を出すようにしましょう。

4、売上予測を利益最大化につなげるプロセスと予測の種類

売上予測を利益最大化につなげるためのプロセスは、以下のとおりです。

まず、データを収集・分析し、その結果をもとに将来の予測を行います。
予測に即した事業計画を立て、計画通りに実行しましょう。状況が変われば、計画の軌道修正を実施します。

予測には、以下の4種類があります。

  • 需要予測
  • 販売予測
  • 生産・仕入予測
  • 在庫予測

売上予測のプロセスのうち柱ともいえる予測について、それぞれどのような特徴をもつのかご紹介します。

(1)需要予測

予測の中で一番重要なのは、需要予測です。
需要予測とは、自社製品やサービスについて将来的な需要を予測することをいい、企業活動に関わるさまざまな計画を立てるうえで非常に重要です。需要予測が正しくなければ、以降の販売予測や生産・仕入れ予測、在庫予測も外れることになるからです。

(2)販売予測

需要を予測できれば、どれくらい販売することが可能であるかという販売予測も立てられます。
販売予測をすることで「需要があるのだから、自社製品はプロモーション次第では売れるはずだ」といった仮説が成り立ち、より自社製品が売れるようなプロモーション・広告計画を立てることが可能となります。

(3)生産・仕入予測

販売量が見込めれば、生産量や仕入数、人員数がどのくらい必要なのかが分かります。それに基づいて、原材料や人の手配も進めることができるようになります。

(4)在庫予測

販売予測に見合った、適正量の生産・仕入であれば、在庫が過剰に残ることはありません。
在庫が過多でなければ、無駄に廃棄しなければならないようなリスクは避けられますし、逆に売れすぎて販売機会を逃すようなリスクも避けることができます。

まとめ

今回は、売上予測の重要性予測の立て方などについて解説してきました。
売上予測を正確に算出することは、生産量・在庫の適正化、経費の適正化、人員の適正化を実現し、最終的には企業の利益の最大化に繋がります。
算出方法はさまざまな方法があり企業や業種によって異なるものの、企業が継続的に安定した経営をするためにも、正確なデータを多数収集・分析し、精度の高い売上予測立てるようにしていきましょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

税理士法人ベリーベスト 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。