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2021.6.25 / 更新日:2021.06.25

暗号資産(仮想通貨)にかかる税金は?節税できる?わかりやすく解説

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暗号 資産 税金

近年の暗号資産の価格高騰によって、いままで確定申告をしたことがまったくないという方々が、確定申告をしなければならないという事態が増えています。

税金について右も左もわからないという方々に、突然確定申告が降りかかるのはあまりにも酷ですよね。

暗号資産の取引で利益が出たときのために、暗号資産にかかる税金について少しでも知っていれば、ある程度落ち着いて対応できることでしょう。

今回は、

  • 暗号資産にかかる税金について
  • 確定申告が必要になる場合
  • どのくらい税金がかかるのか
  • 確定申告から納付までの簡単な流れ
  • 暗号資産にかかる税金の節税方法

について、解説していきます。

この記事を読んで、暗号資産にかかる税金についての基本的内容を知り、堂々と構えて確定申告に臨みましょう。ぜひ、最後までご覧ください。

なお、本記事は、べリーベスト税理士事務所の公式YouTubeチャンネルで公開されている以下の動画と連動しております。ぜひ併せてご覧ください。

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1、暗号資産の税金・確定申告について知る前に|暗号資産(仮想通貨)とは

暗号資産の税金・確定申告について知る前に|暗号資産(仮想通貨)とは

まずは、暗号資産(仮想通貨)について理解しましょう。
本章では、暗号資産(仮想通貨)の概要と、暗号資産の種類について解説します。

(1)暗号資産(仮想通貨)とは

暗号資産(仮想通貨)とは、ブロックチェーンという技術を用いて管理された電子データのことです。
インターネット上で決済手段として用いることができ、モノや他の通貨(暗号資産も含む)と交換することができます。

近年、暗号資産の認知度が上昇したことや、暗号資産自体の価格の変動が大きいという要因により、投資対象として大きな注目を集めています。

(2)ビットコインの他にも暗号資産はたくさんある

有名な暗号資産として、ビットコインがありますが、暗号資産にはビットコインの他にも数千種類存在します。

代表的な暗号資産として、以下のものがあります。

  • ビットコイン(Bitcoin, BTC)
  • イーサリアム(Ethereum, ETH)
  • バイナンスコイン(Binance coin, BNB)
  • リップル(XRP)

これら数千種類の暗号資産が日々取引されていますが、暗号資産の取引で得た所得にかかる税金はどうなるのでしょうか。
次章より、確認していきましょう。

2、暗号資産にかかる税金とは

暗号資産にかかる税金とは

(1)確定申告が必要になる場合

暗号資産の取引によって得た所得は、原則として「雑所得」に区分されます。

暗号資産の取引によって得た所得について、確定申告が必要になるのは、以下に当てはまる場合です。

  • 給与を受け取っている
  • 公的年金のみを受け取っている
  • それ以外

①給与を受け取っている

給与を受け取っている方で、以下のいずれかの条件を満たす場合は、確定申告が必要です。

  • 給与収入額が2,000万円以上
  • 給与所得と退職所得以外の所得の合計額が20万円を超える(※)

(※)2ヶ所以上から給与を得ている場合は、年末調整を受けていない給与所得も合算します。

②公的年金のみを受け取っている

公的年金を受け取っている方で、以下のいずれかの条件を満たす場合は、確定申告が必要にです。

  • 公的年金の収入額が400万円を超える
  • 公的年金の所得金額以外の所得の合計額が20万円を超える

③それ以外

上記①・②以外の方で、以下の条件を満たす場合は、確定申告が必要になります。

  • 所得金額が48万円を超える

(参考:確定申告が必要な方|国税庁暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

暗号資産の取引について確定申告が不要でも、医療費控除やふるさと納税などの理由で確定申告をする場合、所得の計算には暗号資産の取引で得た所得も含めて申告します。

(2)暗号資産の取引による課税所得とは

暗号資産の取引において、課税の対象となる所得は、売却した時にだけ発生するもではありません。
所得が発生するタイミングのうち、次の主な3つについて確認していきましょう。

  • 暗号資産を売却したとき
  • 暗号資産でお買い物をしたとき
  • 暗号資産で他の暗号資産を購入したとき

①暗号資産を売却したとき

暗号資産を売却し、利益が出た時に所得が発生します。
この場合の所得金額は、以下の計算式で算出します。

所得金額=売却価格-売却した暗号資産の購入単価×売却数量

(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

②暗号資産でお買い物をしたとき

暗号資産を用いて、商品やサービスの料金を支払ったときにも、所得が発生します。
この場合の所得金額は、以下の計算式で算出します。

所得金額=商品などの購入金額-支払った暗号資産の購入単価×支払数量

(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

③暗号資産で他の暗号資産を購入したとき

暗号資産で他の暗号資産を購入した際にも、所得が発生します。
この場合の所得金額は、以下の計算式で算出します。

所得金額=暗号資産の購入価格-支払った暗号資産の購入単価×支払い数量

④必要経費

売却した(支払った)暗号資産の購入原価以外にも、以下の費用は必要経費として、所得の計算上収入金額から差し引くことができます。

  • 売却手数料
  • インターネットの回線料金、パソコンの購入費用(※)

(※)暗号資産の取引に直接的に必要と認められる金額に限られます。
(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

(3)どのくらいの税金がかかるのか

①暗号資産による所得の課税方式

前述した通り、暗号資産の取引による所得は、原則として雑所得に区分されます。
雑所得の課税方式の特徴として、以下の3つがあげられます。

―総合課税

雑所得は、他の所得と合算し、合計金額に税率をかけて税額を計算します。

―損益通算できない

雑所得は、もし所得がマイナス、つまり損失が発生した場合は、他の所得とは合算することができません。

―損失の繰り越しができない

雑所得は、損失を繰り越すことができません。
(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

②所得税

令和3年の4月時点における、所得税率は以下の表のとおりです。

所得金額 税率 控除額
1,000円から
1,949,000円まで
5% 0円
1,950,000円から
3,299,000円まで
10% 97,500円
3,300,000円から
6,949,000円まで
20% 427,500円
6,950,000円から
8,999,000円まで
23% 636,000円
9,000,000円から
17,999,000円まで
33% 1,536,000円
18,000,000円から
39,999,000円まで
40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

(出典:No.2260 所得税の税率|所得税

例として、年収400万円の会社員が、暗号資産の取引で500万円の利益を出したとします。
この会社員にかかる所得税額は、以下のとおりです。

  • 年収:400万円
  • 給与所得:228万円(400万円-172万円(基礎控除と給与所得控除のみ))
  • 雑所得:500万円
  • 合計所得:728万円
  • 所得税額:1,038,400円(728万円×23%-63万6千円)

(参考:No.2260 所得税の税率|国税庁No.1410 給与所得控除|国税庁

(4)申告と納付の方法

暗号資産にかかる税金の申告と納付方法について、解説します。

①申告方法

確定申告書の所得の内訳の欄と雑所得の欄に、暗号資産取引の年間の所得金額、収入金額と必要経費を記入します。

収入金額は、「2、暗号資産とは(2)暗号資産の取引による課税所得とは」で解説した、暗号資産の売却価格、商品などの購入価格、暗号資産の購入価格の合計額です。

必要経費は、「2、暗号資産とは(2)暗号資産の取引による課税所得とは」で解説した、暗号資産の購入原価や手数料などの合計額です。

購入原価算定の際の暗号資産の単価は、「総平均法」か「移動平均法」のどちらかで算定します。
どちらの方法で算定するのかは、事前に所轄税務署長に届出が必要です。忘れずに届け出ましょう。

給与所得などほかの所得がある場合は、ほかの所得についてもしっかりと記入するのを忘れないようにします。
確定申告書が完成したら、申告期限までに所轄税務署に提出します。
(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁申告手続の流れ|国税庁

②納付方法

確定申告書の提出が完了したら、納付期限までに税金を納付します。
納付方法は、窓口納付や口座振替以外にもいくつかあります。ご自身の都合に合う方法をお選びください。
(参考:[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)|国税庁

3、暗号資産の確定申告の注意点

暗号資産の確定申告の注意点

暗号資産の確定申告には、次のような注意点があります。

  • 確定申告・納付を忘れると無申告加算税が課せられる
  • 納税資金をいくらか手元に残しておく

(1)確定申告・納付を忘れずに!

申告期限までに確定申告をせず、確定申告をする意思があると認められない場合は、無申告加算税が課せられます。
過去にし忘れていたことに気づいたら、自主的に申告または修正申告しましょう。

期限後1ヶ月以内であれば、無申告加算税は課されません。

期限後1ヶ月を過ぎたとしても、無申告加算税が軽減されます。

また、確定申告をしても、納付をし忘れてしまった場合は、延滞税が課せられます。
申告期限と納付期限に間に合うように、確定申告の時期が近づいたら、事前に準備を始めると良いでしょう。
(参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁No.9205 延滞税について|国税庁

(2)納税資金を手元に残しておく

サラリーマンなどの一般的な社会人の場合、確定申告の経験があるという人は少ないと考えられます。
自分自身で納税をするという経験がないため、「納税には資金が必要だ」という考えが抜け落ちている場合があります。

結果として、稼いだら稼いだ分だけ使って、貯蓄が少なくなるこということになりかねません。

加えて、暗号資産は価格の変動が大きいため、保有している暗号資産の価格が大きく下落した場合、納税資金の確保がより難しくなります。
年末に向けて、ある程度所得金額の目安がついたら、納税資金としていくらか蓄えておきましょう。

4、暗号資産の節税方法とは

暗号資産の節税方法とは

本章では、暗号資産で思った以上に利益が出てしまったという方に向けて、いくつか節税方法を紹介していきます。

(1)取引を調整する

「2、暗号資産にかかる税金とは(1)確定申告が必要になる場合」で前述したように、所得税法では、確定申告が必要になる条件が定められています。

その条件を踏まえると、給与や公的年金の他に暗号資産の取引による所得しかない場合、暗号資産の取引による所得が年間20万円までであれば、確定申告が不要です。
暗号資産の取引による所得のみの場合は、年間48万円までであれば、確定申告の必要はありません。

以上の条件に収まるように暗号資産の取引を調整すれば、節税も可能です。

日本の所得税は、累進課税制度をとっていますので、税率が跳ね上がる所得金額にならないように調整することでも、税率の差だけ節税できます。

ただし、暗号資産は価格の変動が大きいため、せっかくの大きな値上がりによる利益をとり逃してしまうことが、この方法の欠点としてあげられます。
売却による利益と、支払うことになる税額を天秤にかけて、慎重に判断することが求められるでしょう。

(2)法人を設立して、法人に暗号資産を売却する

一定以上の所得になると、所得税率よりも法人税率の方が小さくなります。

法人税率の方が小さくなることを利用して、法人を設立して暗号資産を法人に売却ことで節税が可能です。

ただし、暗号資産を法人に売却した際に利益が出る場合は、所得税が課せられます。
所得税を抑えるために、暗号資産を安く法人に売却したいわけです。

暗号資産を安く売却することができる限度は、時価の70%までなので、時価の70%で法人に売却することで、時価との差30%にかかる所得税を抑えられます。

法人の場合は、損益通算や損失の繰越控除などの他のメリットを受けることもできます。
(参考:暗号資産に関する税務上の取扱いについて|国税庁

5、暗号資産(仮想通貨)にかかる税金なら税理士に相談!

暗号資産(仮想通貨)にかかる税金なら税理士に相談!

ここまで、暗号資産の税金について解説しました。

暗号資産の税金について不安や悩みがあるなら、税理士へ相談することをおすすめします。
本章では、税理士へ相談するメリットを紹介します。

(1)節税のアドバイスや個人事業主ならではの税務関連のサポート

最近の暗号資産の価格上昇は、目を見張るものです。

そのため、思いがけない利益がでてしまうかも、と税金の心配をしている方もいるのではないでしょうか。

暗号資産の税金について不安がある場合は、一度税理士に相談をしてみてください。
可能な限りの節税方法など、さまざまなサポートをしてくれるでしょう。

(2)申告手順などの確定申告に関するお悩みの無料相談

初めての確定申告でわからないことばかり、という方は一度確定申告の方法について税理士に相談してみましょう。
確定申告の流れや必要な書類の準備など、基本的な相談であれば無料で受けることができます。

(3)確定申告書の作成を依頼できる

「相談してもよくわからなかった。」
「相談したところ、自分1人ではできそうにないことがわかった。」

という方は、税理士に確定申告を依頼してみてはいかがでしょうか。
確定申告書の作成は、税理士の専門分野の1つですので、ミスなく確定申告を終わらせられるでしょう。

まとめ

ここまで、暗号資産にかかる税金について、取り扱いや確定申告、節税方法についてを解説してきました。

近年、暗号資産の取引で大きな利益を出した人に対して、国税当局は非常に目を光らせています。

ある日突然、督促状が届いて慌てるようなことがないよう、しっかりと確定申告をし、納税するようにしましょう。

確定申告の際には、お近くの税理士に相談をしてみてください。きっと力になってくれるはずです。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。