未払法人税等とは?計上の流れと仕訳の例をわかりやすく解説!
未払法人税等とは、どのような税金なのだろう……。
会社を立ち上げたばかりで、税金について詳しく知らない……。
上記のようにお悩みの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、未払法人税等の概要について説明したうえで、
- 未払法人税等の勘定科目
- 未払法人税等の計上の流れ
- 未払法人税等の仕訳例
などについて、解説しています。
あわせて、未払法人税等の納税の際に気を付けるポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください
未払法人税等の計上の方法を知ることで、企業の努めである納税をしっかりと行っていきましょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。
1、そもそも未払法人税等とは
そもそも未払法人税等とは、どのようなものなのでしょうか。
本章では、未払法人税等の概要部分の解説をしていきます。
(1)未払法人税等とは
「未払法人税等」とは、決算時や確定申告時における、以下に挙げた税金の未払い分のことです。
- 法人税
- 住民税(都道府県民税や市町村民税)
- 事業税 など
決算により税額が確定し、中間納付分を差し引いた未払い分を表す勘定科目です。
未払法人税等は、租税公課を損金経理により未払計上する際に、損金算入できない法人税や住民税を処理するための役割も担っています。
(2)未払法人税等の処理
通常、確定申告は、決算の日から2ヶ月以内に行わなければなりません。
企業は法人税等の税金を確定申告の際に納めるため、決算の時点では未払いになります。
「未払法人税等」は、確定している税額を処理するための科目になるため、負債として処理します。
(3)未払法人税等の財務諸表での位置づけ
未払法人税等の財務諸表での位置づけは、ワンイヤールール(1年基準)により、貸借対照表(B/S)における負債の部の流動負債に含まれます。
会計期間が1年の企業は、中間申告納税額が含まれている場合があるため、計上の際に注意が必要です。
貸借対照表における未払法人税等の税額は、当期の法人税等の金額から中間申告納税額が引かれた金額になるからです。
損益計算書では、「法人税等」の科目にて、費用勘定として取り扱われます。
「税引前当期純利益」から「法人税等」を差し引いて、「当期純利益」が算出されます。
2、未払法人税等の勘定科目とは
前章では、未払法人税等の概要や処理、財務諸表での位置づけについて説明してきました。
本章では、未払法人税等の勘定項目について解説していきます。
具体的には、以下の3つです。
- 法人税
- 住民税
- 事業税
(1)法人税
未払法人税等の勘定項目の中には、法人税が含まれます。
法人税とは、株式会社や有限会社、協同組合などの法人の所得に対して、課税される税金のことです。
公益社団法人や宗教法人、学校法人などは公益を目的としており、営利目的ではない法人に該当するため、課税されません。
法人税について、詳しくは「法人税の計算についてざっくりわかる!計算シミュレーションと用語解説」をご参考にしてください。
法人税の節税については、「法人税の節税策を網羅解説!資金繰りや融資でマイナスにならないための節税とは?」で解説しておりますので、あわせてご確認ください。
(2)住民税
未払法人税等の勘定項目の中には、住民税が含まれます。
住民税とは、地方税の一種で、法人の所在地にある都道府県と市区町村から課税される税金のことです。
都道府県の場合は都道府県民税で、市区町村の場合は市区町村民税をそれぞれ納める必要があります。
(3)事業税
未払法人税等の勘定科目の中には、新会計基準により、法人税・住民税に加えて、事業税が含まれることになりました。
事業税とは、企業の事業ならびに個人の行う一定の事業(=法定業種)に課税される地方税(都道府県民税)のことです。
事業税の税額の確定方式は、以下の方式で決定されます。
- 個人の場合:賦課課税方式
- 法人の場合:申告納税方式
場合によっては、事業税に加えて、事業所税も含まれる可能性があります。
ただし、未払法人税等の中には、消費税等は含まれないことを認識しておきましょう。
3、未払法人税等の計上の流れとは
前章では、未払法人税等の勘定科目について紹介してきました。
本章では、未払法人税等の計上のタイミングを説明したうえで、未払法人税等の計上の流れを解説していきます。
(1)未払法人税等の計上のタイミング
法人税等の計上の時期は、法人税等の税額を算出したタイミングで実施します。
企業の決算が終了した期末決算時の年1回となります。
確定申告は、決算日から2ヶ月以内に実施しなければなりません。
納税に関しても、確定申告と同様のタイミングになります。
(2)未払法人税等の計上の流れ
期末に未払法人税等を計上する流れは、以下の通りです。
- ①決算で減価償却費や在庫の棚卸しなどの計算を実施して、税引前当期純利益を確定
- ②確定した税引前当期純利益から、法人税等の金額を算出
- ③②で算出した法人税等の金額の中から、未払法人税等を計上
- ④税引前当期純利益から未払法人税等を差し引いて確定した当期純利益を元に決算書や確定申告書を作成
- ⑤申告書を提出し、法人税等を納税する
4、未払法人税等の仕訳例とは
法人税や住民税はその年度に対応するものなので、一般的には、期末に未払法人税等の仕訳を行うことが必要になります。
(1)未払法人税等を計上した場合(期末決算時)
未払法人税等を計上した場合(期末決算時)の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
法人税等:3,500,000 | 未払法人税等:3,500,000 |
(2)未払法人税等の納税額を当座預金から振り込んだ場合(確定申告時)
未払法人税等の納税額を当座預金から振り込んだ場合(確定申告時)の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 |
未払法人税等:3,500,000 | 現金預金:3,500,000 |
5、申告期限には注意!未払法人税等で気を付けるポイントとは
(1)納付期限は決算日から原則2ヶ月以内
法人税や住民税、事業税などの未払法人税等の納付期限は、原則として決算日から2ヵ月以内となります。
(2)税金を滞納すると督促される
税金を滞納していた場合、税務署や地方自治体から督促状の送付があり、督促の電話がかかってくることもあります。
滞納をした場合は、納付期限の翌日から納付した日までに対応する延滞税または延滞金を納付しなければなりません。
延滞税=税金の金額 × 延滞税の割合 × 日数 ÷ 365(1円未満切り捨て) |
(3)督促を無視すると滞納処分が行われる
それでもなお、納税されない場合は、最終手段として滞納処分(差し押さえ等)が実施されることがあります。
差し押さえの対象となる財産は、預貯金や不動産などです。
もし税金を支払えないのであれば、税務署や自治体に相談するようにしましょう。
まとめ
今回は、未払法人税等の概要や計上の流れ、仕訳例について解説してきました。
未払法人税等の具体的な内容や処理方法について、理解している方はほとんどいないでしょう。
この記事を参考に、未払法人税等の計上の仕方を理解しましょう。
なお、未払法人税等に限らず、会社経営について不安や疑問がある場合には、税理士への相談がおすすめです。
未払法人税等を含む会社経営に関することについて、税理士へ相談・依頼することで、
- 未払法人税等の計上に関するアドバイス
- 決算や確定申告の代理等
- 事務作業軽減のための対応等
などのサポートが可能です。
他にも、経理・会計や税金の面でのサポートも可能となります。
不安があったら、気軽に税理士へ相談しましょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽にべリーベスト税理士事務所までお問い合わせください。