経理もテレワークできる!経理のテレワークを円滑に進める2つの方法
テレワークが普及してきたけど、経理もテレワークでできるのかな……。
コロナ禍に悩む近年、新しい生活様式が政府から提唱され、働き方もテレワークという言葉が普及してきました。
しかし、経理の業務は煩雑であり、テレワークにすることが難しいとされています。
経理担当者1000名を対象に行った調査(※)によれば、完全にテレワークを実施できているの17%であり、残りの83%は出社しているのが現状です。
(※クラウド会計サービスを提供している「株式会社マネーフォワード」の子会社「マネーフォワードケッサイ株式会社」が行った調査)
経理業務のテレワークが完全に可能になれば、出社する必要が大幅に減少します。
経理担当者としては、できることなら経理業務もテレワークで完結したいところですよね。
そんな経理担当者の方に向けて、
- 経理業務でもテレワークは可能?
- 経理業務のテレワークを進める2つの方法
- 経理業務のテレワークのメリットデメリット
について解説します。
さらに、
- 経理業務のテレワークを促進するおすすめツール
- 経理業務のテレワークを進めたい、困ったらどうすればいいの?
についても解説します。
この記事を読んで、経理のテレワークを進める参考にしていただけると幸いです。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
お気軽に税理士法人ベリーベストまでお問い合わせください。
1、経理業務でもテレワークは可能?
会社のお金を管理する経理業務。
一見、経理業務はテレワークに不向きな気がしますが、経理業務もテレワークは可能なのでしょうか。
結論からいうと、経理業務でもテレワークは「可能」です。
しかし、経理業務におけるテレワークは進んでいない傾向にあります。
本章では、テレワークの概要と、経理業務においてテレワークが進まない原因について解説します。
(1)そもそも「テレワーク」とは
テレワークとは、情報通信技術を活用し、自宅など職場から離れたところで仕事をする働き方です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、総務省が推進する働き方の一つで、2020年の春頃から急速に普及し始めました。
一般社団法人日本CFOが発表した調査(※)によると、70%の企業が、テレワークを実施、推進に取り組んだという結果が出ています。
(※日本CFO 協会会員を主体とした日本企業のCFO および経理・財務幹部を対象とした、新型コロナウイルスによる経理業務などへの影響やテレワークの状況などの調査。)
多くの企業が、テレワークの実施や推進に取り組んでいるため、「経理業務もテレワークを問題なく行えるのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。
理由としては、経理業務は原則就業時間中の外出等が必要なく、オフィスでのデスクワークが多いことが挙げられます。
しかし、実は経理業務でのテレワークの導入は進んでいないのが現状です。
なぜ、経理業務でのテレワーク導入が進まないのでしょうか。次項にて、詳しく解説します。
(2)経理業務のテレワークが進まない原因
経理のテレワークが進まない大きな原因としては、次の2つが挙げられます。
- 業務に紙とハンコが必要
- 入金・支払い業務のための出社が必要
①業務に紙とハンコが必須
現在の経理業務は、紙ベースの業務が基本となっています。
経理担当者の出社が必要な理由として、
- 決算対応
- 請求書の作成・押印
- 請求書の受取
以上の業務には紙とハンコが必要なため、出社が必要になってくるでしょう。
「紙ベース」によるアナログな業務が、テレワークの導入が進まない要因の一つです。
冒頭でも紹介した、マネーフォワードケッサイ株式会社が行った調査によると、テレワークを導入している企業の4割以上が、「紙の書類の処理」などで出社する必要が発生しているという現状です。
テレワークに取り組んでいない企業としても、テレワークに取り組んでない要因として、紙の書類をデジタル化できていないことが挙げられます。
②入金・支払い業務のための出社が必須
出社が必要な理由として、経理業務には次のような業務が必要であることも挙げられます。
- 取引先に振込
- 入出金確認
企業名義の口座であれば、銀行通帳などを社外へ持ち出すことは避けたいところでしょう。
出社して社内で取引先へ入金したり、入出金確認したりしなければならないため、経理担当者は出社が必要です。
2、経理業務のテレワークの進める方法
前章では、経理のテレワークが進まない原因を解説しました。
その原因を解決して、テレワークを進めるために、次のような方法があります。
- ペーパーレス化
- クラウド会計サービス化の導入
(1)ペーパーレス化
経理のテレワークを進める鍵は、なんといっても「ペーパーレス化」でしょう。
紙の書類が必要な業務をなくし、全てデジタル上で行うことができれば、出社する必要もなくなります。
ペーパーレス化にすることで、印刷や紙などのコスト削減、保管スペースの削減が実現します。
さらに、ペーパーレス化することで、印刷という業務の負担が減ったり印刷した紙をまとめる作業を省けたりするため、業務効率が向上することが最大の特徴です。
(2)クラウド会計サービスの導入
ペーパーレス化を図って経理のテレワークを進める方法のひとつに、「クラウド会計サービスの導入」が挙げられます。
クラウド会計サービスは、オンライン上で経理に必要な帳票の大部分を作成してくれる便利ツールです。
クラウド会計サービスを導入することによって、常に現金や預金、経費を自動で計算し、会計処理や決算業務を大幅に効率化します。さらには、請求書のデジタル化なども進みます。
クラウド会計サービスについての詳細は、「4、経理業務のテレワークを促進するおすすめツール」で紹介します。
3、経理業務のテレワークのメリット・デメリット
ここまでで、経理業務のテレワークの概要と、経理業務のテレワークを進める方法について解説しました。
テレワークで経理業務を進めることができるのには、メリットが多そうに思えますがデメリットも存在します。
本章では、経理業務をテレワークで行うメリットとデメリットについて、それぞれ解説します。
(1)メリット
経理業務をテレワークにするメリットは、次のようなことが挙げられます。
- コスト削減
- 生産性の向上
- ワークライフバランスの向上
①コスト削減
紙ベースの業務には、以下のようなコストが伴います。
- 印刷機の設備費用
- 印刷機設置に伴うオフィススペースの運用費用
- 用紙代
- インク代
- 郵送費
- 経理担当者が出社する場合の交通費
ペーパーレス化を促進して経理業務をテレワークにすることによって、従来かかっていたコストを削減できるというメリットを期待できます。
②生産性の向上
紙を使った作業には、次のような手作業が必要です。
- 各種集計・計算
- 帳票の印刷
- 郵送や発送の手配
- ハンコの押印
- 書類の整理
以上のような手作業をペーパーレス化することで、大幅な時間削減に繋がり、入力や出力を自動化することで業務効率化が図られ、業務の生産性が向上します。
③ワークライフバランスの向上
テレワークを実現することによって、通勤時間が無くなって時間に余裕が生まれます。
限られた時間でしか働けない人も、テレワークなら最大限のパフォーマンスを発揮することができるでしょう。
それによって、自分の時間や家族との時間を従来よりも増やすことができ、ワークライフバランスの向上になります。
環境の変化などで離職せざるを得ない状況でも、テレワークなら復帰できるという事例もあり、人手不足の解消にも繋がります。
(2)デメリット
経理業務をテレワークにするデメリットとしては、次のようなことが挙げられます。
- データの紛失・情報漏洩のリスク
- 業務に関するコミュニケーションが難しくなる
①データの紛失・情報漏洩のリスク
経理業務をテレワークにすることで引き起こるデメリットとしては、テレワークを導入すると、出社して業務をするよりもセキュリティ面でのリスクが上がることです。
テレワークは、職場から離れたところで仕事をするので、社内の情報をオフィス外からでもアクセスできるようになります。
経理業務を社外で行うため、財務情報などの重要な情報が漏洩するリスクが常に伴うでしょう。
また、企業によっては、個人の私物のパソコンを利用してテレワークを行うこともあります。
インターネットからの攻撃の対策を徹底しているオフィスと比べて、デバイスがウイルス感染するリスクが高まり、情報流出やデータの紛失などが起こる可能性も考えられます。
会社内でセキュリティポリシーを作成して、全社員が遵守することが重要になってくるでしょう。
②業務に関するコミュニケーションが難しくなる
テレワークにすることで、オフィスに出社して業務をするよりもコミュニケーションを取ることが難しくなります。
オフィスにおける対面でのコミュニケーションでは、相手の表情や仕草などから読み取れる情報も少なくありません。
しかし、テレワークでは、コミュニケーションのメインがメッセージのやりとりとなり、相手の表情や仕草から実際に情報を感じ取ることが難しいでしょう。
以上のように、コミュニケーションの取りづらさから、業務効率が低下することを危惧してテレワークに踏み切れない企業が存在するのも事実です。
4、経理業務のテレワークを促進するおすすめツール
テレワークで経理業務を行う際には、さまざまなメリットとデメリットが存在することをご理解いただけたでしょう。
メリットやデメリットを踏まえて、経理業務のテレワークを行う場合のおすすめツールを紹介します。
(1)クラウド会計サービス
クラウド会計サービスを利用するとできることは、以下の通りです。
- 帳簿の作成
- 経費精算
- 請求書の発行
- 決済代行
- 年末調整
クラウド会計サービスを利用することで、業務効率の向上が期待できます。
具体的なクラウド会計サービスについては、「バックオフィス業務効率化のメリットや方法を解説【DX?】」で紹介しておりますので、ご参考ください。
①帳簿の作成
クラウド会計サービスのなかには、オンライン上で経理に必要な帳票の大部分を作成してくれるサービスもあります。
伝票をスキャンしてオンライン上でデータ化することで、場所を問わずに内容の確認が可能です。
- 保管スペースの削減
- オンライン上で容易に検索できる
- 日頃の帳簿への記帳業務の負担軽減
クラウド会計サービスで帳簿作成をすることで、以上のようなメリットが考えられます。経理業務を大幅に効率化できるでしょう。
②経費精算
クラウド会計サービスのなかには、常に現金や預金、経費を自動で計算してくれるツールも多く存在します。会計処理や決算業務を大幅に効率化できるでしょう。
紙を使って手作業で計算するより、入力や出力が自動化されるため、生産性が圧倒的に向上します。
③請求書の発行
請求書関連業務は、経理担当者が完全にテレワークへ移行できない要因の一つです。
請求書のデジタル化こそ、経理のテレワークを進める大きな一歩になります。
クラウド会計サービスを導入すれば、次のような請求書のデジタル化が可能であるため、経理担当者が請求書関連の業務で出社する必要がありません。。
- PDF等で請求書を発行して取引先に送付
- 電子データで請求書を受け取る
④決済代行
決済方法には、クレジット払いや銀行振込、コンビニ決済などがあります。
決済代行とは、これらの決済を企業に変わって一括して代行するサービスです。
本来であれば、企業が直接クレジット会社と個別で契約し、入金管理や督促まで行います。決済代行を利用することで、決済代行サービス1社の契約でさまざまな支払いに対応し、入金管理までも行うため、従来までの煩わしい手間を省くことができます。
⑤年末調整
経理担当の業務として、「年末調整」は書類の配布や回収、チェックなど複雑で時間のかかる業務になります。
近年、年末調整をデジタル化することで効率的に終わらせることが可能になりました。
年末調整をデジタル化するメリットは、次のようなことが挙げられます。
- 書類作成時のミスが減少
- 控除申告書等のチェックの手間が減少
- 控除申告書等や控除証明書等の紛失リスクの減少
- 控除申告書等の保管にかかるコストの削減
- 給与システムの手入力が不要
年末調整のデジタル化については、「年末調整を電子化して効率化するおすすめクラウドツール2選!」で紹介しておりますので、ご参考ください。
以上、クラウド会計サービスを導入することで、何が効率化されるのか具体的に解説しました。経理のテレワークを進めるために、クラウド会計サービスを導入してみてはいかがでしょうか?
(2)社内コミュニケーションツール
経理担当でも、チーム内での連携を取ることが重要になります。
テレワークを円滑に進めるために、社内用のコミュニケーションツールを導入しましょう。
「WEB会議ツール」や「チャットツール」を導入することで、オフィス勤務と同等にスムーズなコミュニケーションを取ることが可能になります。
- 作業状況の可視化
- 成果報告
- 情報共有
- スケジュール管理
コミュニケーションツールを利用すれば、以上のようなことが社内で共有することができ、業務効率を上げることに繋がるでしょう。
そこで、具体的な社内コミュニケーションツールを紹介します。
①WEB会議ツール
- Zoom
- Google Meet
- Microsoft Teams
- Webex Meetings
特に「Webex Meetings」は、世界で最も多く利用されているWEB会議ツールであり、暗号化技術を用いたセキュリティの高さが特徴です。
安全性を特に重視したいという企業は、「Webex Meetings」を試してみてはいかがでしょうか。
②チャットツール
- Chatwork
- Slack
- Microsoft Teams
- LINE WORKS
特に「Slack」は、100カ国以上で使われており、日本国内でも50万人以上の利用者がいます。
個人や組織、プロジェクト別にチャンネルを設定することができるので、話題の整理や検索、管理をしやすいのが特徴です。
世界シェアナンバー1のコミュニケーションツールということでも、「Slack」を導入してはいかがでしょうか。
5、経理業務のテレワークを進めたいなら税理士に相談しよう!
経理業務のテレワークは、他の業務より導入するのが難しいかもしれません。
それまで全くテレワークに馴染みがなかった企業からすると、何から始めたら良いのかわからないと思います。
経理業務においてテレワークを検討する場合は、ぜひ一度税理士に相談してみましょう。
(1)経理のテレワーク導入に関するアドバイス
本記事でも解説したように、経理のテレワークを導入するためには、さまざまな準備が必要です。
会社の状況なども踏まえて考慮しなければいけないので、ただテレワークを導入すればいいという訳ではありません。
税理士に相談すれば、テレワークを導入するにあたってのアドバイスを詳しく聞くことができるでしょう。
(2)テレワークに必要な各種ツールの導入のアドバイス
経理をテレワークをするには、
- チャットツール
- WEB会議ツール
- 勤怠管理
- スケジュール管理
- データ受け渡しツール
以上のような各種ツールが必要です。
「どのツールを導入すればいいのかわからない!」という経理担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
バックオフィス業務効率化に精通している税理士に相談すれば、便利な最先端のツールに関してのアドバイスをもらえるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
経理をテレワークにする鍵は、「ペーパーレス」ということがわかりました。
震災や疫病等の緊急時へ備えに加えて、通常時でもテレワークのニーズは高まっています。
紙ベースの業務を減らすためには、ペーパーレス化を推進して、経理業務にもテレワークを導入することが必要です。
経理業務のテレワーク導入をはじめ、テレワークに関して不安や悩みがある場合は、一度税理士に相談してみましょう。
税理士にご相談頂いた方がよい可能性があります。
初回のご相談は無料ですので
お気軽に税理士法人ベリーベストまでお問い合わせください。