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2021.3.30 / 更新日:2021.03.30

ベンチャーキャピタル(VC)とは?VCから資金調達をする際の3つの注意点

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ベンチャーキャピタル とは

近ごろ、ベンチャーキャピタル(VC)からの出資により急成長する企業が増えているのを、よく耳にすると思います。

しかし、そもそもベンチャーキャピタルというものをよく知らないために、一体なにがそこまで話題になるのかわからない、という経営者の方もいるでしょう。

近年、注目されているベンチャーキャピタルですが、経営者としては資金調達手段の一つとして、ぜひとも知っておいてもらいたいです。 

この記事では、

  • ベンチャーキャピタルとは
  • ベンチャーキャピタルから資金調達をするメリット・デメリット
  • ベンチャーキャピタルから資金調達をする際の注意点

を解説していきます。 

ベンチャーキャピタルからの資金調達に興味があったり、検討していたりする経営者の皆さんは、ぜひ最後まで読んでみてください。

ベンチャーキャピタルについて詳しくなれるだけでなく、より具体的に、ベンチャーキャピタルを資金調達手段の一つとして、捉えることができるようになります。

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1、ベンチャーキャピタル(VC)とは?

ベンチャーキャピタル(VC)とは?

(1)ベンチャーキャピタルの概要

ベンチャーキャピタル(VC)とは、起業したばかりのベンチャー企業や将来性のある未上場企業などに対して、出資(投資)をする投資会社・投資ファンドのことです。

誕生して間もない企業は、金融機関からの信用が低く、担保も不足していることが多いため、融資を受けるまでのハードルが高いです。

しかし、VCは事業の将来性などを判断基準にして出資するため、ベンチャー企業やスタートアップ企業の資金調達手段として定着してきています。

(2)ベンチャーキャピタルの仕組み

ベンチャーキャピタルは、投資家などからお金を集め、集まった資金を企業に出資します。

実力が未知数なスタートアップ企業に対して投資しますが、ボランティア精神で出資してくれるわけではありません。

ベンチャーキャピタルは、主に以下の2つの目的をもって出資を行います。

  • 投資先企業の成長して株式市場に上場後、株式を売却して利益を得る
  • 投資先企業の M&Aによる売却益を得る

ベンチャーキャピタルは、出資するだけではありません。
投資先企業の企業価値を高めるための、経営コンサルティングも行います。

場合によっては、ベンチャーキャピタルの担当者が投資した企業の取締役となることもあります。

2、ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリット・デメリットとは

ベンチャーキャピタルから投資を受けるメリット・デメリットとは

(1)メリット

①返済義務がない

ベンチャーキャピタルから出資される資金は、返済義務がありません。

また、金融機関などからの借入金にかかる利子などもありません。

そのため、資金繰りの負担を軽減できます。

②信用や担保によらない多額の資金調達が可能

金融機関の融資の場合、資金を借り入れるためには信用と担保が必要です。

一方、ベンチャーキャピタルは、企業のさらなる成長を期待して出資します。
つまり、事業の成長性や将来性が十分あれば、信用が不足していたり、無担保であったりしても資金調達ができます。

成長性や将来性によっては、融資では調達できないほどの多額の資金を得ることも可能です。

③経営や事業に関するに関する様々なサポートを受けることができる

ベンチャーキャピタルから出資を受けると、資金面のほか、以下のようなサポートを受けることができます。

―経営に関するノウハウの提供

事業運営の経験が浅くとも、経験豊富なベンチャーキャピタルから、経営やマーケティングのノウハウを提供してもらえます。

事業が行き詰まった場合でも、アドバイスを参考にして容易に軌道修正が可能です。

―人材支援

事業を成長させるためには、優秀な人材の確保が重要です。

ベンチャーキャピタルは、スタッフ採用の支援もしており、自社の事業にマッチした人材発掘をサポートしてくれます。

―取引先の紹介

ベンチャーキャピタルの投資先企業同士にシナジーがあると判断されれば、事業提携先や取引先として紹介してもらえる場合があります。 

④社会的な評価を得ることができる

ベンチャーキャピタルからの出資により事業を軌道に乗せることができれば、社会的な信用度を得ることができます。

有名なベンチャーキャピタルから出資された場合、それがある種の「ブランド」にもなり信用を得られるでしょう。

さらに、ベンチャーキャピタルからの出資は資本金に計上されるため、自己資本比率が高まります。

このように、ベンチャーキャピタルから出資を受けることで、社会的な評価の向上や財務状況の改善につながり、金融機関からの融資を受けやすくもなります。

(2)デメリット

①自由な経営ができなくなる

ベンチャーキャピタルからの資金調達は、出資です。
したがって、自社の株式を出資金と引き換えに譲渡することになります。

つまり、自社の経営権の一部を渡すことになり、経営にもベンチャーキャピタルの意向が少なからず反映されることになります。

「自分が創業者(経営者)なのに自由に経営方針を決めることができない!」といった状況に陥る可能性もあるので、注意が必要です。

②株主が増えることによるコストが発生する

ベンチャーキャピタルは、出資と引き換えに株式を受け取っているため、株主です。

企業は、株主に対して、定期的に事業の進捗状況や業績の報告をする必要があります。

株主が増えるほど、報告資料の作成などの株主に対応するためのコストが増加します。 

③出資の打ち切りリスクを抱えることになる

事業の見通しが暗い場合や将来性に疑問が出た場合は、ベンチャーキャピタルが出資を打ち切る可能性があります。

投資契約書に「株式買取請求権」の条項が設定されている場合、ベンチャーキャピタルが持つ自社の株式を買い取らなければなりません。
そうなると、事業の継続に重大なダメージを受けることは間違いないでしょう。 

3、ベンチャーキャピタルから資金調達をする際の注意点とは

ベンチャーキャピタルから資金調達をする際の注意点とは

(1)そもそもベンチャーキャピタルから出資を受けるべきなのかを慎重に検討する

多額の資金調達が可能で、返済義務がなく、経営サポートを受けることができるなど、ベンチャーキャピタルからの出資はメリットが大きいです。

しかし、自由な経営ができなくなるリスクや資金を早期回収される可能性もあります。

メリットとデメリットを天秤にかけて、出資を受けるべきか否か、慎重に検討をするべきです。 

ベンチャーキャピタルからの出資以外にも、以下のような様々な資金調達手段があります。

  • 銀行などの金融機関からの融資
  • 日本政策金融公庫からの融資
  • 自治体などからの制度融資
  • クラウドファンディング
  • その他各種資金調達手段

「自社の事業を拡大するために、ベンチャーキャピタルから出資を受けることは必須条件なのか?」をよく考えましょう。

銀行融資について、詳しくは「銀行融資を高額・低金利・早く受けるための7つのポイント」で解説しています。

また、銀行融資のなかで保証協会の保証が付かない「プロパー融資」については、「プロパー融資とは?審査通過のために知りたい6つのこと」をご確認ください。

クラウドファンディングについては、「クラウドファンディングのやり方まとめ~成功するコツを4つ添えて~」で詳しく解説しています。

(2)ベンチャーキャピタルの評判は必ずチェック

資金調達さえできれば、どのベンチャーキャピタルでもよいという訳ではありません。

派遣される人材が優秀であるか、自分たちの利益だけを求めるベンチャーキャピタルではないかなど、事前の情報収集は徹底する必要があります。

ベンチャーキャピタルのホームページで実績を調べたり、実際に出資を受けた企業に評判を聞いてみたりするなど、あらかじめ確認しておきましょう。

(3)出資を受ける際は、契約をよく確認する

出資を受ける際は、出資や株式の発行に関わる条項が記載されている「投資契約書」を締結します。

契約書はベンチャーキャピタルが作成することが多く、「株式買取請求権」や「優先分配権」、「同時売却請求権」など経営者に不利な内容が盛り込まれている可能性もあります。

契約前に、税理士や弁護士などの専門家を介して、入念にチェックしておきましょう。

4、ベンチャーキャピタルから出資を受ける際の注意点に関して相談があるなら税理士へ!

ベンチャーキャピタルから出資を受ける際の注意点に関して相談があるなら税理士へ!

(1)資金調達方法の選定に関するアドバイスや支援

ベンチャーキャピタルからの資金調達は「増資」です。
増資は会計や税務にも深く影響があるため、安心・確実な手続きを行うためには、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

また、増資や融資をはじめとした資金調達方法の中から、ベストな手段を選ぶためのアドバイスを受けることができます。

(2)その他資金調達に関連する手続きなどの支援

資金調達手段には、ベンチャーキャピタルからの調達以外にも、「地方自治体から補助金・助成金」や「金融機関からの融資」があります。

補助金や助成金の申請には、必要書類の準備や受給要件を満たす必要がありますが、手続きが複雑です。

また、融資の場合、審査を通過するためには、事業計画書の作成などのハードルがいくつかあります。

そのため、事業規模が小さいうちから、プロである税理士へ支援を依頼し、連携を密にしておくと、あらゆる資金調達に関する手続きがスムーズにできるでしょう。

まとめ

ベンチャーキャピタルからの出資は資金の返済義務がなく、経営の支援も受けられるためとても魅力的な手段です。

一方、経営の自由度が減ったり、突然資金を引き上げられたりするリスクもあります。
契約内容によっては、今後の事業継続に多大な影響を及ぼす可能性もあります。

ベンチャーキャピタルをはじめとした資金調達を検討する際は、税理士などの専門家からアドバイスをもらいながら最適な方法を検討しましょう。

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。