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TAX&ACCOUNTING MALL資金調達開業資金の融資はどこで受けられる?審査通過に重要な6つのこと
2021.12.14 / 更新日:2021.12.13

開業資金の融資はどこで受けられる?審査通過に重要な6つのこと

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開業資金の融資を受けたいけれど、どこでどうやって受けられるのだろう……。

「開業しよう!」と思っても、自己資金が少なく悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、上手く資金調達をすることで、自己資金が少なくても開業資金を用意することが可能です。

今回の記事では、開業資金としてどんな費用が必要か、どれくらいの金額が必要になるかを説明したうえで、

  • 開業資金の融資制度の種類
  • 開業資金の融資の審査に通るポイント

について、解説します。

これから開業を目指す方の参考になれば幸いです。

なお、自己資金なしでの融資に関しては、「自己資金なしでも融資を受けたいと考えたときに知るべき6つのこと」で解説していますので、あわせてご確認ください。

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1、開業にあたり必要になる初期費用は多い

開業にあたって、多額の初期費用が発生する傾向があります。

本章では、具体的に必要になる費用の種類や、どのくらいの金額を用意すれば良いかを紹介します。

(1)開業時に必要になる費用

本項では、開業に必要になる費用について説明します。

開業時には、具体的に次のような費用が必要です。

  • 登記費用など
  • オフィス費用
  • オフィスの備品など
  • 広告宣伝費
  • 資本金

①登記費用など

法人を設立するためには、法務局で登記をする必要があります。

株式会社設立の登録免許税は、資本金の額に1000分の7をかけて計算します。
15万円に満たない場合には15万円です。

15万円を超えるのは資本金が約2000万円以上なのでほとんどの中小企業の登録免許税は15万円となります。

また、登記にあたっては定款を用意する必要があります。定款の認証の手数料は5万円です。

登記や定款の作成で司法書士に依頼する場合は、司法書士への報酬が別途10万円程度かかります。

②オフィス費用

オフィスを借りる場合には、以下のような費用がかかります。

  • オフィスの賃料
  • 敷金
  • 保証料
  • 礼金 など

立地の良い場所や広い場所を借りれば、それだけオフィス費用としての初期費用はかさむでしょう。
リフォームや改装が必要な場合には、それ以上の費用がかかることが懸念されます。

③オフィスの備品など

開業にあたり、次のような備品の購入も必要です。

  • パソコン
  • 複合機
  • 固定電話
  • デスク
  • 椅子 など

以上のような備品は、品質の良いものを選ぶほど高くなってしまいますので、予算に合ったものを選ぶようにしましょう。

④広告宣伝費

取引先を作るために、開業時には広告宣伝をする必要があります。
具体的な方法としては、リスティング広告を利用したり、雑誌などに広告を載せたりなどです。

やみくもにあらゆる広告方法に手を出すと、広告宣伝費だけで大きな費用になってしまいますので、効率的に集客できる方法を選ぶことが大切です。

⑤運転資金

開業してすぐに売上が立ち、現金を回収できるケースは稀です。
開業してから最低3ヶ月は、現金収入がなくてもやっていけるくらい、運転資金を準備しておく必要があります。

商品の仕入れをしたり、従業員の給与を支払ったりできるように、資金を用意しておきましょう。

⑥資本金

法人設立にあたり、資本金の準備も必要です。

資本金が1円であっても株式会社を設立することはできますが、資本金の額は信用力にもつながりますので、目安としては、大体数百万円ほど用意できると良いでしょう。

(2)開業費用としていくら用意すればいいのか

上記で紹介した費用を合わせると、企業規模にもよりますが、300万~500万円ほど用意しておいた方が良いといえます。

オフィスや備品、広告宣伝に関しては、こだわればこだわるほど費用がかさみますので、開業初期は注意しましょう。

2、開業資金を自己資金で準備できない場合の資金調達方法

開業資金を自己資金で準備できない場合には、資金調達をしましょう。

本記事では、以下の資金調達方法を紹介します。

  • 親族から支援してもらう
  • 金融機関から融資を受ける
  • クラウドファンディング
  • エンジェル投資家に認めてもらって出資を受ける

(1)親族から支援してもらう

例えば、親族に株主になってもらうことで支援してもらう方法も、資金調達方法の1つです。

(2)金融機関から融資を受ける

金融機関から融資を受けて、開業資金に充てる方も多いです。

ただし、開業前の融資においては、金融機関からの借入審査が非常に厳しいので、事業計画書を練ってから面談に望むことをおすすめします。

銀行融資について、詳しくは「銀行融資を高額・低金利・早く受けるための7つのポイント」で解説しています。

事業計画書の書き方については、「事業計画書の書き方とは?資金調達や事業を成功させるための5つのコツ」で解説しているので、あわせてご確認ください。

(3)クラウドファンディング

最近は、クラウドファンディングで開業費用を集めることも増えています。

クラウドファンディングは、事業のファンになってもらうことで資金を集めることができる仕組みです。
経営者にカリスマ性があったり、事業内容が世間から認められるケースでは、銀行融資より資金調達がしやすいこともあります。

クラウドファンディングについて、詳しくは「クラウドファンディングのやり方まとめ~成功するコツを4つ添えて~」で解説しているので、あわせてご確認ください。

(4)エンジェル投資家に認めてもらって出資を受ける

「エンジェル投資家」とは、創業間もない企業に対し出資する富裕な個人のことです。
エンジェル投資家は、出資する代わりに支援した企業の株式を取得します。

企業が大きく成長し、株価が上がることにより大きな利益を得ることを目的としている投資家が多く見受けられます。
事業内容や経営者の事業に対する熱意が認められれば、エンジェル投資家からの出資を受けられるでしょう。

自己資金の調達方法について、詳しくは「自己資金なしでも融資を受けたいと考えたときに知るべき6つのこと」をご確認ください。

3、開業資金の融資の種類

銀行に行けば、簡単に融資を受けられると思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、開業前の企業は「信用力がない」と評価され、基本的には民間の金融機関独自の融資(プロパー融資)を受けられません。
開業資金は、基本的に、政府系の銀行や保証協会の保証を付けて行うこととなります。

本章では、開業資金の融資で利用したい「日本政策金融公庫」や「信用保証制度」を紹介します。

なお、プロパー融資については、「プロパー融資とは?審査通過のために知りたい6つのこと」で詳しく解説しています。

(1)日本政策金融公庫の融資

まず、政府系の銀行でもある日本政策金融公庫の開業資金向け融資制度は2種類あります。
それぞれの融資内容について紹介しましょう。

①新規開業資金

日本政策金融公庫の「新規開業資金」のポイントは、以下のとおりです。

項目 内容
利用対象

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方

資金使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金
融資限度額 7,200万円(※1)
返済期間 ・設備資金:20年以内(※2)
・運転資金:7年以内(※2)
利率(年) 基準利率(※3)
担保・保証人 要相談

(参照:新規開業資金|日本政策金融公庫)
(※1)うち運転資金4,800万円
(※2)うち据置期間2年以内
(※3)2021年10月1日現在の基準利率。担保提供なしの場合2.06~2.55%、担保提供がある場合1.06~2.15%。事業内容により特別金利を利用できる可能性あり。

②新創業融資制度

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」のポイントは以下の通りです。

項目 内容
利用対象 下記3つのすべてにあてはまる方

①新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方

②自己資金の要件
②-1
新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金)を確認できる方

②-2
「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、①-1を満たすものとする

資金使途 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金及び運転資金
融資限度額 3,000万円(※1)
返済期間 各融資制度に定めるご返済期間以内
利率(年) 基準利率(※2)
担保・保証人 原則不要

(参照:新創業融資制度|日本政策金融公庫)
(※1)うち運転資金1,500万円
(※2)2021年10月1日現在の基準金利は2.36~2.85%で、資金使途や返済期間等で金利は変わります。

(2)信用保証協会保証付融資

信用保証協会保証付融資とは、民間の金融機関の融資に保証を付けることで、融資先の企業が貸し倒れても金融機関が保証を受けられる仕組みです。

保証が付くことにより、民間の金融機関も、プロパー融資より回収の不安が減り融資を受けやすくなります。

信用保証協会保証付きの融資は、各信用保証協会によって内容が異なる可能性があります。
ここでは、東京信用保証協会の「創業融資」の説明をしましょう。

項目 内容
利用対象

①現在事業を営んでいない方で、1ヶ月以内に新たに個人で、または2ヶ月以内に新たに法人を設立して都内で創業しようとする具体的な計画を立てている方

②中小企業者または組合であり、創業した日から5年未満の方(※1)

③都内で分社化しようとする具体的な計画を有する会社または分社化により設立された日から5年未満の方

資金使途 設備資金及び運転資金
融資限度額 3,500万円以内(※2)
返済期間 ・設備資金:10年以内(※3)
運転資金:7年以内(※3)
担保・保証人 担保は不要。
代表取締役社長は原則連帯保証人。

(参照:創業保証のご利用|東京信用保証協会)
(※1)個人で創業し、同一事業を法人化した方で、個人で創業した日から5年未満の方を含む。
(※2)保証対象者(利用対象①)は自己資金に2,000万円を加えた額の範囲内
(※3)うち据置期間1年以内

保証料や適用利率はケースのよって異なりますので、担当エリアの信用保証協会に確認を取ることをおすすめします。

4、開業資金の融資を受ける流れと必要書類

電子帳簿保存法の適用書類

開業資金の融資に必要な書類について、日本政策公庫の融資を例に説明します。

必要書類

  • 借入申込書
  • 創業計画書
  • 事業計画書(必須ではないが用意推奨)
  • 見積書 (設備資金を申込む場合に必要)
  • 法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本
  • 不動産の登記簿謄本 (担保を提供する場合)
  • 振興事業に係る資金証明書(生活衛生関係の事業で融資額が500万円を超える場合)

事業計画書は必須ではありませんが、これを細かく作成することにより、事業への理解度や熱意をアピールできます。
絶対に融資を受けたいという場合には、用意したほうが良いでしょう。

5、開業資金の融資を受けるメリット

開業資金を調達する方法はさまざまですが、融資を受けるメリットについて説明します。

具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 固定金利で借りられる
  • 長期間の融資
  • 担保・保証人がなくても借りられる

(1)固定金利で借りられる

開業資金の多くは、固定金利で借りられます。
借入をした段階で返済額は決まっているので、返済計画も立てやすいのがポイントといえるでしょう。

(2)長期間の融資

開業融資は長期間借りられるのもメリットです。
返済の必要がない据置期間がある融資もありますので、資金繰りに余裕を持たせることができます。

(3)担保・保証人がなくても借りられる

開業融資は、担保・保証人がなくても借りられるものが多く、担保にする不動産などの資産がない場合にも利用できます。

6、開業資金における審査のポイントとは

最後に、開業資金の借入における融資のポイントを紹介します。

具体的には、以下のとおりです。

  • 自己資金の金額
  • 開業する業種の経験
  • 事業計画書の内容
  • 経営者の個人信用情報
  • 担保・保証人の有無

(1)自己資金の金額

自己資金は多いほうが、金融機関の審査が通りやすくなります。
「目標に向かってお金を貯められた」ということが評価されるからです。

会社員から開業する場合、開業資金のために数百万円を用意するのは容易ではありません。
自己資金は、ある程度事前に準備しておきましょう。

自己資金の金額は、今後事業で困難なことがあったとしても、コツコツ頑張っていかれる経営者なのかをチェックするポイントになります。

(2)開業する業種の経験

開業資金の借入における審査では、開業する業種の経験も評価されます。

例えば、会社員時代に経験のある業種で起業する場合、業界についての理解があり、コネクションもあれば、スムーズに売上を立てることができるでしょう。
未経験者よりも、経験がある方がポイントが高いといえます。

(3)事業計画書の内容

事業計画書は、返済能力を確認するための資料です。

借入金は、事業で得た利益で返済することになるので、どのように利益を出すつもりなのかをきちんと説明することで、評価は上がります。
なるべく具体的に、事業の伸ばし方や利益の出し方などの根拠を記載しましょう。

事業計画書の書き方について、詳しくは「事業計画書の書き方とは?資金調達や事業を成功させるための5つのコツ」で解説しておりますので、ご確認ください。

(4)経営者の個人信用情報

オーナー企業の中小企業では、経営者と企業は実質同一体とみなされます。

経営者個人のクレジットカードなどの返済遅延がある場合には、信用情報のブラックリストから削除された後に、融資を受けることをおすすめします。

(5)担保・保証人の有無

開業に関する融資は、起業したばかりの企業に資産はないという前提です。
担保・保証人を差し入れなくても、融資を受けられます。

しかし、金融機関としては、返済不能が生じた場合であっても回収可能性が高くなるため、担保や保証人がある方に貸してくれるというのが実情です。

担保や保証人を差し入れたほうが、金利が安くなるケースもあります。
特に、大きな金額の融資を受けたい場合には、担保・保証人の差し入れを考えてみてください。

まとめ

開業資金を用意するための方法はさまざまですが、融資を受けることを選択肢の1つとするのをおすすめします。
融資は固定金利で借入ができますし、開業資金の場合は担保の差し入れなしでも借入ができるからです。

開業融資を受けるためには、事業計画書の作成が有利になります。

事業計画書の作成に自信がない場合には、開業資金の融資相談の前に、税理士へ相談をしてみてください。

税理士に相談することによって、

  • 説得力のある事業計画書を作成できる
  • 税金などのアドバイスをしてくれる

などのメリットがあります。ぜひお気軽にご相談ください。

 

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この記事の監修者

荒井悠輔
荒井 悠輔

べリーベスト税理士事務所 経営企画室シニアマネージャー
株式会社ベリーベストサポートオフィス 代表取締役
資格の大原税理士講座簿記論講師、
文化服装学院ファッション流通高度専門士課タックスアカウンティング講師を務める。
筑波大学大学院において、法人税法及び国際税務を研究し、修了。
現在は経営企画、セミナー、講師、論文・記事の執筆を中心に活動を行っている。